吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

平ら山を越えて ::テリー・ビッスン

先月の二人じゃネットに続いて奇想コレクション2冊目のテリー・ビッスンの作品集です。今回の作品は「ふたりジャネット」に比べるとおとなしいというか風刺の強い作品が多い。 「平ら山を越えて」 大きな山の向こうへ向かうトラックの運転手とヒッチハイカー…

こちらあみ子 /今村夏子

表紙が小川洋子さんの「人質の朗読会」と非常に似ていたので手にとってみると、やはり同じ人でした。2作品掲載されてます。 「こちらあみ子」 はっきりと明記されないが、なんらかの障害を持っていると思われる女の子の視線で語られる物語。 中学を卒業した…

ダーティ・ワーク ::絲山秋子

ダーティ・ワークはローリングストーンズのアルバム名で、各章にはストーンズの曲名が冠されている。 worried about yousympathy for the devilmoonlight milebefore they make me runmiss youback to zerobeast of burden 最初の3篇は独立した短編なので、…

11 eleven ::津原泰水

津原泰水という人は自分の頭の中に確固たる世界観があって、その中で浮かぶ物語を自分の思い描いたまま自由に表現しているのでしょう。読者は当然この世界観を共有しているよね?とでも思っているかのように説明がほとんど無く、ギリギリまで研ぎ澄ました言…

三人の二代目(上下) /堺屋太一

久しぶりに堺屋太一作品を読みました。う~ん、もう少しコンパクトにしてほしかった。 有名どころの二代目たちである上杉景勝、毛利輝元、宇喜多秀家という面白いところにスポットを当てた作品です。「新しい仕組み」で織田信長が台頭し始め、上杉家、毛利家…

ブラフマンの埋葬 ::小川洋子

泉鏡花賞受賞作です。舞台はどこかあやふやな場所にある「創作者の家」。そこではホルン奏者や碑文彫刻師やレース編み作家など色々な分野の芸術家に創作の場を与えている。住み込みとして芸術家たちの世話役をしている主人公の青年は、芸術家たちと適度な距…

隅の風景 /恩田陸

酩酊混乱紀行「恐怖の報酬」日記で見事なビール好きを披露していましたが、飛行機にだいぶ慣れてきたのかアチコチに足を延ばしているじゃありませんか。 ロンドン、チェコ、韓国、中国、スペイン、国内(郡上八幡、日光、阿蘇など)を巡る紀行文です。それに…

ヤノマミ /国分拓

先日読んだ「空白の五マイル」と同時に大宅壮一ノンフィクション賞を獲得した作品だったので読みました。 ブラジルの先住民、ヤノマミ族の集落ワトリキ(風の地)で150日間に及ぶ同居生活をした著者はNHKディレクター。この取材に関しては番組としても放映さ…

戯史三國志 我が糸は誰を操る /吉川永青

この作品はなんと主人公が陳宮である。そして従来の長編三国志たちに比べると非常に読みやすい。 小役人の父を持ち、小柄だが頭脳明晰のうえ勇敢で信念を曲げない陳宮は異例の出世を遂げていく。 結婚を意識していた張鈴を董卓に奪われ、取り返そうとするこ…