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たまさか人形堂物語 ::津原泰水

祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。
「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。(「BOOK」データベースより)

 

6編の連作小説集。
世田谷にある人形の店、玉阪人形堂の女主人の澪は知識もないのに祖父から店をなかば強引に継がされる。
そこに少々生意気な冨永がアルバイトとして押しかけてくる。しかしながら人形を修復する腕は確か。
そして素性が謎ではあるが相当な実力を持つ人形師、師村の三人を中心に、人形にまつわる人間模様が描かれる。

 

個人的には人形に対する思い入れはあまりなかった子供時代を過ごしたため、果たして本作を楽しめるだろうかと思っていたが案外読みやすく、人形が持つ魅力、人形に思いを籠める人たちの姿を最後まで興味深く読めた。
基本は爽やかな展開ですが、そこは津原さん、人形と関わる人たちの気持ちや行動には
何気なくダークな部分も感じます。
「最終公演」とか「毀す理由」とかちょっとゾワリとしました。
もっとダークを前面に出してくれてもいいのに(笑)

 

ラストの展開はほぼ予測できてしまいましたが、続編でも出そうな終り方でした。
シリーズ化したらきっとダーク多めのストーリーも書いてくれそうな気がするので、
是非書いてほしいなあ(笑)