吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

テスカトリポカ

著者:佐藤究
出版社:KADOKAWA


「中国・SF・革命」にあった「ツォンパントリ」(本書にも出てきた)が

印象的だったので本書にチャレンジしたがなかなかハードな作品だった。

メキシコの麻薬カルテルの抗争、東南アジアや日本の犯罪組織による臓器売買や

容赦ない殺人など当初は現実味を感じられなかったが、

グローバル化する犯罪の構図は将来的なものを含めてリアルに

捉えないといけないのかもしれないと思い直している。

川崎に住む友人に色々と確認したいと思ってしまうくらリアル。

最近の日本における外国人犯罪は中国よりもベトナムとかネパールや

ナイジェリアとかが多いらしいし、暴力団も押され気味らしいし。

 

直木賞作品をあまり読んでいないので偉そうに言えないが、

自分の思う直木賞作品のイメージとだいぶかけ離れている気がする。

アステカとハードな犯罪が結びついて不思議な世界観の中で

人間の本質が浮かび上がっているあたりが評価されたのかな。

暴力的描写がかなりハードなので、読む人を選ぶと思うが、

読んだ人が身近にいればきっとこの作品に関して語り合うだろう。

これからの「コシモ」について特にね。

最後にコシモが一緒にいたのは誰なんだろう?とかさ。