吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

華氏451度 ::レイ・ブラッドベリ

ブラッドベリが1953年当時、に危惧していた先端技術への危機意識がこの作品を書かせたようです。先端技術と言ってもブラッドベリが対象にしていたのはテレビ。ただしその技術の対象を読む時代によって置き換えてさえいけば違和感のなくなる普遍的な作品であ…

パプリカ ::筒井康隆

女性誌に連載されていた作品ですが、ずいぶんとオッサンに都合のいいキャラや展開に苦笑してしまいます。もともと筒井作品のナンセンスな作風は嫌いじゃありませんが、この作品に限ってはあまり好きになれませんでした。 ノーベル賞候補になっている主人公の…

秋の牢獄 ::恒川光太郎

近所の紅葉も綺麗になってきたので、読むには丁度良い頃合です。「秋の牢獄」 「神家没落」 「幻は夜に成長する」の3篇。 恒川さんの作品は三作目ですが、「幻は夜に成長する」がちょっと今までと違う印象でした。安定した独特の世界観を持っている作家さん…

洋梨形の男 ::ジョージ・R・R・マーティン

都会に潜む“洋梨形の男”の恐怖を描いた傑作ホラーの表題作をはじめ、身勝手な男が痩身願望の果てに“猿”に取り憑かれる「モンキー療法」、変わり果てた昔の友とのおぞましい再会譚「思い出のメロディー」、ひとりの作家の内面に巣くう暗黒をあぶり出す「子供…

小説以外 ::恩田陸

本好きが嵩じて作家となった著者は、これまでどのような作品を愛読してきたのか?ミステリー、ファンタジー、ホラー、SF、少女漫画、日本文学…あらゆるジャンルを越境する著者の秘密に迫る。さらに偏愛する料理、食べ物、映画、音楽にまつわる話、転校が多か…

血の味 ::沢木耕太郎

「中学三年の冬、私は人を殺した」。二十年後の「私」は、忌まわしい事件の動機を振り返る―熱中した走幅跳びもやめてしまい、退屈な受験勉強の日々。不機嫌な教師、いきり立つ同級生、何も喋らずに本ばかり読んでいる父。周囲の空虚さに耐えきれない私は、い…

木曜の男 ::G.K.チェスタトン

無政府主義者の秘密結社を支配している、委員長〈日曜日〉の峻烈きわまりない意志。次々と暴露される〈月曜〉、〈火曜〉……の各委員の正体。前半の奇怪しごくな神秘的雰囲気と、後半の異様なスピードが巧みにマッチして、謎をいっそう奥深い謎へとみちびく、…

たまさか人形堂物語 ::津原泰水

祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えた…

センセイの鞄 ::川上弘美

ひとり通いの居酒屋で37歳のツキコさんがたまさか隣あったご老体は、学生時代の国語の恩師だった。カウンターでぽつりぽつりと交わす世間話から始まったセンセイとの日々は、露店めぐりやお花見、ときにささいな喧嘩もはさみながら、ゆたかに四季をめぐる。…