著者:トーマス・オーウェン
翻訳:加藤尚宏
出版社:東京創元社
ベルギー作家の作品自体初読みだと思うが、ベルギーを代表する幻想派作家とのことで読んでみた。
14本の短編は移動やちょっとした空き時間に日常から離れるにはちょうど良かった。
特に怖いとかではないし、時間が経つと印象に残りにくいかな。
表題作は「まっくろくろすけ」をイメージさせるので印象的だが、決してほのぼのする内容ではない。
印象に残ったのは「父と娘」「旅の男」「鼠のカヴァール」の3作品。
多少の古臭さは感じるが、それも含めて独特な雰囲気な短編集。
いずれも人の心の闇を描いていて、そのあたりを短く的確に描写できているところに巧さを感じた。
今更ながら自分の好みの傾向がわかったような気がする。
決して闇に共感しているわけではないですけどね。
2019/11/1読了