吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

雷の季節の終わりに --恒川光太郎

いいですね、この世界観。地図に載っていない「穏(おん)」というエリアは外の世界からは見ることができない。穏には春夏秋冬以外に神の季節である「雷季」という二週間ほどの季節が冬と春の間にある。雷季になると穏に住む人々は家に閉じこもり、外は風と…

有頂天家族 --森見登美彦

宵山万華鏡の前に読みたかったのですが、ようやく古書店で見つけることができました。 そうか、京都は人間と狸と天狗が三つ巴で生きている場所だったのか。今までの森見作品のいろんな謎は、この作品で解決した気がする。他の作品で不思議な能力?を発揮して…

桜庭一樹読書日記―少年になり、本を買うのだ。 --桜庭一樹

「書店はタイムマシーン」よりも前のWeb日記の文庫化である。やはりこの人の読書量は尋常ではない。何かにつけては本屋に寄り、買い、読み、風呂でも読み、眠るまで読み、読書家の鏡である。 そして、類は友を呼ぶのだ。相変わらず彼女の周辺に蠢く編集者た…

連休の最後の朝に

連休最後の日の朝、おもむろにPCを起動するも、いっこうに立ち上がらない。!!よく見るとパワーボタンはオレンジ色の点滅中。再度ボタンを押しても点滅は消えず、焦る。ボタンの長押しでとりあえずOFF状態にするも、再度押すとオレンジの点滅。嫌な汗が。つ…

始祖鳥記 --飯嶋和一

空前の災厄続きに、人心が絶望に打ちひしがれた暗黒の江戸天明期、大空を飛ぶことに己のすべてを賭けた男がいた。その“鳥人”幸吉の生きざまに人々は奮い立ち、腐りきった公儀の悪政に敢然と立ち向かった―。ただ自らを貫くために空を飛び、飛ぶために生きた稀…

手書きで思ったこと

仕事上、打ち合わせ以外は常にPCと向き合うため、手書き作業がめっきり少なくなった。ふと思いついて、客先に提出する資料の素案を手書きで作る事にした。学生の頃は書いて覚えるタイプだったので(結局覚えてない事だらけだけど)、ペンだこが痛くて文字を…

火天の城 --山本兼一

信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。天に聳える五重の天主を建てよ!巨大な安土城築城を命じられた岡部又右衛門と以俊は、無理難題を形にするため、前代未聞の大プロジェクトに挑む。長信の野望と大工の意地、情熱、創意工夫―すべてのみこんで完成した…

古本綺譚 --出久根達郎

古本の世界は果しなく深く、魅惑的な混沌がある。この世に二つとない幻の本を手に入れたいと夢見る愛書家と古本屋。古本世界に住む、本を愛し本に憑かれた風変りな人びとの、古本をめぐる悲喜劇を、古本世界の一住人である古書店主が軽妙に描く、古本物語。…

不祥事 --池井戸潤

事務処理に問題を抱える支店を訪れて指導し解決に導く、臨店指導。若くしてその大役に抜擢された花咲舞は、銀行内部の不正を見て見ぬふりなどできないタイプ。独特の慣習と歪んだ企業倫理に支配された銀行を「浄化」すべく、舞は今日も悪辣な支店長を、自己…