吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

山の人魚と虚ろの王

著者:山尾悠子出版社:国書刊行会 わずか130ページにゆったりと描かれる世界は夢か現か。 冒頭に書いてあるように、若い妻との新婚旅行の話しである。 夢の話しなのか、幻想なのか、曖昧な時間の展開や 不思議な登場人物たちの存在など何もかも不確かなもの…

宇宙の春

著者:ケン・リュウ編集、翻訳:古沢嘉通出版社:早川書房 日本オリジナル第四短篇集。 肉体を離れ、ある意味寿命の無い生命体となりながら、 宇宙の四季(死期?)が繰り返す壮大な宇宙の流れを描いた表題作は 設定が面白い。 会ったことが無い13歳の娘と突…

バグダードのフランケンシュタイン

著者:アフマド・サアダーウィー翻訳:柳谷あゆみ出版社:集英社 自爆テロが頻発するイランを舞台にする物語は翻訳のおかげで 思ってたより読み易かった。 一番苦労したのは人名。 えっと誰だっけ?の連続で主な登場人物のページを行ったり来たり。 後半はだ…

リフレイン

著者:五十嵐貴久出版社:幻冬舎 「リカ」シリーズも6作目。 ここまで読んでくると、過去にしても未来にしてもできるだけ知りたくて、 とにかく読む。 過去の作品で何度か言及されていた看護学校時代の大惨事が ノンフィクション風に書かれているので、もし…

木皿食堂(4)-毎日がこれっきり

著者:木皿泉出版社 : 双葉社 エッセイにしても小説にしても、日常を普通の言葉で表現しているだけなのに、 なぜか響いてくる。 いつも不思議に思う。 背伸びをしない等身大の自分を飾らずに語ることって案外難しいものだが、 そのあたりの描写の仕方がさら…

夜のリフレーン

著者:皆川 博子編集:日下三蔵出版社 : KADOKAWA 初期から現在までの単行本未収録作品24篇。 比較的短い作品ばかりで1ページで終わってしまう作品もある。 だからと言って侮れない濃密さ。 皆川作品らしい情念とともに見事に浮かび上がる時代背景と空気感の…

見えない手-中国共産党は世界をどう作り変えるか

著者:クライブ・ハミルトン/マレイケ・オールバーグ監訳:奥山真司翻訳:森孝夫 出版社:飛鳥新社 自ら左派と自認するオーストラリア人の著者がそれでも中国共産党を 批判するにはそれだけの証拠と真実があるのだ。 このままではだたの属国になってしまう…