吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2016年6月の読書リスト

6月は色々としんどかったせいか、あっという間だったなあ。



 2016/6/6読了
 /たんぽぽ殺し
 アルフレート・デーブリーン
 短編集のわりにかなり読むのに苦労した。これは何を言っているのだろうか?
 と考え始め、読みながら別のことに思いを馳せている自分に気が付いて慌てて
 読み直すことを繰り返していた。
 体調の良いときに一日一作読むようなペースだったので読後にはボウッとしていた。
 それでも「たんぽぽ殺し」の狂気と「ローベンシュタイン人のボヘミア大移住」の
 寓話的な作品が面白く読めた。
 ワニのような肌になっていく女の子を描く「クロコダイル」も印象的。



 2016/6/17読了
 /アメリカの真の支配者 コーク一族
 ダニエル・シュルマン
 題名から考えていた内容との乖離が大きくて。。。
 アメリカの富豪トップ10に名を連ねるチャールズ・コーク
 デイヴィッド・コーク兄弟が政治にどのように関わっているか興味深いものが
 あったが、その他の兄弟との長年に渡る確執に多くのページが割かれていて、
 正直うんざりした。
 凄い兄弟がいるもんだなとは素直に思うし、表舞台に立ってからそれほど年数が
 経っていないので仕方がないのかもしれないが、直近の情報にもう少し力を
 入れてほしかった。



 2016/6/21読了
 /決戦!川中島
 冲方丁,宮本昌孝,木下昌輝,矢野隆,乾緑郎,吉川永青,佐藤巖太郎

 

 決戦!シリーズの第四弾は川中島武田信玄上杉謙信の戦いをそれぞれの視点で
 描く手法は今まで通りだが、謙信の戦闘能力の高さはどの話でも共通に
 描かれていた一方、宮本昌孝の「うつけの影」では信長や家康の動向に危機感を
 持つ信玄が人間臭く描かれ、最近読んだ伊東潤の「吹けよ風 呼べよ嵐」では冷徹な
 悪役だっただけに親近感すら覚えてしまった。
 今回はどの作品も平均的に面白く読めたので、次の桶狭間も楽しみ。
  冲方丁  :「五宝の矛」
  佐藤巖太郎:「啄木鳥」
  吉川永青 :「捨て身の思慕」
  矢野隆  :「凡夫の瞳」
  乾緑郎  :「影武者対影武者」
  木下昌輝 :「甘粕の退き口」
  宮本昌孝 :「うつけの影」



 2016/6/24読了
 /楽しい夜
 マリー=ヘレン・ベルティーノ,ルシア・ベルリン,ミランダ・ジュライ,
 ジョージ・ソーンダーズ,アリッサ・ナッティング,ブレット・ロット,
 ジェームズ・ソルター,デイヴ・エガーズ,エレン・クレイジャズ,
 ラモーナ・オースベル

 

 岸本佐知子さん編訳の10人の作家からなるアンソロジー
 不気味で不穏で背筋がぞくっとする作品から切ない話までいつもながらよくも
 集めたものだ。
 「アリの巣」「亡骸スモーカー」のアリッサ・ナッティングは今後も注視したい
 作家。
 「テオ」、「三角」(「コドモノセカイ」で「七人の司書の館」を書いた人!)、
 「安全航海」など、それぞれテイストの違う作品ながら行間から色々な感情が
 湧きあがるような作品が多かった。
 今後も背負っている行商のかごからどんなおいしいものが出てくるか、
 楽しみにお待ちします。
  マリー=ヘレン・ベルティーノ :「ノース・オブ」
  ルシア・ベルリン      :「火事」
  ミランダ・ジュライ     :「ロイ・スパイヴィ」
  ジョージ・ソーンダーズ   :「赤いリボン」
  アリッサ・ナッティング   :「アリの巣」
  アリッサ・ナッティング   :「亡骸スモーカー」
  ブレット・ロット      :「家族」
  ジェームズ・ソルター    :「楽しい夜」
  デイヴ・エガーズ      :「テオ」
  エレン・クレイジャズ    :「三角形」
  ラモーナ・オースベル    :「安全航海」



 2016/6/30読了
 ::虚数
 スタニスワフ・レム
 「実在しない書物」の序文集と、人類を越える知能を持つコンピュータ
 「GOLEM XIV」の人類に対する講義録。
 物理、宇宙、哲学等々さまざまな分野を縦横無尽に駆け巡り、脳ミソが
 追いつかない。
 その最たる「GOLEM XIV」の講義は面白いのだが、冗長気味で飽きてしまった。
 序文集に関しては、それぞれ呆れるほどの発想力、想像力に驚かされる。
 非常に疲れる読書となり、読んでる間中に顔の皺が増えてしまった気がする。




5冊読了。