吉祥読本

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闇の左手

著者:アーシュラ・K・ル=グウィン
翻訳:小尾芙佐
出版社:早川書房

 

「ヴィーナス・プラスX」に続いて読むジェンダーSF作品。
有名作品ですね。
ヒューゴー賞ネビュラ賞のダブル受賞とすこぶる評価が高い。
事前に内容に関してはよく知らず、そのほうが楽しめるかと思ったが
無残にもぶん殴られた感じ。
途中何度もやめようかと思ったが、長年積んでいたことを考えると
読む機会は二度とないかもしれないと自身に鞭打ちました。
久しぶりに合わない作品となりました。いやあ。

「ヴィーナス・プラスX」は読み易かったなあと、比べるのは申し訳ないが
厳しい読書でした。


惑星ゲセンにエクーメン(惑星の連合)に入りませんか?
と地球の使者、ゲイリー・アイが派遣されてくる。(こんな軽いノリではないけど)
その惑星は両性具有者の社会で、地球人との価値観の違いを乗り越えて
無事エクーメンに加入させることが出来ました、
とか、
結局戦争になってしまいました、
とかではなく、ほぼ冒険記みたいな作品でした。

 

ゲセンのカルハイドという国のお偉いさんであるエストラーベンは
ゲイリー・アイの話しに乗るが結局追放され、ゲイリー・アイも捕らわれの身に。
結局二人は北極のような地域を逃亡しながらオルゴレインという国に向かうわけで
この部分にページ数がだいぶ割かれている。
角幡唯介の「極夜行」を思い浮かべつつ、どうなるかと思いきや。。。

 

かなり細かいところまで考え抜いた世界観の構築力は大したものだと
これは素直に思います。
そしてそのきめ細やかな世界観を理解しきれなかったことが
この作品を険しい山に変えてしまったのでしょう。

ところで読んだ本は古書店でだいぶ前に買ったものですが、
表紙がこちらに目線を向けたおじさん(ゲイリー・アイかな?)のバージョンです。
今の表紙は、作品の内容と合っていていいですね。


2020/5/23読了