著者：今村翔吾
出版社：講談社
怒涛の図書館本が落ち着いて、ようやく積んでいた本書を読むことができました。
直木賞は逃したものの、非常に面白い作品でした。
織田信長が小姓の狩野又九郎に松永久秀を語るという設定にまず驚かされるが、
度重なる裏切りにも関わらずそれを赦そうとする真意がそこに隠されていという
仕組み。
今まで大悪党とレッテルを張られて来た松永久秀のイメージを見事覆してくれました。
それも少しどころではなく、まるっきり違うイメージ転換です。
乱れた世の中で生き抜く子供の頃から仲間との出会い、
青臭いまでの理想を武器に最後まで生き抜く姿に共感しかない。
理想のために敢えて悪名を被る久秀の潔さに、なるほど、
これが真実なのではないかと信じたい。
非常に読み易く、最初からぐいぐいと引き込まれ、最後の切ない展開に
まるで久秀になったかの如く走馬灯ように情景が駆け巡った。
裏切られたはずの信長が語るという設定がより良い味付けとなっていたが、
信頼できる仲間と信長だけが松永久秀を知るという設定が、
何ともカッコよくて読み心地が良かった。
今村翔吾さんは初読みなので、別作品もチェックしましょうか。
