吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2012年8月の読書リスト

あっという間に8月も終わりですね。9月は休みたいなあ(ただのボヤキです)



2012/8/4読了
/木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
増田俊也
 題名が刺激的。とにかく長い作品で返却期間との戦いでした。
 奇しくもオリンピックの柔道を横目に読んでいたが、柔道はJUDOとは別に
 存在するべきなのではないかと 強く思ったのはこの作品を読んでいたからだ。
 前半の栄光に包まれた木村、力道山の騙まし討ちによる敗退をきっかけに転落していく
 木村の人生はあまりに切ない。
 晩年の奥さんとの会話にはジンと来た。猪瀬直樹が木村にインタビューした作品(既読)も
 本作に引用されているが、「枯れない殺意」の行方は、柔道、格闘技の歴史にとどまらず
 日本の裏面史とも複雑に絡まり大変興味深いものだった。
 格闘技ファンには特にお奨めですが、そうではなくても楽しめると思います。

 

2012/8/9読了
/ロスジェネの逆襲
池井戸潤
 いつも通りの予定調和であるものの、この爽快感は何度読んでも堪らない。
 エンディングに向かうに従って共感できる言葉や元気になれる言葉が次々と背中を
 押してくれる感じがした。
 半沢や次を託される森山たちの仕事に対する姿勢が眩しいね。

 

2012/8/16読了
/つなみ 被災地の子どもたちの作文集 完全版
森健
 吉村昭「三陸海岸大津波」東日本大震災版を意識したとある作文集。
 原発で避難している子供たちの作文も掲載されている。
 あの大震災と子供たちの作文を読むのは「三陸海岸津波」を読んだ時のように「辛いかな?」と
 思っていたが、でも知っておかなければと読んだ。
 辛い体験をしているにもかかわらず前向きで、自衛隊やボランティアの人たちに感謝している作文が
 多くて驚いた。
 原発で避難した子供たちの作文には「いじめ」を乗り越えて友達ができたことを喜ぶ姿や
 東電に勤める親を持つ子供の作文もあり、色々と考えさせられた。
 大人になったら、もっといろいろな思いを語って欲しい。

 

2012/8/17読了
::猫ノ眼時計 (幽明志怪)
津原泰水
 遂に完結かあ。表題作も「日高川」も「玉響」も雰囲気がいい。
 アイダベルと猿渡のユーモラスな会話もいい。
 そしてやっぱり豆腐もいい。
 「城と山羊」は長かったけどシリーズの様々な要素を感じさせる作品だった。
 巻末の年表を見てしまうと、年表の順番に読みたくなる。きっと違う世界が現れるに違いない。

 

2012/8/20読了
/オレたち花のバブル組
池井戸潤
 「ロスジェネ~」読後、シリーズ二作目を読んでいないことに気づいて慌てて読んだ。
 半沢のスジの通し方が格好いい。目が離せない展開は結果がある程度分かっていても楽しめた。
 このシリーズは続けて欲しい。

 

2012/8/22読了
/またやぶけの夕焼け
高野秀行
 高野さんの現在に通じる子供の頃の日常が描かれている。
 あの頃の八王子は探検する場所には事欠かなかったんでしょうね。(人のことは言えないが)
 懐かしいキーワードがいっぱい出てくるので、忘れていた記憶の引き出しがずいぶんと開きました。

 

2012/8/26読了
/中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史
那覇
 タイトルと中身の乖離で損をしている気がするが、新しい切り口の歴史観は刺激があって楽しめた。
 ただ、意図的とはいえ挑発的でところどころ軽薄な文体には何度も辟易した。
 内容としてはとても面白いので終章近くの抑制を利かした文体で通してくれたらなと。

 

2012/8/28読了
/居心地の悪い部屋
(オムニバス)
 確かに居心地が悪い。。。特に「来訪者」と「潜水夫」は印象的。
 いずれも奇想コレクションの短縮版みたいな作品群でした。
 知らない作家ばかりなのでこれから読む範囲が広がりそうです。



やたら忙しかったわりには8冊読了ということで、ワリアイ頑張ったと自分を褒めてあげたい気分です(笑)