吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2019年2月の読書リスト

たった2~3日短いだけなのに他月と同じペースで考えてないか?と発注先への不満を
ここに書いても解決しないのだが、書いてみた。
Q10」の直後に読んだ「リハーサル」。内容のギャップに眩暈が(苦笑)
ストーリー展開としては粗さを感じたが、「リカ」シリーズから目が離せない。。。



 2019/2/3読了
 /大友二階崩れ
 赤神諒
 二階崩れに関してはさらっと流された印象で、その後の大友家重臣、吉弘家を描いて
 いる。
 登場人物の名前が似通っていて解り難いということもあり、慣れるまで物語に
 集中できなかったうえに吉弘鑑理の「義」にこだわるあまり大事なものを失う
 人物像に共感しにくい。
 ただし、この後の物語には興味があるので続編が出れば読むかもしれません。
 関係無いが、地図が最後に付けられているのは、何故?



 2019/2/11読了
 ::増補 夢の遠近法: 初期作品選
 山尾悠子
 初期の作品とは思えない濃密な空気感に圧倒される。
 作品に注ぎこまれた熱量が文字から湧き出し一心不乱に物語(いや物語なのだろう
 か?)を紡ぐ姿が浮かび上がるよう。
 「夢の棲む街」と「遠近法」がお気に入りだが、それ以外の作品もじっくり
 読みこまないと何を読んでいるのかわからなくなる。
 緻密に構築された「腸詰宇宙」といいグロテスクな様々な描写といい言葉で幻想的な
 世界を構築するとはこういうことなのだと突き付けられ、戸惑うやら読解力不足を
 思い知らされるやら。
 でもまた読みたくなる魔力があることは間違いない。



 2019/2/14読了
 /雷雲の龍 会津に吼える
 吉川永青
 千葉道場の四天王・森要蔵が幕末にどのような生きざまを示したかを描く作品。
 剣士としてかなり名の知れた要蔵が幕府側の人間として義に生きる様は理解できるし
 大剣士のわりには体型を含めて愛らしいが、大政奉還江戸城開城会津降伏等、
 彼らの遠い所の出来事で、時代が変わりつつある切迫感をあまり感じられなかった。
 歴史よりも愛と義に重きを置いた要蔵の内面に力点を置いたのでしょう。
 代わりに斉藤一が結構渋く本作を締めていた感がある。
 要蔵の若き頃と子孫たちにフォーカスした作品も描いて欲しいなと思います。



 2019/2/22読了
 ::失敗の本質―日本軍の組織論的研究
 戸部良一/寺本義也/鎌田伸一/杉之尾孝生/村井友秀/野中郁次郎
 再読。随分前に読んだが歳を重ねたことにより本書の示唆したものが結果
 どうなっているかを検証するにはいい頃合いかと。
 結論から言うと、日本の組織も政治もあまり変わることができていないことを
 痛感する。
 勿論自分も。
 日本軍を題材にしているが現在にも十分通用する普遍的内容なので、
 これからも指針であり続けることでしょう。
 また何年後かに再読して、その時点での答え合わせをしてみたい。



 2019/2/24読了
 ::Q10 1
 木皿泉
 残念ながらドラマを見逃したので敢えてシナリオブックは読んでいなかったが、
 文庫が出たので購入。
 シナリオなので1話目こそ苦労したが登場人物とキャストを必死に重ね合わせて頭に
 叩き込むと、まるでドラマを見ているかのようにイメージが湧いてきた。
 木皿泉らしい「普通の言葉」の連続がやたら嬉しい第一巻だった。



 2019/2/26読了
 ::Q10 2
 木皿泉
 第二巻。一貫してきちんと練られたストーリーを何気ない言葉で紡ぎ出す木皿泉
 沁みるメッセージは脳内ドラマとしてきっちり再現できたと思う。
 脚本の力の為せる技だな。



 2019/2/28読了
 ::リハーサル
 五十嵐貴久
 あの「リカ」シリーズ第4弾。第1弾の前に何があったのか、のお話し。
 純粋で子供のように欲望を満たすために狡猾な方法で邪魔者を排除していく姿は、
 狂気そのもので想像するだけで恐ろしい。
 婦長の進言通り面接で落としていれば良かったのにと思うが、その段階で断っても
 復讐が始まりそう。
 「リカ」同様、ターゲットの男の考え方が甘すぎて行動も軽率で共感はできないが、
 出会ってしまったことは同情する。一体何人犠牲になっているのか。
 次作品もあるようなので、リカの狂気がどのように展開していくのか遠くでこっそり
 見守りたい。




7冊読了