吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2009-01-01から1年間の記事一覧

読者は踊る --斎藤美奈子

「BOOK」データベースより引用なぜ、この本が売れるのだろう。流行りの本は気になるくせに、流行りすぎると文句をつける。そんな立派な「踊る読者」のあなたのために、「ごくごく一般的な、そんじょそこらの読者代表」の斎藤美奈子が、タレント本から聖書ま…

凍 --沢木耕太郎

極限のクライミングを描く、究極の筆致。『檀』から十年、最新長編作品。最強の呼び声高いクライマー・山野井夫妻が挑んだ、ヒマラヤの高峰・ギャチュンカン。雪崩による「一瞬の魔」は、美しい氷壁を死の壁に変えた。宙吊りになった妻の頭上で、生きて帰る…

将軍が目醒めた時 --筒井康隆

出久根達郎さんの「古本綺譚」にでてきた実在した人物、芦原将軍の興味をもったため、やはり同じ人物を題材にした筒井作品を読みました。この短編集は持っていなかったいし読んだ記憶もなかったのですが、読んでみると2~3作品に既読感があったので友人から…

DINER --平山夢明

わたしはある日、殺し屋専門の定食屋(ダイナー)に抛り込まれた。ほんの出来心で、奇妙なバイトを引き受けたばっかりに・・・・・。本当に最悪な出来事っていうのは、なんお助走も前触れもなく起こる。足元に空いた真っ黒い穴に、人は落ちるまで気づかない…

2009年の10冊

今年も残すところあとわずかですね。まだ3冊ほど感想が残っているのですがどうやら総括できると判断しました。おかげさまで無事、年間100冊以上読む、という目標はクリアしました。この目標を記事で掲げていたかは覚えていませんが、心の中で目標としていま…

20世紀の幽霊たち --ジョー・ヒル

奇妙な噂がささやかれる映画館があった。隣に座ったのは、体をのけぞらせ、ぎょろりと目を剥いて血まみれになった“あの女”だった。四年前『オズの魔法使い』上映中に一九歳の少女を襲った出来事とは!?(『二十世紀の幽霊』)そのほか、ある朝突然昆虫に変身す…

高丘親王航海記 --渋澤龍彦

貞観七(865)年正月、高丘親王は唐の広州から海路天竺へ向った。幼時から父平城帝の寵姫藤原薬子に天竺への夢を吹きこまれた親王は、エクゾティシズムの徒と化していたのだ。鳥の下半身をした女、犬頭人の国など、怪奇と幻想の世界を遍歴した親王が、旅に病ん…

2001年宇宙の旅 --アーサー・C・クラーク

三百万年前の地球に出現した謎の石板は、原始的な道具も知らないヒトザルたちに何をしたのか。月面で発見された同種の石板は、人類に何を意味しているのか。宇宙船ディスカバリー号のコンピュータ、ハル9000はなぜ人類に反乱を起こしたのか。唯一の生存者ボ…

ガストン・ルルーの恐怖夜話 --ガストン・ルルー

「黄色い部屋の謎」、「黒衣婦人の香り」などでおなじみのフランス・ミステリ界を代表する巨匠ガストン・ルルーが贈る世にも怪奇な短編集。片腕の老船長が語る奇怪な話「胸像たちの晩餐」、コルシカの復讐譚に題材をとった「ビロードの首飾りの女」、結婚相…

幼年期の終り --アーサー・C・クラーク

異星人の宇宙船が地球の主要都市上空に停滞してから五十年。その間、異星人は人類にその姿を見せることなく、見事に地球管理を行なった。だが、多くの謎があった。宇宙人の真の目的は? 人類の未来は?――巨匠が異星人とのファースト・コンタクトによって新た…

SOSの猿 --伊坂幸太郎

ひきこもり青年の「悪魔祓い」を頼まれた男と、一瞬にして三〇〇億円の損失を出した株誤発注事故の原因を調査する男。そして、斉天大聖・孫悟空。救いの物語をつくるのは、彼ら……。著者最新長篇。(中央公論社Webサイトより引用) 「あるキング」で、ある意…

ららら科學の子 --矢作俊彦

男は殺人未遂に問われ、中国に密航した。文化大革命、下放をへて帰還した「彼」は30年ぶりの日本に何を見たのか。携帯電話に戸惑い、不思議な女子高生に付きまとわれ、変貌した街並をひたすら彷徨する。1968年の『今』から未来世紀の東京へ―。30年の時を超え…

安徳天皇漂海記 --宇月原晴明

壇ノ浦の合戦で入水した安徳天皇。伝説の幼帝が、鎌倉の若き詩人王・源実朝の前に、神器とともにその姿を現した。空前の繁栄を誇る大元帝国の都で、巡遣使マルコ・ポーロは、ジパングの驚くべき物語をクビライに語り始める。時を超え、海を越えて紡がれる幻…

美女と竹林 --森見登美彦

美女に会ったら伝えてくれ。俺は嫁を大事にする男だと。妄想と執筆に明け暮れた、多忙にして過酷な日々。森見登美彦氏を支えてくれたのは、竹林であった。美女ではないのが、どうにも遺憾である。虚実いりまぜて、タケノコと一緒に煮込んだ、人気文士の随筆…

世界の中心で愛を叫んだけもの --ハーラン・エリスン

「百年の誤読」で豊崎先生が例の「セカチュー」を叩いた時にこの作品を読まねばと思い、速攻で積んでおいたのですが読んで大正解。まったく意図しなかったものの、ディックの「流れよ我が涙、と警官は言った」を読んだあとにこの作品をセレクトしたために図…

