吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2018年6月の読書リスト

ここのところ毎年思うのですが、どうしてこうも暑いのでしょう。変化が極端なんだよなあ。。。

 

世の中、何が起きるかわかりません。おかげで8月一杯まで休みが無くなりそうです。
吉と出るのか凶と出るのか、とにかく踏ん張って頑張るのみです。

 

それにしても買おうとしている本がことごとく高いのですが、「本のエンドロール」を読んでしまうと仕方がないかと溜息ひとつ。



 2018/6/1読了
 /辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦
 高野秀行/清水克行
 同じ本を読み、お互いの得意分野からの目線で語られる感想や見解が繰り広げられる
 様子はなんて楽しそうなんだろう。
 積み上げられた経験と知識で膨れ上がる対談は面白すぎるが、読みたい本が増えて
 しまってちょっと困るかな。



 2018/6/3読了
 /ディレイ・エフェクト
 宮内悠介
 それぞれタイプの違う3つの短編。
 表題作は星新一「午後の恐竜」みたいな作品かと思いきや案外アナログなオチで
 嫌いではないが、リバースとなるとアイディア自体の消化不良なのではないかと
 感じた。
 「空蝉」は音楽絡みのミステリーで今度は津原泰水の「クロニクル~」シリーズを
 思い浮かべる。
 「阿呆神社」に至っては雰囲気といい万城目学の「パーマネント神喜劇」か?
 と思うも、いい塩梅の人情劇で案外好きな作品だった。



 2018/6/11読了
 /分解する
 リディア・デイヴィス
 岸本佐知子さんの翻訳本を読みたくて「サミュエル・ジョンソンが怒っている」を
 読もうと思っていたが、どうせならデビュー作からと読み始めたが、感想が難しい。
 数行から数ページの短編集だが、日常の何気ない一部をただ切り出しただけだよな~
 というものから、何となく不穏な感じなものまで、掴みどころがない小品が多い。
 元夫であるポール・オースターとの思い出話しっぽい「骨」、不思議な人間関係と
 心理を描く「設計図」が印象的だが、数行で描かれる「魚」が好みの作品。



 2018/6/16読了
 /奪うは我なり 朝倉義景
 吉川永青
 朝倉義景が主役という渋さ。名前は知っているが、確かに知識があまり無い武将。
 信長をじっくりと追い詰めようと画策するもその特異なキャラクターにより、
 本人の思いは周囲にほぼ理解されることが無い。
 運のない優秀な策士だったのか、策に溺れる愚鈍な武将だったのか、
 いずれにしても時代は彼を選ばなかったということ。



 2018/6/19読了
 /極夜行
 角幡唯介
 約4カ月間太陽が昇らない極夜。その間、一匹の犬と共にひとりで極地探検した
 著者の壮絶な記録。
 数年かけて備蓄していた食料や燃料を白熊や人間に荒らされ、大事な道具を無くし、
 暗闇の中を体験したことも無いブリザードの襲来や飢餓で命の危険に晒される状況の
 中で、自分と向き合う姿が素直な、いや素直すぎる気持ちが吐露されている。
 犬に対する葛藤が探検の厳しさを表しているが、それらの厳しさを乗り越えた時に
 昇る太陽の神々しさやありがたみが伝わってきた。



 2018/6/22読了
 /白墨人形
 C・J・チューダー
 1986年頃の少年時代に起きた凄惨な事件、何気なく過ごしていた日常に隠されていた
 こと、30年たって再び引き戻される不穏な事態が交互に語られ、進行する物語。
 次が気になってしまう展開やノスタルジックな雰囲気は心地よい。
 ラストは、ん?って感じだったが、ジワリとそういうことか、と思わされ、
 切ない読後感。



 2018/6/26読了
 /新選組の料理人
 門井慶喜
 ひょんなことから新選組に賄いとして入隊した菅沼鉢四郎の視線で描く新選組
 顛末。
 原田左之助との出会いがきっかけで全く剣術に疎い男が賄いという形で新選組
 入るというのは面白い設定だが、主人公の影が薄いのは他の面々の個性が強いから
 仕方がないのか。
 血生臭さよりも人情噺に重きを置いた感じ。



 2018/6/30読了
 /本のエンドロール
 安藤祐介
 「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」同様、てっきりノンフィクションだと
 思ってたのですが、小説でした。
 印刷会社の営業さんとは何度か仕事をしていて思っていたのですが、彼らのような
 仕事はできないな、ということでした。
 客の要望で変更の嵐、締め切りとの闘いぶりを見ていつ寝ているの?と
 疑問が湧きっぱなしでした。
 そんな彼らを題材とした本書を読んで成程と思うことばかり。
 本の成り立ちには色々な形でかかわる人がいて、それぞれの立場で矜持をもって
 携わっているのだなと思うと大事に読まないと。
 やはり本は紙で読みたいしね。



8冊読了。