吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

木下昌輝

剣、花に殉ず

著者:木下昌輝出版社:KADOKAWA 宮本武蔵の最後の相手とされる雲林院弥四郎(うじい やしろう)と 熊本藩主細川忠利の友情がメインの話し。 忠利を守りながら独自の剣の道を求める弥四郎は 戦場で出会った宮本武蔵といずれ剣を合わせることを希求している。…

孤剣の涯て

著者:木下昌輝出版社:文藝春秋 過去のいくつかの作品から連なるような構成っぽいが 徳川家康に呪いをかけた犯人を捜しだすよう依頼された宮本武蔵のイメージが 「敵の名は、宮本武蔵」からガラリと変わってしまい戸惑う。 戦国の世が急速に終末に向かう中…

応仁悪童伝

著者:木下昌輝出版社:角川春樹事務所 なかなか理解が進まない応仁の乱だが、たくましく生きる子供たちの目線で描いているためか分かり易い。それでも大いなる内輪揉めのため登場人物の名前でどちらの陣営かを判断するのは難しいので巻頭にある登場人物のペ…

2020年の読書を振り返る

2020年は新型コロナ流行という思いも寄らぬ事態に翻弄されたわけだが、2021年は収束してほしいと切に願うばかりです。 さて、コロナ禍にあって通常なら読書冊数は増えるかと思いきや、案外読めなかったのは何故だろう。むしろ、ぐっと減った昨年を更に下回っ…

戀童夢幻

著者:木下昌輝出版社:新潮社 本能寺の変、千宗易の切腹、豊臣秀次の切腹など戦国の世に名高い数々の事件すべてに関わっていたとされる加賀邦之介。横死した信長と信長を葬った光秀、森乱(蘭丸)や梅若太夫、秀吉や家康ら錚々たる人物たちを芸能と妖しい魅…

信長 空白の百三十日

著者:木下昌輝出版社:文藝春秋 木下さんが「信長公記」を中心に研究、熟読したうえで色々と自分なりに 想像、もしくは妄想を楽しんでいる様が目に浮かぶようだ。 先日抜粋版ではあるが「信長公記」を読んだばかりなので 書店で見かけるや即購入。 呼ばれた…

まむし三代記

著者:木下昌輝出版社:朝日新聞出版 いやあ、面白い!木下さんの代表作がまた一つ増えましたね。斎藤道三絡みでこれほど楽しめた作品はないかも。道三の下克上が一代で為されたものではないとの最新の説を基本としたためとても新鮮なうえに、ち密に構築され…

信長、天を堕とす

著者:木下昌輝出版社:幻冬舎 自分は本当の恐怖を知っているのだろうか。強さとは何か。自問しながら生きる信長の心理描写にかなりのページが割かれる。折々の戦にこんな心持で向かっていたのかと思うと少し切ない気がするが、木下作品はやはり読ませてくれ…

戦国十二刻 始まりのとき

著者:木下昌輝出版社:光文社 応仁の乱の相国寺炎上から脈々と繋がるその後の時代の変わり目を描く連作集。 登場人物たちにかかわるアイテムがうまい具合に繋がっていて楽しめる。 稲葉城乗っ取りにまつわる「小便の城」は他の話とは雰囲気が違いコミカルに…

金剛の塔

著者:木下昌輝出版社:徳間書店 木下さんが少しだけとはいえ現代を描いたのは初めてではないでしょうか。ちょっと新鮮でした。 地震で倒壊したことがない五重塔の歴史と建築にかかわる職人たちの様を、時代を超えて描いている。昨年、森美術館で「建築の日…

炯眼に候

著者:木下昌輝出版社:文藝春秋 織田信長を取り巻く人物目線から見た天才織田信長を描く連作集。 サクサクと読み易い割りに合理的に状況を見極め、何手も先を読みながら天下を 目指す信長の凄さが浮き上がる手際は木下さんらしい。 ちょっと信長が凄すぎるけ…

2018年の15冊

本年もよろしくお願い致します。 2018年の読了数は70冊。分冊でも冊数に数えているので、作品数としては68冊。再読は1冊。長編が多かったので去年より下がったのは残念ですが、まあ良しとしましょうか。その中から2018年の15冊を選びました。いつもの通り順…

