吉祥読本

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生まれ変わり

著者:ケン・リュウ
翻訳:古沢嘉通/幹遙子/大谷真弓
出版社:早川書房

 

短編なので他の作品の合間に読み、3月から読み始めてもう6月も終わろうとしているなかでようやく読了。
最初のころはだいぶ忘れてしまっているため、ざっとめくりながら思い出す。
ちょっと作家さんには後ろめたい読み方だが、買って読んでいる本は図書館本が来るとどうしても中断せざるを得ないため、仕方ないですよね?
図書館本が来そうだなと思うと短編に手を出すわけですが、できるだけ雰囲気の違う作品にしないと案外区別がつかなくなることが多くて。

 

ここから本題。

 

前2冊同様、SF短編集ではあるがSFというオブラートで包み込まれた中身は様々な味が散りばめられている。
SF感がない作品もあり、懐かしさや寂寥感を漂わせる作品が多いのは社会問題を含んでいることも大きい。
異星人との共生を描く「生まれ変わり」、ユーモア溢れる「化学調味料ゴーレム」、
絵文字を多用しながら家族愛を描く「神々は~」三部作、中国らしさ全開の「隠娘(いんじょう)」が楽しめたが、仮想通貨やVRと絡ませながら何が正しいのか悩ましい「ビザンチン・エンパシー」はとても複雑かつ深い作品で読後は何とも言えないやるせなさを感じる。


2019/6/23読了