著者:ダニエル・ヤーギン
翻訳:黒輪篤嗣
出版社:東洋経済新報社
現在、世界中で起きている様々な問題を知るには大いに役立つ内容だった。
昔から本質的には変わらないが、資源をいかに確保するか、
この一点だけで戦争や紛争や確執が生まれるのだと改めて気づかされる。
アメリカ、ロシア、中国、中東という地域ごとの歴史、問題点、戦略などが
簡潔に整理されている。
シェール革命に関してはぼんやりとしていた知識が技術的な内容を含めて
何をもって革命なのかがよく理解できた。
ロシアに関してはウクライナ戦争直前に出版された(日本では)にもかかわらず、
いや、だからこそ冷静な記述が生々しく現状とリンクしているいることがよく分かる。
資源を貪欲に欲している中国の思惑は、今後の世界に与える影響が
大きいことは確かだが、特に日本は直接的に影響が大きい地域だけに
不気味でしかない。
中東は本書で最もページが割かれていた。
日本の石油の9割近くは中東からの輸入なので地域の情報は常々理解したいのだが、
宗教も複雑に絡むため、いつも頭が混乱する。
エネルギー問題と切り離せない自動車産業の現状と今後,
そして気候変動によるエネルギー政策の在り方などを含め、
非常に分かり易く纏められ、とても勉強になった。