吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2013年4月の読書リスト

なかなかどうして。



2013/4/7読了
 ::チューリングの大聖堂: コンピュータの創造とデジタル世界の到来
 ジョージ・ダイソン
 高等研究所に集められたアインシュタインチューリングオッペンハイマーなど
 多くの天才たちによって始まるデジタル宇宙の創世記を膨大な資料を基に浮かび上がらせる。
 その中心的人物として多分野で手腕を発揮したのがフォン・ノイマン
 登場人物が非常に多く、題名もチューリングを冠しているが本書の中心もノイマンである。
 技術力の進歩の背景には概ね戦争が関係しているが、その中でもコンピュータと核兵器との密接な関係性には考えさせられる。
 しかしそのデジタル宇宙の明暗に恩恵を受けている現実も忘れてはいけないだろう。



2013/4/10読了
 /狭小邸宅
 新庄耕
 読み易いが全体的に展開が粗い印象を受けた。
 もう少し細かい心理描写や説明があれば入り込めそうなのに
 不動産会社の悪い印象だけが残ってしまうよう。



2013/4/14読了
 ::グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた
 辻野晃一郎
 良い意味でも悪い意味でも著者の自負心の強さを感じるが、素直に共感できる部分も多くあった。
 ソニーの患っている大企業病は、正直なところ早く治ってほしいのだが。



2013/4/21読了
 /茜色の空
 辻井喬
 当時はアクの強い政治家が多かったため、大平正芳の存在感は正直感じられなかった。
 志高く慎重で相手を思い遣る姿勢はとても好感が持てるが、魑魅魍魎が跋扈する世界では通用しないのかもしれない。 政治家・大平正芳ではなく、内面的なところにスポットを当てた著書は予想以上に楽しめた。



2013/4/26読了
 ::木皿泉 ---物語る夫婦の脚本と小説
 (文藝別冊)
 毎年夏になると観てしまうドラマ「すいか」を、同じように大好きな人たちが結構いるのが嬉しい。
 またそんな人たちの思いを読めるのも意味もなく嬉しい。ああ「セクロボ」も観直したい。
 それから短編小説「晩パン屋」とかラジオドラマのシナリオとか、木皿ファンには嬉しい読み物が詰まってます。
 小説「昨夜のカレー、明日のパン」もすぐに取り掛かかるのだ。楽しみ楽しみ。



2013/4/27読了
 ::ポップ中毒者の手記(約10年分)
 川勝正幸
 80年代の懐かしい文体に包まれつつ博覧強記ぶりが存分に発揮されている。
 主にブロスで連載を読ませていただいていたが、まだまだ読んでいたかった。
 締めの謝辞、それから小泉今日子のインタビューは泣けます。



2013/4/29読了
 ::昨夜のカレー、明日のパン
 木皿泉
 何気ない日常を描いているだけなのに木皿泉の紡ぐ言葉には心を動かす力がある。
 それはなぜこんな場面でジンとしてしまうのか、不意にやってくるのだ。
 『「すいか」、あります』って感じ。



7冊読了。