流れよ我が涙、と警官は言った --フィリップ・K・ディック

最近、新装版がでましたね。サンリオSF文庫を積んであったのですが。。。読み遅れました。 何もかもが管理された世界。テレビの大スターだったジェイスン・タヴァナーは、ある日突然 自分の存在を証明するものが全く無い、「存在しない」存在となってしまっ…

星新一時代小説集 天の巻 --星新一

星新一×松本大洋 最強のコラボレーション! 「ショートショートの神様」が遺した傑作時代小説の数々を収録 と言っても絵の掲載数は少ない。まあいいか。大好きな二人のコラボですから当然見つけるなり購入しました。 「殿さまの日」「江戸から来た男」「道中…

たたり --シャーリイ・ジャクスン

心霊学研究者モンタギュー博士は、幽霊屋敷として知られる「丘の屋敷」を調査するため三人の男女を呼び集めた。まるで意志を持つかのように彼らの前に怪異を繰り広げる「屋敷」。そして図書館に隠された手稿が繙かれ、秘められた過去が明るみに出るとき、何…

マイケル・ジャクソン THIS IS IT

11/3、夫婦揃って文化の日に行ってきました。朝の9時から映画館で観るなんて生まれてはじめてでしたが昼の部のいい席は予約でほぼ埋まっていたので頑張りました。いやあ、行って良かった!!大音響で、大きなスクリーンでマイケルを観ることができる機会はそ…

フリーター、家を買う。 --有川浩

近所の古書店で出るのを待っていたのですが、取引先に打ち合わせに行った際にはじめて入った古書店で入手できました。題名が示す通り、就職して三ヶ月で気に入らない会社をやめ、フリーターをやっていた武誠治が母親の心の病をキッカケに一念発起し、就職活…

僕たちは歩かない --古川日出男

心地の良いテンポで語られる世界は、2時間多い26時間の世界。 一日がもう少し長いといいなと思ったことは結構いるのではないかと思いますが、 そんな世界に迷い込んだ「僕たち」の切なさと成長が描かれたファンタジーと呼んでもいい作品です。 日本で鬱屈と…

死者の書 --ジョナサン・キャロル

2冊続けて消化不良気味だったので、がっつり目先を変えようと混沌とした我が書棚から未読作品を探すことに。ライバルたちを蹴落として引っ張り出したこの本。ああ!早く読んどけば良かった!大いに反省。きっとまだまだ良書が埋まっているに違いない!! ぼ…

東京公園 --小路幸也

小路さんの作品らしい、心温まる雰囲気がいっぱいの作品でした。大学生の圭司は公園で偶然に出会った初島という男から、自分の妻の百合香と子供を尾行し写真を撮って欲しいと頼まれる。都内の公園を散策する親子を撮り続けるうちに彼女に魅かれて行く・・・ …

角 --ヒキタクニオ

出版社で校閲をしている麻起子がある朝、目が覚めると頭に角(つの)が生えていた、というお話しです。同じ会社で記者をしている恋人や、主人公の周辺にいる編集者、作家などがその事実を知るや・・・と、まあドタバタ劇なのだが、なんだか空回りしていて感…

楽園の日々 --アーサー・C・クラーク

イギリスの片田舎で過ごした少年期、ロンドンでの公務員生活、そしてイギリス空軍の技術士官としてレーダー開発に従事した6年間…やがてSF界の巨匠となるアーサー・C・クラークのかたわらには、常にパルプ雑誌『アスタウンディング』と驚異に満ちた短篇の数々…

パイド・パイパー --ネビル・シュート

フランスの田舎道でパンクのため立ち往生したバスは、ドイツ軍の編隊の機銃掃射を受けて動けなくなった。これから先は歩いてもらわにゃあ―。老イギリス人は、やむなくむずかる子供たちの手を引いた。故国を目差して…!戦火広がるフランスを、機知と人間の善意…

風が強く吹いている --三浦しをん

ここまでやるかってくらいのストレートな青春群像ストーリーでした。正月を酒浸りで過ごすため、箱根駅伝の中継は大抵見ていません。見てもボーッとテレビ画面を見ているだけで内容は把握していないことがほとんどです。 簡単に言ってしまえば寛政大学の学生…

猫のパジャマ --レイ・ブラッドベリ

古書店で目が合いまして。。。何気に手に取ってよく見るとネコ耳が付いてるじゃありませんか!表紙と裏表紙に大きなネコ目、そして耳が折りたたんであって表紙を広げると猫の顔に。ついうっかりレジに。ちょっとショボいけど、帰ってから耳をピラピラ伸ばし…

肩甲骨は翼のなごり --デイヴィッド・アーモンド

引っ越してきたばかりの家。古びたガレージの暗い陰で、ぼくは彼をみつけた。ほこりまみれでやせおとろえ、髪や肩にはアオバエの死骸が散らばっている。アスピリンやテイクアウトの中華料理、虫の死骸を食べ、ブラウンエールを飲む。誰も知らない不可思議な…

海を失った男 --シオドア・スタージョン

魔術的な語りで読者を魅了する伝説の作家、シオドア・スタージョン。頭と左腕を残して砂に埋もれた男は何を夢みるか―圧倒的名作の表題作、美しい手と男との異形の愛を描いた名篇「ビアンカの手」、墓を読む術を学んで亡き妻の真実に迫る感動作「墓読み」他、…