吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2007-01-01から1年間の記事一覧

テロルの決算 --沢木耕太郎

今久しぶりに本書を手にとって見て、こんなに薄かったっけ?と思ってしまいました。勿論ページ数はそれなりにあるのですが、印象としてはもっと厚い本だったような気がしていました。そんな錯覚をするくらい色々なものが詰め込まれた本だったんだなあ。1960…

宇宙からの帰還 --立花隆

ザ・ライト・スタッフは宇宙へ行くためのお話しですが、これは題名の通り地球に帰ってきてからのお話し。当時としては斬新な切り口だなって思いました。思いもよらないことばかりで素直に面白かったです。もう、ずいぶん古い話しになってしまったけど、未だ…

ノーライフキング --いとうせいこう

今となってはすっかり古い内容になってしまった。・・・ように見える。インターネット、携帯電話の普及で人と人のつながり方の変わりようは、例えばたった10年前と比べても隔世の感がある。パソコン通信の頃の悪戦苦闘なんて、それこそ嘘のようだ。まあ、あ…

星新一空想工房へようこそ

星新一が止まらない。我慢できずに買ってしまう!!悪い癖だと自分でも思う。気に入った作家の本はたて続けに読みまくる。本屋を片っ端から探し回る。気になるテーマが出てくると関連する本まで探索を始めてしまう。財布がカラになる・・・これは最相葉月が…

アナベル・リー

最近、久しぶりに頭の中でリフレイン。「アナベル・リー」ご存知の方も結構いるんではないかと思いますが、これはエドガー・アラン・ポーが最後に書いた詩の題名です。中学か高校か忘れてしまいましたが、ポーの代表作の「黒猫」と数篇が収められた本を持って…

ザ・ライト・スタッフ --トム・ウルフ

今日見たニュースで「火星に微生物のような生命体が存在した可能性を示唆する発見をした」とNASAジェット推進研究所の研究チームが発表したらしい。こういうニュースを見るにつけ、宇宙に関する本や、映画を思い出す。あれも見たい、これも読み直したい…

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 --塩野七生

まずは、題名がいいよねって思っているのですが・・・昔の話しで恐縮ですが(というか昔の話ばかりしてますが)、中学生のときって「中三時代」「中三コース」とかの本があったでしょ?今もあるのか知らないけど。何年生だったか覚えてないし、題名も忘れた…

世に棲む日日(1-4) --司馬遼太郎

「花神」をきっかけに好きになった高杉晋作を決定的に好きになったのは本作のおかげです。4巻セットですがあっという間に読み終わった記憶があります。幕末にはキラ星のごとく魅力的な人物が現れますが、私にとってこの人以上のヒーローはいません。吉田松陰…

星とレゲエの島 --山川健一

ミュージシャンでもある山川健一の作品は20代前半に、結構はまった。カッコつけてるかんじもするけど鼻につくところまではいかなかった。今でもたまに自分が影響を受けていることを感じることがある。説明はできないが。(なんかこのブログ、説明できないっ…

仕掛け花火 --江坂遊

正直なところ不覚にも最相葉月の著書「星新一 一〇〇一話をつくった人」を読むまで名前すら知りませんでした。以下、Wikiより引用>星新一の唯一の弟子であり、長女の星子(せいこ)、長男の新(あらた)は彼の名前から取られている。星新一に弟子がいたなん…

リンダリンダリンダ --向井康介

映画館で見て期待以上に面白かったのですが、ちょっと確認したいことがあって買いました。 あいかわらずこの手の本の表紙は主役の4人組の写真だったので恥ずかしかったのですが・・・ノベライズだから仕方ないですね。演奏だって文字では伝わらないですもん…

博士の愛した数式 --小川洋子

きれいにまとまった、いい作品ですね。これ。理系が苦手だったけど関係なく読めました。数字に隠された意味を道具にコミュニケーションをとろうとする博士と家政婦の息子「ルート」の関係は微笑ましい。博士に影響を受け、少しづつ数字で遊びだすことで徐々…

センセイの書斎―イラストルポ「本」のある仕事場 --内澤旬子

養老猛、金田一春彦、逢坂剛、佐高信、その他、約30人の「センセイ」たちの書斎や仕事場をイラストで紹介している本です。私の所有本なんてそんな数は無いのですが、それでも置き場所に困っています。部屋が狭いにしても、やはり他の人はいったいどんなふう…

砂漠 --伊坂幸太郎

以前書いた「アヒルと鴨のコインロッカー」でも触れましたが、伊坂幸太郎については作品に甲乙つけるのが難しい。まず表紙のせいで読むのは当分あとでいいやと思ってましたが、発売と同時に読むべきだったと思った。表紙は大事だけど、あんまり気にすると損…

陸軍将校のつくったチーズ --大倉直

私のブログにノンフィクションライターの大倉直さんがコメントを書き込んでくれただけではなく、ありがたいことにファン登録までして頂いてから丁度1ヶ月経過しました。その間、私も度々ブログに立ち寄らせていただいています。直(ちょく)さんと呼ばせて頂…

