吉祥読本

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木曜の男 ::G.K.チェスタトン

無政府主義者の秘密結社を支配している、委員長〈日曜日〉の峻烈きわまりない意志。
次々と暴露される〈月曜〉、〈火曜〉……の各委員の正体。前半の奇怪しごくな神秘的雰囲気と、後半の異様なスピードが巧みにマッチして、謎をいっそう奥深い謎へとみちびく、諷刺と逆説と、無気味な迫力に満ちた逸品として、一世を驚倒させた著者の代表作!(東京創元社サイトより引用)



新ナポレオン奇譚でとても気になる作家さんになったのであまり間を空けずに読まねばと手に取りました。
本書は「木曜の男」となっていますが、「木曜日だった男」という題名のほうが知られているようで題名が微妙に色々あるのは混乱のもとですね。

 

無政府主義者の秘密結社にもぐりこんだ詩人のグレゴリーは委員会の議長であり、
通称「日曜」と呼ばれる謎の男の正体を探る。
その他の幹部たちも月曜から土曜の呼び名を持ち、グレゴリーはまんまと木曜になってしまう。
幹部たちの正体と委員会の真相が徐々に暴露され始めるが。。。。

 

月曜の正体がわかったとき、そのあとの展開がすっかりわかってしまった。
この作品を読んだ記憶は無いが、この展開はその後の作品に影響を与え、
その影響された作品を読んだのかもしれない。記憶は無いのだが。。。
予想通りの展開となってしまったが、だからといって興ざめしたわけではない。
むしろどのような結末になるのだろう?と、オトシマエの付け方が気になって仕方が無い。

 

本格推理小説かと思ってましが、前半は幻想的で謎めいた雰囲気であり、後半はうって変わって展開の早いドタバタした映画を観ているかのような逃走劇、という感じの作品で意外でした。
幹部たちの哲学めいた不条理感漂う会話が一番楽しめたところでしょうか。

 

と、そこまではいいのですが、ラストはやけに宗教めいた話になってしまい、正直理解を超えてしまった。
海外モノを読んでいると宗教めいてしまうのはよくある気がしますが宗教をよく知らんので。。。
1908年の作品でもあるし、致し方ないところか。
少なくとも推理小説というカテゴリには入らないと思います。
評価の高い作品のようですが、トータルでは「新ナポレオン奇譚」のほうが好きな作品でした。