吉祥読本

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小鳥たち

著者:山尾悠子
人形:中川多理
出版社:ステュディオ・パラボリカ

 

山尾悠子の紡ぐ幻想的な物語と、物語の中の侍女(小鳥たち)をイメージして
中川多理が人形を創作し、さらに山尾悠子が続編を紡ぎ、
またまた中川多理が人形を作る。

名前だけではぴんと来なかった中川多理だが、精巧な人形を見るとああ見たことがある。
山尾悠子独特の世界観は言葉少なだが、とても濃密だ。
他の作品に比べれば読み易くイメージもしやすい。
城館の中の情景が目に浮かぶ。
リアルで個性的な人形たちの醸し出す雰囲気の妖しさが美しい。

薄い作品だが、創作、出版されるまでの手間は相当だったことが窺い知れる。
行間を想像しながらじっくりと味わうことができた。
物語と創作人形の豪華な競演に適当な言葉が見つからない。

そして最終章「小鳥の葬送」に登場する大公妃の圧倒的な存在感に目が離せない。
何度見ても圧巻としか言えない大公妃は本当に人形なのだろうか?

とにかく素晴らしい才能の応酬だった。


2020/2/20読了