吉祥読本

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民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道

著者:スティーブン・レビツキー/ダニエル・ジブラット
その他:池上彰
翻訳:濱野大道
出版社:新潮社

 

民主主義の崩壊を研究してきた著者がトランプ大統領出現をきっかけにいよいよ警告すべき時期が来たと判断したのだろうか。
案外脆弱な民主主義の姿はトランプ以前から世界で表出していたし、アメリカ自体が民主主義のトップランナーではなかったという現実も知るべし。
内部から崩壊していく可能性がある民主主義を言葉通り信じているといつの間にか独裁政治を受け入れている、なんてことになりかねない。
勿論これは日本にも起き得るわけで、空気に流されないよう警戒が必要だ。


妙なリアルさを感じたウェルベックの「服従」や藤井大洋の「第二内戦」で描いていた変化もより現実性を帯びてくるなと改めて思えてくる。
自分を含め日本人は昔から政治的な話を避ける傾向というか苦手意識がある。
SNSの普及でようやくその風潮が崩れ始めている気はするが、
慣れないがために議論が過激になったり感情的になったり稚拙さを感じることが多い。
ただ、いつまでも政治に苦手意識を持って他人事と考えていると、
取り返しのつかない結果を招きかねない。
もっと真剣に勉強しないとなと思うし、考えないと何時まで経っても成熟できない。


2019/03/15 読了