生島治郎は「ハードボイルド」作品で有名のようだが
自分にとってのハードボイルドは大藪春彦と北方謙三、
「奇妙な味」と言われる小説は阿刀田高、
「ショートショート」といえば星新一ということになるので
生島治郎を読む機会はなかったんじゃないかなと思っているが、
本作の短編とかショートショートを読んでみるとどこかで読んでいても
おかしくないなあと感じた。
器用な作家さんだったのでしょう。
この作品集はとても古い作品(1960年~70年代)ばかりなので、
セリフや比喩表現が古いのも味のうち。
アンティーク家具に囲まれている部屋で読んでいる気分にさせられる。
ロボットが出てくる作品が多めに感じたが、「SF」系統よりも
「奇妙な味」系統のほうが楽しめる作品が多かった。まあ、好みの問題かな。
ちょっとエロティックなテイストを絡めている作品が多い気がするが、
どこかコミカルに感じるのは昭和っぽいからか。
得意?なハードボイルドとSFを絡ませた連作集ともいえる「東京二〇六五」は
突っ込みどころ満載だが、読み易いので飽きることはなかった。
「奇妙な味」の作品は全てではないがなかなか面白い。
星新一のショートショートのような乾いた切れ味は無いが、
ウェットかつ人間臭さ、艶めかしさや不気味さを感じる作品がいくつか。
「香肉」「蜥蜴」「頭の中の昏い唄」「誰・・・・?」「前世」「過去の女」が
印象に残った作品。
星新一が解説しているのも納得。(これが購入動機)