吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2012年4月の読書リスト

いつの間にか5月も中旬に。。。
4月20日過ぎだったか、相方に任せたら暗証番号を3回以上間違えてしまい
銀行のキャッシュカードが使えなくなりました。銀行印がどれだったか不明のため、
本人が解除手続きしないといけなかったのですが、仕事の都合で解除できたのは連休明け。
(可能性のある印鑑を7本も持っていったらさすがに驚かれました)
口座から諸々の料金は引き落としされるのに本人が金を引き出せないのは、なかなか悔しいものですね。

 

4月も7冊。うち3冊が円城塔でした。

 

2012/4/4読了
/烏有此譚
円城塔
 穴と灰の物語。意味は解らないので聞かないでほしい。
 しかし、この作品は面白い。だったら読んでみようと気軽に思わないほうがいい。
 翻弄されるだけだ。あとは自己責任でどうぞ(笑)。
 本来は本文を補完するはずの注釈が邪魔をする。注釈が面白すぎて本文を見失ってしまう。
 注釈の注釈、注釈の注釈の注釈・・・独立した注釈まで出る始末。
 訳がわからなくなっていくのに度々忍び笑いをしてしまう。
 小説か?哲学書か?いやいや、ただのホラ話。
 読み手の気持ちを待ち伏せしているかのような作者の深謀遠慮にしてやられた気分。
 ちなみに題名は「うゆうしたん」と読みます。

 

2012/4/8読了
/戯史三國志 我が土は何を育む
吉川永青
 「我が糸は誰を操る」陳宮「我が槍は覇道の翼」では程普と渋いキャラ目線の渋い三国志もいよいよ完結。
 締めが蜀の廖化とは更に渋い!独立して読める三部作ではあるが前2作を読んでいるとより楽しめる。
 前作と絡めてうまくまとめられている。
 子供の頃の辛いエピソード、友情、恋、そして国を思う気持ちなど一人の男が
 自らの人生を語ることで三国志という舞台がわかりやすく浮かび上がる良作。
 シリーズが完結してしまったのは残念!

 

2012/4/11読了
/或るろくでなしの死
平山夢明
 言葉の使い方は間違っているが、漠然と自分の命の生殺与奪権を自ら握っていると考えていた気が
していたのは大きな間違いなのかもしれない。
 いつものように描写はグロいが、それ以上に人間の本質に思いをめぐらしてしまった。
 だかといってお奨めしているわけではありませんので平山作品を読む際にはご注意を。

 

2012/4/15読了
/道化師の蝶
円城塔
 枝分かれする洞窟は、入口から見て迷路でも、奥から見れば一本道であるのと同じく。(P40より)
 円城作品を読み解くヒントに思えたが、迷路にはまったまま奥まで行けず一本道は確認できなかった。
 時々理解できた気がしたと思ったら蝶のように手の平から逃げられてしまう感覚か。
 それでも面白さを感じてしまう不思議。

 

2012/4/21読了
/バナナ剥きには最適の日々
円城塔
 円城作品としてはわかり易いと言えばわかり易い。が、読み易いが読み解くのは難しいというのが
 正解か。
 「equal」が美しくて大好物だった。ここ最近の円城作品漬けは大変だったが、説明不能の面白さに
 中毒性あり。
 偶然のタイミングだが図書館で円城塔の作品を2冊同時に受け取った時の嬉しさと戸惑いは、
 円城作品を読んだ人にならきっとわかってもらえると思う。

 

2012/4/24読了
::ラピスラズリ
山尾悠子
 緻密に練られた物語が積み重ねられているのは感じ取れたような気がする。
 が、何が積み重ねられているのかがわからなくて読んでいてもどかしい。
 目の前にある絵画がふと動き出したかのような描写に取り込まれ、
 錯覚の連続にただただぼうっとしているかのような、そんな読書体験。

 

2012/4/30読了
::トーイン クアルンゲの牛捕り
キアラン・カーソン
 カーソンの作品が出ていることに気が付かなかったのは不覚でした。。。
 読みはじめこそ展開や描写の奔放さに戸惑うが、慣れて来るとかなりスプラッタな内容が
 含まれているにもかかわらずユーモラスで想像力を掻き立てられ、引き込まれる。さすがカーソン。
 しかし「琥珀撮り」 「シャムロック・ティー」のような作品を期待していただけに物足りないんだよなあ。

 

4月は手強くも読み応えのある作品が多かったせいか充実感も一入です。