吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

鉄の骨 --池井戸潤

中堅ゼネコンの一松組に入社して三年。富島平太は建設現場から本社の業務課に突然異動させられる。どうやら尾形常務じきじきの指名らしい。業務課は別名「談合課」と呼ばれるセクションでもあるらしい。業務課の仕事を理解していない平太の視点についていく…

グラーグ57(上下) --トム・ロブ・スミス

チャイルド44の続編である。前作はロシアの絶望的な環境がこれでもかと書き込まれ、重苦しさを漂わせながらもグイグイと引き込む力量を見せつけられ、堪能できました。3年後、モスクワ殺人課が創設され責任者に収まったレオが、フルシチョフのスターリン批判…

FBIフーバー長官の呪い --マルク・デュガン

ずいぶん前、ケネディ関連のノンフィクション数冊分をまとめて記事にしましたが、その関連本としてようやく積んであった本書を読むことができました。FBIのフーバー長官といえば、FBIの初代長官であり50年近く長官の椅子を守り続けたとんでもない男ですがケ…

綺譚集 --津原泰水

今月、着々と読み進めていた作品ですが、この作家さんは凄いなあ。独特の妖しさとグロさとエロスは、一気に読むよりじっくりと読む短編集だと思う。唐突に始まり、唐突に終わる。それも考えが及ばない言葉でいきなり違う世界に持っていかれる感覚に翻弄され…

天の光はすべて星 --フレドリック・ブラウン

1997年、人類は星々に対する情熱を失い、宇宙開発計画は長い中断の時期に入っていた。星にとり憑かれた57歳のもと宇宙飛行士マックス・アンドルーズは、そんな世界で無為の日々を過ごしていた。しかし、木星探査計画を公約に立候補した女性上院議員候補の存…

2061年宇宙の旅 --アーサー・C・クラーク

2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざす―そして、みずからの手で彗星を調査する。だ…

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 --万城目学

かのこちゃんは小学一年生の元気な女の子。マドレーヌ夫人は外国語を話す優雅な猫。その毎日は、思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに充ち満ちている。 (「BOOK」データベースより引用) 書店でパラパラとめくった時の第一印象は、「か~るく読めそ…

最後のウィネベーゴ --コニー・ウィリス

愛するものを失う痛みと、滅びゆくものへの哀惜、そして赦し。犬が絶滅してしまった近未来のアメリカで孤独な男が出逢う、ささやかな奇蹟…。読後に深い余韻を残す表題作から抱腹絶倒コメディまで、アメリカSF界の女王ウィリスのベスト・オブ・ザ・ベスト4本…

ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感 --宮下誠

二〇世紀の西洋美術を代表する『ゲルニカ』は、描かれた当時、多くの人に衝撃を与えた。この作品は、一九三七年という、ナチズムやロシア社会主義、フランス、ドイツ、イギリスなどの列強の思惑が交錯し、スペインでは内乱が激化するという、ヨーロッパが不…

13 --古川日出男

古川日出男のデビュー作をようやく読みました。うん、長い!ちょっと長くて疲れました。アラビアの夜の種族も長かったけど、比べると圧倒的にこちらのほうが読みにくい(苦笑) 片方の目だけが色弱で、普通の人とは違う世界を見ることができる主人公の橋本響…