2000年初頭、科学研究コンテストで新型インフルエンザを課題とした親子、
地方の保険衛生官が抱いた違和感など、個別のわずかな人たちがアメリカ政権や
CDCなど巨大組織の不都合な真実をあぶり出す前半から、
現在のコロナ対策の現実を描く中盤以降のまさに現在体験中の状況の流れが鮮やかで、
まるで小説を読んでいるかのように引き込まれる。
世界をリードしていると思っていたCDC(アメリカ疾病予防管理センター)が
まるで日本の官僚組織かのような状態にあるとは驚かされた。
大きな組織の問題は世界共通なのだと痛感。
ただ、日本との違いはそれらをカバーする小さな存在たちが
強い正義感と反骨精神と忍耐力を持っていること、それらが組み合わされることで
大きなパワーへと変えていく土壌があるということだろう。
日本でのコロナ対応が全て悪いわけではないし、どの国も苦慮している。
今後どのように展開していくかはまだ分からないが、
小さな危機感を拾い上げ、実効性の伴う対応ができるように
柔軟性のある組織が育つことを期待したい。
震災の多い日本は、様々な場面で最悪の状況を予測しながら
危機管理に力を入れて欲しいと、切に願う。