吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2017年6月の読書リスト

6月は佐藤亜紀を読んだ後、突如文章を読むのが辛くなってきてしまって。。。
仕事に追われて精神的に余裕が全く無かったせいだが、読む予定だったケアリーの三部作は今後の出版予定を見て先延ばしでも大丈夫だなとさっさと諦め、
積んであったブラッドベリの短編集なら行けるかと思ったが数編読んでストップ。
他に2冊ほどチャレンジしたがどうしても集中できず。
やっとチビチビと「イモータル」を無理やり読み切ったが調子が出ず、
これでどうだ!っとばかりに気になっていた「彼女がエスパーだったころ」で
ようやく元の調子に戻った感じで胸を撫で下ろしているところ。
終わってみれば冊数的にはいつもの通りって不思議ですが、こんな時も有るんでしょう。
7月はもう少し読めるといいな。



 2017/6/5読了
 ::アキラとあきら
 池井戸潤
 ページ数を感じさせずに一気読み。新作かと思いきや10年前の作品でした。
 池井戸作品の方程式はそのままに二人の主人公が違う環境から同じ銀行という
 舞台に立ち、バンカーとして成長していくストーリー。
 突っ込みたいことはいくつもありつつ、だけど面白いからいいよなって思わされる
 展開は流石です。
 今回の作品は内部の先輩バンカーに悪人がほぼいなくて(ライバル銀行は別だったけ
 ど)、良いものは認めるというプロとしての矜持を持っている人が多かったことに
 より爽快感が増したのでしょう。
 続きを読みたいですね。



 2017/6/11読了
 /決戦!新選組
 葉室麟/門井慶喜/小松エメル/土橋章宏/天野純希/木下昌輝
 幕府の終焉が近い時期の新選組の面々が描かれる連作的な6作品。
 崩れつつある秩序の中で苦悩するメンバーの思いが綴られていてうまく纏めている。
 未読の作家さん(小松エメル、土橋章宏)が読めるのもこのシリーズの楽しみの
 一つだが、今回は天野純希「死にぞこないの剣」、木下昌輝「慈母のごとく」が
 特に良かった。



 2017/6/16読了
 ::ミノタウロス
 佐藤亜紀
 帝政ロシア崩壊直後で混乱を極めるウクライナで、後先考えずにありとあらゆる
 悪事に手を染める主人公ヴァシリ。
 前半は文体のせいもあり乗れなかったが、ヴァシリでさえその行動に戸惑う
 破天荒キャラ、ウルリヒの登場で一気に面白くなってくる。
 クールで聡明で残虐さを装うが、最後まで洗練されることなく弱さを露呈してしまう
 ヴァシリのアンバランスさがこの題名と繋がるのか。
 最後のシーンは映画を観た後の残像のように頭の中に浮かび上がってくる。



 2017/6/26読了
 ::イモータル
 萩耿介
 宗教書「智慧の書」を巡るムガル帝国の皇子ダーラー・シコー、フランスの学者
 デュペロンなどを主人公に時や国を超えて展開される物語だが、
 面白く読めるところもあるという感じ。
 主人公たちは行動的に描かれているが、どこか必死さが感じられないというか、
 全体に諦観に支配されてしまっているというか肝心の核心が曖昧すぎて
 イライラさせられることの方が多かった。
 評価が高いようだが、それほどに感じなかったのは自分の知識不足に
 起因するのだろうと割り切りました。

 

 
 2017/6/30読了
 /彼女がエスパーだったころ
 宮内悠介
 確かな知識と情報を基に書き上げられ、小難しくも無く淡々としながら引き込まれる
 短編集だった。(各短編集ごとに参考文献が掲載されていたので納得)
 最初、法螺話っぽいなと円城塔を読み易くしたような印象だったが、次第に
 醒めた感覚が伊藤計劃っぽくもあるなと。
 一括りにしてしまうようで申し訳ない感想だが、簡単に言えば好きなタイプの
 作家さんだったということ。
 さっそく宮内作品を2冊「買っちゃった」。



5冊読了。