著者:宮内悠介/冲方丁/法月綸太郎/山田正紀/梓崎優
/星野智幸/桜庭一樹/軒上泊/藤井太洋/日高トモキチ
出版社:光文社
モリミーの「美女と竹林のアンソロジー」に続いて、宮内悠介が博奕をテーマに
作家さんたちにお願いした作品群を読む。
競馬や競輪、パチンコ、将棋、囲碁等賭け事や勝負ごと全般に熱中したことが
無いため、正直なところ熱中している人たちの気持ちはよくわからない。
実のところ熱中してしまうと戻れなくなりそうで怖いから手を出さない、
というところが正解なのだが。
ギャンブルは人生だけで十分だしね。
読んだことのない作家さんが何人かいるが、モリミー版よりも馴染んだかんじで読めた。
面白いと思ったのは山田正紀の「開城賭博」、冲方丁の「死争の譜~天保の内訌」。
沈みゆく船で繰り広げられる命がけの勝負を描く宮内悠介の「杭に縛られて」は
あまり臨場感が感じられなかったが展開としては楽しめた。
競馬で負け続けることを要求される被験者となる男を描いた法月綸太郎の
「負けた馬がみな貰う」はミステリっぽくて印象的。
久しぶりに読んだ桜庭一樹の「人生ってガチャみたいっすね」はノリが軽いが
読み終わると、響いてくるものがある。
不思議な世界観を描く星野智幸の「小相撲」は設定自体を楽しむ感じかな。
梓崎優の「獅子の町の夜」と軒上泊「人間ごっこ」はそれぞれ長いスパンで揺れ動く
誰しもが持つ心の機微みたいなものが伝わってきて印象に残る。
全体的に麻雀やカードなどの緊張感漂う作品が無かったのが意外だったし、
思っていたよりも盛り上がりに欠ける印象もあるにはあるが、
そこそこ楽しめる作品集でした。
2010/4/16読了