吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

広島に原爆を落とす日 --つかこうへい

つかこうへいの描く、ひねくれた、不器用な愛情物語はとても好きです。熱海殺人事件、飛龍伝、蒲田行進曲、寝取られ宗介、幕末純情伝、長島茂雄殺人事件・・・どれもこれも愛すべき人物がとんでもない愛情を振りまいています。その中で、ある意味究極の愛情…

さようなら、ギャングたち --高橋源一郎

この本と出会ってから20年ぐらい経った。今でも六本木の地下にあった本屋で平積みされていたこの本を引き寄せられるように手に取り、買ったのを覚えている。一日3時間眠れればラッキーだったころ、睡眠時間をさらに削って読んだ。読了後、「今年一番面白い本…

くちぶえ番長 --重松清

題名と表紙を見ただけで買いだと思いました。対象は小学校4年生向けに書かれたものですが、十分面白い。いや大人こそ読むべきだと思う。子供には子供の世界があるのは当然で、それは子供にしかわからない。かつて子供だったはずの大人にも、もうわからない。…

一瞬の夏 --沢木耕太郎

ニュージャナリズムという言葉をすっかり聞かなくなったが、今はなんと言うのだろうか。乱暴な定義だが、ノンフィクションという分野は事実を客観的に、多角的な視点で調査し、インタビューしながら作り上げるものだが、「クレイになれなかった男」(「敗れ…

怪物がめざめる夜 --小林信彦

小林信彦の作品との出会いはとても古い。人生で一番最初にはまった作家だと思う。子供のころ夢中で読んだ「オヨヨ」シリーズは、残念ながら手元に見当たらない。友達から借りたのか、図書館で借りたのか、今では記憶が定かではないが、軽妙な展開がとても魅…

ゲルニカ1984年 --栗本薫

栗本薫の作品はずいぶん前に数冊読んだけど、なぜかSFは一冊も読んでいない。この作品はいったいどんな分野に振り分けていいものか難しいが、読んだ後になんともいえない気分になったことを覚えている。表面的には平和な日本が実は世界大戦の只中にいて、誰…

CF愚連隊 --喜多嶋隆

昔の話だけど、CM制作業界にいたことがあって、そのころに読んだ本で思い出深い作品です。登場人物たちの自由さや、一瞬にかけるプロフェッショナルな仕事ぶりは憧れだった。実際はこんなカッコイイ仕事ではないけど、こうでありたい、という気持ちは持って…

ラジオが泣いた夜 --片岡義男

本作は短編集で、内容だけではなく、題名が一番好きだなという感じでセレクトしました。話しのどこかでラジオがキーポイントになっている。乾いた印象の文体というか言い回しというか、独特の雰囲気がある。片岡義男の作品を読んでいたときに浮かぶイメージ…

上と外(1~6) --恩田陸

六巻に分かれているけど各巻それぞれが薄いのであっという間に読めた。一巻にまとめればいいのにと買ったときは思ったけど、手軽に読めてむしろこれで良かったのかもしれない。全巻まとめて買っておいて正解でした。展開が早くて冒険活劇とでも表現すればい…

食卓のない家 --円地文子

1970年代、過激派の活動が活発なころの話で、浅間山荘の事件が基になっている。事件の犯人とその家族の葛藤や日本政府の対応など、時代背景が違ってはいるが現在かかえる社会の問題と何も変わりは無い。むしろ、事件を起こした犯人の親の考え方は当時よりも…

アキラ! 加藤明・南米バレーボールに捧げた一生 --上前淳一郎

ノンフィクションを読む機会が最近すっかり減っているけど、本当はノンフィクションは好きでよく読んでいました。上前淳一郎の切り込む内容は世相を反映した事件や大事故を主題にした問題作が多かったのですが、これが一番印象的です。最近、ペルーの女子バ…

アヒルと鴨のコインロッカー --伊坂幸太郎

とりあえず全ての作品を読み終えましたが、伊坂作品ではこれが一番好きかな。まあ、僅差で他のいくつかの作品と悩んだんだけど、それはまた後日書きます。伊坂作品の中では「仕掛け」が少ない感じがするけど、最後に「そう来たか」という感じで、哀しくもあ…

ナポレオン狂--阿刀田高

心に残っている本を掘り起こして、簡単な感想を書いていきます。実は本の整理をするのが目的なので、たいした感想は書かずに気長に掘り起こします。ということで、阿刀田高を一発目に持ってきたのですが、単純に「あ」から始めようと思っただけです。手持ち…