吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

新ナポレオン奇譚 ::G.K.チェスタトン

1904年に書かれた作品で、舞台は80年後の1984年、イギリス・ロンドンの未来を描いている。80年経っても今と全く変わっていない予言的過去時制というスタイルで書かれ、自分の設定した未来をさっさと否定してみせる。 日々同じ事を繰り返すだけの平和な時代に…

少年トレチア ::津原泰水

文庫版の表紙は少年というより青年が描かれている(萩尾望都)ので、内容のイメージがあまり伝わってこなかったが、読み始めは不気味で思っていた以上にグロテスクで嫌~な予感が。。。このペースでこの長編が続いたら辛いかも、と思うような展開です。子供…

新撰組顛末記 ::永倉新八

これも京都に持っていった本です。章が短いので「榎本武揚」が中途半端になりそうなちょっとした隙に同時に読みました。京都が出てくる頻度はこちらのほうが圧倒的に多かったので榎本武揚での京都の地名の記憶はこの本と混同しているかもしれません。(記事…

榎本武揚 ::安部公房

安部公房の作品としてはだいぶ毛色の違う作品です。果たしてどんな作品かと読み始めましたが、あっという間に引き込まれてしまいました。夏休みに京都に持って行く本として選んだのですが、歩いたばかりの地名が出てきたりすると妙に嬉しいものですね。 ノン…

『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために(ポスタルノベル編)

太宰治の未完の「グッド・バイ」が収録され、また伊坂幸太郎のインタビューで構成されている。この本は正直、「バイバイ・ブラックバード」と共に平積みされていたのを見た瞬間に「ついに商売に走ったな!」と憤慨した。と、思いながら結局同時に購入したん…

バイバイ、ブラックバード ::伊坂幸太郎

発売と同時に買ったものの2ページ目くらいでそこから先に進めず、ずっと放置していたのですがようやく読み終えることができました。主人公の星野一彦は5人の女性と付き合っていて、その5人と別れの挨拶に向かう設定なのだが1章から5章までの構成はそれぞれテ…

ブラックジュース ::マーゴ・ラナガン

奇想コレクションとしては珍しく表題が作品名ではありません。色を題名に絡めた短編集シリーズ(他に白と赤)と銘打っているようです。全作品を通して思うことは、あまりにも説明がないこと。いきなり知らない世界に投げ込まれ、一体何が起きているのかを理…

三四郎はそれから門を出た ::三浦しをん

近頃、本をたくさん読むということに関して上を見ればキリがないことに気付き、趣味は読書ですと言うのは止めようかと思うくらいです。そんな思いに追い討ちをかけるようなエッセイを読んじまってやさぐれているところ。三浦さん、色んな分野の本やマンガを…

すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた ::ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

青年はある晩、黒髪の美女が縛りつけられ、漂流しているボートを目にした。女を救出し、浜へと泳ぎ戻った青年は愕然とする。その人物は男だったのだ!盗品とおぼしき大きなルビーを腹部に隠していた男は、よく見るとやはり美しい女にも見える。その男はいった…

垂直の記憶 ::山野井泰史

昨年読んだ沢木耕太郎の作品、「凍」 で描かれたクライマー自信による著書です。沢木さんの文章は劇的で表現力に関してはプロですから素晴らしい作品でした。 2009年の10冊にいれちゃいましたからね。 自ら挑戦したクライミングのことが7章、それに6つのコラ…

海賊モア船長の遍歴 ::多島斗志之

シリーズ第二弾の「海賊モア船長の憂鬱」に続いてさっそく読みました。文庫本で2段組だった事に驚きましたが非常に読みやすくグイグイとストーリーに引き込まれ、こちらのほうが格段に面白かったです。 モアが率いる粗野で、下品で鈍感で、身勝手で、狡猾で…

4444 ::古川日出男

この題名を見た瞬間、これは読まねば、そう思いました。別に古川ファンだからとか、古川作品としては読みやすそうだなとか、成海璃子が絶賛したから(笑)とか、そんな理由ではありません。この題名で三津田さんが作品を書いたらどんな表紙であっても買うこ…

TAP ::グレッグ・イーガン

先に「祈りの海」を読もうと思っていながらなかなか手が伸びず先に奇想コレクションから手を付けました。 色んな分野が網羅されているのでグレッグ・イーガンの作風を絞り込む事は難しいですが短絡的に判断するとハードSFを得意とすると思われます。ただホラ…