吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

僕たちは歩かない --古川日出男

心地の良いテンポで語られる世界は、2時間多い26時間の世界。 一日がもう少し長いといいなと思ったことは結構いるのではないかと思いますが、 そんな世界に迷い込んだ「僕たち」の切なさと成長が描かれたファンタジーと呼んでもいい作品です。 日本で鬱屈と…

死者の書 --ジョナサン・キャロル

2冊続けて消化不良気味だったので、がっつり目先を変えようと混沌とした我が書棚から未読作品を探すことに。ライバルたちを蹴落として引っ張り出したこの本。ああ!早く読んどけば良かった!大いに反省。きっとまだまだ良書が埋まっているに違いない!! ぼ…

東京公園 --小路幸也

小路さんの作品らしい、心温まる雰囲気がいっぱいの作品でした。大学生の圭司は公園で偶然に出会った初島という男から、自分の妻の百合香と子供を尾行し写真を撮って欲しいと頼まれる。都内の公園を散策する親子を撮り続けるうちに彼女に魅かれて行く・・・ …

角 --ヒキタクニオ

出版社で校閲をしている麻起子がある朝、目が覚めると頭に角(つの)が生えていた、というお話しです。同じ会社で記者をしている恋人や、主人公の周辺にいる編集者、作家などがその事実を知るや・・・と、まあドタバタ劇なのだが、なんだか空回りしていて感…

楽園の日々 --アーサー・C・クラーク

イギリスの片田舎で過ごした少年期、ロンドンでの公務員生活、そしてイギリス空軍の技術士官としてレーダー開発に従事した6年間…やがてSF界の巨匠となるアーサー・C・クラークのかたわらには、常にパルプ雑誌『アスタウンディング』と驚異に満ちた短篇の数々…

パイド・パイパー --ネビル・シュート

フランスの田舎道でパンクのため立ち往生したバスは、ドイツ軍の編隊の機銃掃射を受けて動けなくなった。これから先は歩いてもらわにゃあ―。老イギリス人は、やむなくむずかる子供たちの手を引いた。故国を目差して…!戦火広がるフランスを、機知と人間の善意…

風が強く吹いている --三浦しをん

ここまでやるかってくらいのストレートな青春群像ストーリーでした。正月を酒浸りで過ごすため、箱根駅伝の中継は大抵見ていません。見てもボーッとテレビ画面を見ているだけで内容は把握していないことがほとんどです。 簡単に言ってしまえば寛政大学の学生…

猫のパジャマ --レイ・ブラッドベリ

古書店で目が合いまして。。。何気に手に取ってよく見るとネコ耳が付いてるじゃありませんか!表紙と裏表紙に大きなネコ目、そして耳が折りたたんであって表紙を広げると猫の顔に。ついうっかりレジに。ちょっとショボいけど、帰ってから耳をピラピラ伸ばし…

肩甲骨は翼のなごり --デイヴィッド・アーモンド

引っ越してきたばかりの家。古びたガレージの暗い陰で、ぼくは彼をみつけた。ほこりまみれでやせおとろえ、髪や肩にはアオバエの死骸が散らばっている。アスピリンやテイクアウトの中華料理、虫の死骸を食べ、ブラウンエールを飲む。誰も知らない不可思議な…

海を失った男 --シオドア・スタージョン

魔術的な語りで読者を魅了する伝説の作家、シオドア・スタージョン。頭と左腕を残して砂に埋もれた男は何を夢みるか―圧倒的名作の表題作、美しい手と男との異形の愛を描いた名篇「ビアンカの手」、墓を読む術を学んで亡き妻の真実に迫る感動作「墓読み」他、…

潮風の下で --レイチェル・カーソン

古典的ベストセラーともなった、環境問題への警告の書『沈黙の春』の著者レイチェル・カーソンは『われらをめぐる海』など海を語る著者としても有名である。本書は、1941年に刊行された彼女の処女作であり、彼女のよってたつ原点ともいうべき作品である。海…