BOOKデータベースより引用
吉田松陰の開いた松下村塾で頭角を現し、激動の幕末期に大局を見極める眼力と圧倒的な
行動力に恵まれ、日本の維新回天を目指した男。長州藩の藩策統一に奔走、上海への渡航、
奇兵隊結成…など。
新しい時代に向けて駆け抜けた晋作の生き様を滋味溢れる筆致で名手が描く長編小説。
吉田松陰の開いた松下村塾で頭角を現し、激動の幕末期に大局を見極める眼力と圧倒的な
行動力に恵まれ、日本の維新回天を目指した男。長州藩の藩策統一に奔走、上海への渡航、
奇兵隊結成…など。
新しい時代に向けて駆け抜けた晋作の生き様を滋味溢れる筆致で名手が描く長編小説。
高杉晋作が主役の作品は何年かおきに読みたくなります。
説明を読む限り、いずれの「高杉」本にも共通する謳い文句だが、
本書は今まで読んだ高杉モノとは趣が違う。
しかし500ページ以上の長編にもかかわらず正直なところ物足りない。
物語は高杉の行動をトレースするだけではなく、高杉をつけ狙う謎の女「お市」と、
それに協力するハメに陥る公儀の目付け「信太」の話しも並行に進行する。
それはそれで今まで読んだ事のないパターンでいいのだが、遊び人「高杉」が強調されすぎている反面、
なぜ高杉が長州藩内で人気があるのか、なぜ人を動かす力があるのかなど高杉の魅力が描かれていない。
いや、高杉だけではなく他の人物に関しても同様に人物像が省略されすぎて、
全体を通して薄っぺらな感じがする。
また、命を狙う側にも狙われる側にも緊迫感がほとんど感じられない。
長州藩と幕府の間にあるはずの緊迫感も感じられない。
期待が大きすぎたのかもしれないが、とても残念。
名のある作者には申し訳ないが何を描きたかったのかが理解しにくかった。
せめて半分のページ数にまとめてくれればもう少し違う印象になったのではないだろうか。
どうせなら徹底的に狙う側からの目線に徹しても良かったのではないかと思います。
つい、司馬先生の作品はやっぱり面白いなあと思ってしまいました。
今回は残念でしたが、高杉晋作の絡む作品は継続して読み進めようと思っているので、
これも一度は通る道なのだと自分に言い聞かせるのでした。