昭和16年夏の敗戦 --猪瀬直樹

猪瀬直樹といえばミカドの肖像、天皇の影法師や土地の神話、いずれも印象的で興味深い著書ばかりですが、それらを抑えて個人的に一番衝撃を受けたのがこの「昭和16年夏の敗戦」です。かつて日本は第二次世界大戦で滅茶苦茶になった。なぜ戦争をしたのか。各…

夜のピクニック --恩田陸

ここのところ多忙な日々が続いている。ゆっくり考える時間が欲しいというのは贅沢な望みなのでしょうかね~。とにかく動きながら考えるしかない。まあ、そのほうがいい考えが浮かぶってことも事実なわけで。そういえば学生のころから大事なことを考えるとき…

読めない日々

最近全く落ち着いて本を読めなくなってしまった。仕事が忙しいのはありがたいことなのだが、かなりきつい。挙句の果てに久しぶりに腱鞘炎っぽくて手首にはサポーターをつけている。追い討ちをかけるように首が痛い。廻らない。いろんな意味で。キーボードや…

アルキメデスは手を汚さない --小峰元

ようやく積読状態から脱出させました。中学生のときに読んだ青春学園ミステリー。手許になかったので友達に借りたのかもしれません。去年復刊して平積みされていたので、懐かしくて購入しておきました。江戸川乱歩賞も受賞していたことは購入するまで知りま…

星新一 一〇〇一話をつくった人 --最相葉月

「子供のころはよく、本を読みながらその場からいなくなることができたんですが、星さんの本はそんな一冊だった。」新井素子の言葉に同感。本作は「人民は弱し 官吏は強し」で書かれた星新一の受難を、膨大な資料を基に別の角度から照らし出していた。SF界の…

複合汚染 --有吉佐和子

20年以上前のことですが、有吉佐和子の「開幕ベルは華やかに」を読み、とても面白かったのですかさず読んだのがこの本です。「開幕ベルは華やかに」とはまるっきりタイプの違う小説ですが、読み進めていくうちに何ともいえない危機感がこみ上げてきてあっと…

海辺の生物

タラバガニはヤドカリの仲間だって知ったのはこの本を見てからだった。なんとなくショックだった。海辺の本なのにタラバガニが載ってるから変だと思ったよ。これって有名?みんな知ってた?ヤドカリにしちゃあ、でかすぎねーか?ヤドカリにしちゃあ、高すぎ…

海辺―生命のふるさと --レイチェル・カーソン

毎年行く岩場でのスノーケリングは、行く度に新しい発見で飽きることがない。名前もわからない小魚の大群に囲まれたり、砂粒のような稚魚の大群が眼前にいたり。そういえば海草の切れ端が2本、同じ方向に同じスピードで移動しているから不思議に思ってじっと…

スローカーブを、もう一球 --山際淳司

「江夏の21球」をご存知の方はある程度の年齢になっていると思いますが、この本に入っています。是非、今の若い人にも読んでほしい本です。熱い戦いを語っているはずなのに、山際淳司の目を通すとそれだけで、その場面にある静謐さを感じます。そのクール…

ブラバン --津原泰水

「BOOK」データベースより引用大麻を隠し持って来日したポール・マッカートニーが一曲も演奏することなく母国に送還され、ビル・エヴァンスがジョン・ボーナムがジョン・レノンまでも死んでしまった、1980年(昭和55年)。醒めた熱狂の季節に、音楽にイカれバ…

クワイエットルームにようこそ --松尾スズキ

冒頭はつらかった。これはちょっと失敗かも・・・と思って後悔したものの、我慢して読み進めた。こんな話しがずっと続かないことがわかって安心した。高橋源一郎の「君が代は千代に八千代に」を読んでいたので、多少免疫があったのかもしれないがつらいもの…

花神 --司馬遼太郎

司馬遼太郎の最初読んだ作品が、「花神」です。主人公は司馬作品のなかでもとても地味な部類にはいる村田蔵六、のちの大村益次郎です。確か中学生の頃だったと思いますがNHKの大河ドラマで放送されるとのことで、事前に読み始めた記憶があります。大河ドラマ…

カシアス --沢木耕太郎(著) 内藤利朗(写真)

しばらく離れていた「彼ら」に再会できた。それなりに長く生きていると、色々なことがあるものだ。挫折や病気や出会いや別れ・・・さらっと沢木耕太郎は書いているけど、大変だったんだね。だけど、まだまだあきらめていないんだよね。あきらめるには早すぎ…

われらをめぐる海 --レイチェル・カーソン

海に関して興味があって、何かの折に彼女の名前を知り、数件の本屋さんを探して見つけました。「沈黙の春」のほうが有名ですが、彼女はれっきとした海洋生物学者です。学者の著書なので専門用語が結構出てきますが、表現力が豊かで素人にもとてもわかりやす…

目撃者-近藤紘一全軌跡1971~1986 --近藤紘一

近藤紘一さんは、残念ながらずいぶん前に若くして亡くなられているのですが、特派員として生きていた時、奥様の自殺をきっかけにベトナムという戦場を駆け巡るようになり、ベトナムの歴史を目に刻みながらベトナムで生活した人です。この本は一周忌に出版さ…