吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2014年8月の読書リスト

怒涛の図書館本攻撃に目が廻った一か月だったが、何とか読み切った。
文字の嵐に少し吐き気がするが、断じて飲み過ぎではない。と思う。



 2014/8/5読了
 ::銀翼のイカロス
 池井戸潤
 ストーリー展開、キャラ設定はすっかり定型化しているため、初期のドキドキ感は
 得られず、結局ギリギリ切り抜けられるんだろうみたいな感覚のほうが
 勝ってしまうのは残念。
 それでも一気に読ませる面白さ、スッキリ感は相変わらず堪能できた。
 富岡は「七つの会議」の八角さんみたいでいい味出してた。
 中野渡の決断は予想できたが、やはり残念。
 このシリーズはここで打ち止めのほうがいい気がするが、でもやっぱり続編が
 読みたいような。。
 いっそ開き直って「課長島耕作」シリーズみたいに「頭取半沢直樹」まで
 続けるってことも有りか?



 2014/8/8読了
 /紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている
 佐々涼子
 本を読んでいても紙について思いを巡らせることはなかなか無い。
 ましてや東日本大震災日本製紙石巻工場がどのような状態に陥ったか、
 そして復興を遂げたかなど考えもしなかった。
 震災の現場で何が起きていたか、良いことも悪いことも読めるのは
 本があるおかげだ。
 本を読める事に感謝します。



 2014/8/9読了
 ::サンドキングズ
 ジョージ・R.R.マーティン
 題名からしていかにもな「〈蛆の館〉にて」はRPGのダンジョンを思わせる展開。
 ノワールな「スターレディ」は短い文章でありながら背景にある世界観が分かり
 易い。
 「サンドキングズ」は大筋の展開が予測できるにもかかわらずこの短編集の中で
 最も面白いホラーテイストなSF作品だった。
 この三作がお気に入りだがその他の作品も含め、ちょっと懐かしさを伴う世界観を
 持つSF短編集。



 2014/8/12読了
 ::イスラム飲酒紀行
 高野秀行
 「私は酒飲みである。休肝日はまだない。」俺のことか?いや、イスラム圏で
 あそこまで酒に拘る高野さんには及ばない。
 何かといえば酒を飲む理由を探しているなんて共感しちゃうじゃないか。
 酒の楽しみは万国共通なんだなあと思った一冊。



 2014/8/16読了
 /小説 外務省-尖閣問題の正体
 孫崎享
 実名を出しているためノンフィクションのようだが、フィクションを織り交ぜながら
 今後の日中関係を示唆している。
 著者が今まで前著で示してきたものを小説化してもう少し深く突っ込みたいと
 考えたのだろう。
 日中関係を感情的に考えてはいけないことは理解できる。
 日本の外交能力の無さもわかる。
 ただ、偉そうに書くが小説としては稚拙さを感じた。



 2014/8/19読了
 /映画の奈落: 北陸代理戦争事件
 伊藤彰彦
 映画「北陸代理戦争」は観たことがなく、モデルとなった組長がこの映画を
 きっかけに殺された事件も知らなかった。
 1970年代以降の映画と暴力団との関係、そしてヤクザと映画人の凄まじい矜持と
 奈落が静かな熱気を伴って迫ってくるようで読み応え十分。



 2014/8/24読了
 /恐怖の作法: ホラー映画の技術
 小中千昭
 実際の制作現場での恐怖の演出、技術だけにとどまらず、懐かしい映画への言及も
 多く、またネット上に溢れて来た恐怖にまで論考を広げていて面白く読めた。
 津原泰水との関係から本書が出版され、「妖都」の出版には小中千昭
 絡んでいたとは。
 二人のトークライブ、行こうと思っていたが仕事で行けず、今さらながら残念。



 2014/8/29読了
 /野望の憑依者
 伊東潤
 足利尊氏の執事である高師直が主人公となり、野望と欲に囚われた者たちを
 描いている。
 高師直に馴染みが無いのと、早い段階で展開が読めてしまったので少し意地の悪い
 読み方をしてしまったが、それでも読ませてくれるところは流石。
 楠木正成を主人公とした伊東作品も今後読みたいですね。



 2014/8/31読了
 ::スタープレイヤー
 恒川光太郎
 「金色機械」で時代ものSFへ踏み込んだかと思ったら今度はRPG的世界へと
 恒川ワールドを広げて楽しませてくれた。まさしく一気読み。
 今後どのようにストーリーが広がっていくのか楽しみです。




9冊読了。