2018年8月の読書リスト

9月になりました。仕事のことは棚に上げて、読書の秋にしたいのですが。。。 ようやく宮内悠介作品を全作読了。色々な作品スタイルを持つ作家さんなので、今後はどんな作品がでるのやら。フラナガンの「奥のほそ道」は「グールド魚類画帖」とは違う衝撃的な…

2018年5月の読書リスト

梅雨時期が近付き憂鬱だが、6月は自分のための時間が増やせそうな予感。やりたいことがいっぱいあります。 2018/5/3読了 ::ラヴクラフト全集〈別巻 下〉 H.P.ラヴクラフト 遂に全集読破。 第一巻を読んだのが1980年代だったので一体何年かかったことだろう。…

2018年4月の読書リスト

GWは例年通り、今のところ休み無く働いてます。いい天気なんだけどなあ。せめて後半は休めるよう奮闘中。天気は悪いみたいだけど。ちょっとひと段落ついたので今のうちに読書リストをまとめるぞ!っと、終わったら、仕事発注のメールが2件増えてました(涙目…

2017年の15冊

本年もよろしくお願いいたします。 さっそく2017年をざっと振り返ります。2017年の読了本は78冊。これでも昨年よりは増えたのですが、80冊越えしたかった。毎年10冊と銘打っては優柔不断でそれ以上の選択をしてきたので今年は部門分けしてみました。順位付け…

2017年12月の読書リスト

あっという間に今年も終わりです。仕事は18時頃には終わりたいな。ブログを更新してる場合じゃないか(苦笑) 2017/12/5読了 /西郷の首 伊東潤 まさか加賀藩の人間がメインだとは思えない題名だったが、読み終わると納得。 明治維新の加賀藩士に関する本は読…

2017年3月の読書リスト

次々とぶっこまれる年度末対応、追い打ちをかけるようなプライベートに起きたアレコレ。歯を食いしばりながらほぼ大波を乗り切ることができました。多分。食いしばりすぎてかぶせていた歯がはずれたけれど、どってことないさ。なぜか読書ペースが落ちなかっ…

2016年の印象的な10冊

今年の読了数は74冊。作品数は後で調べます。今年も印象に残った10冊を読了順で書いてみた。 ●パニック・裸の王様 :: 開高健 (2016/1/18読了) ●コドモノセカイ :: 岸本佐知子セレクトの短編集 (2016/1/28読了) 著者12人は後でこっそり書き込むかな? ●暗…

2016年10月の読書リスト

めっきり寒くなりました。風邪気味?という感じなので気付かぬふりをしながら水際で戦っています。寝込んでる場合じゃありませんからね。読書に関しては、ようやく小説に戻れました。 2016/10/7読了 /「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄 顔伯…

2016年4月の読書リスト

粛々と、できることをやります。 2016/4/6読了 /紙の動物園 ケン・リュウ 今年のTwitter文学賞海外部門で1位となった作品なので読んでみた。 SFというかファンタジックな作品が多いが、特筆すべきは中国系の著者だけ あって東洋文化が 色濃く反映されている…

2015年の印象的な10冊

今年の読了数は65作品で67冊。今年も印象に残った10冊を読了順で書いてみた。高野さんの名前が二つあるぞ。 ●恋するソマリア :: 高野秀行 (2015/2/16読了) ●宇喜多の捨て嫁 :: 木下昌輝 (2015/2/28読了) ●狗賓(ぐひん)童子の島 :: 飯嶋和一 (2015/3/29…

2015年8月の読書リスト

いつの間にか9月に。。。 2015/8/7読了 ::トマト・ゲーム 皆川博子 初期の作品集ゆえ最初こそ古さを感じる表現が多かったが、濃密かつ淫靡な世界の 強烈さ、人の心の奥底にあるやり切れないドロドロ感が読んでいる間、 ずっと苦しい。 特に「蜜の犬」は落と…

2015年2月の読書リスト

1月に買った本がなかなか読みはじめられず、じれったい。 2015/2/7読了 /仁義なきキリスト教史 架神恭介 以前よりキリスト教がなければ多くの戦争って起きなかったのでは?と思いつつ 本気でキリスト教の歴史を知ろうと努力したことが無いため、 ヤクザの世…