吉祥読本

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2084年のSF

編集:日本SF作家クラブ

出版社:早川書房

 

「ポストコロナのSF」に続くアンソロジー

 

オーウェルが描いた「1984年」の100年後の2084年をテーマにしている。

23作家のうち、ほぼ未読作家さんのなか、逢坂冬馬、高野史緒の名前があり、

何とかなるかと見切り発車で購入。

各作品はどれもそれほど長くないが、分厚くてそこそこ時間がかかった。

1984年」を意識するが故にディストピアな作品ばかりなので

つい時間を置いてしまったというのもあると思う。

『仮想』『環境』『火星』等々、カテゴリ(テーマ)が設定されており、

同じカテゴリの作品は既読感が湧いてしまい少し混乱した。

比較する面白さもあるが少し時間が経ってから読むとね。

最近、SFのアンソロジーが多めというのも原因か?


特に楽しめたというか良かったのはの下記の6作品。

「目覚めよ、眠れ」、「フリーフォール」、「The Plastic World」、
「黄金のさくらんぼ」、「至聖所」、「BTTF葬送」、「未来への言葉」


全てが面白かったわけではないが、知らない作家さんの作品に

気軽にアクセスできるアンソロジーは嬉しい。

 


【収録作品】

池澤春菜     まえがき

『仮想』
福田和代    :「タイスケヒトリソラノナカ」
青木和    :「Alisa」
三方行成    :「自分の墓で泣いてください」

『社会』
逢坂冬馬    :「目覚めよ、眠れ」
久永実木彦 :「男性撤廃」
空木春宵    :「R__ R__」

『認知』
門田充宏    :「情動の棺」
麦原遼    :「カーテン」
竹田人造    :「見守りカメラ is watching you」
安野貴博    :「フリーフォール」

『環境』
櫻木みわ    :「春、マザーレイクで」
揚羽はな    :「The Plastic World」
池澤春菜    :「祖母の揺籠」

『記憶』
粕谷知世    :「黄金のさくらんぼ」
十三不塔    :「至聖所」
坂永雄一    :「移動遊園地の幽霊たち」
斜線堂有紀 :「BTTF葬送」

『宇宙』
高野史緒    :「未来への言葉」
吉田親司    :「上弦の中獄」
人間六度    :「星の恋バナ」

『火星』
草野原々    :「かえるのからだのかたち」
春暮康一    :「混沌を掻き回す」
倉田タカシ :「火星のザッカーバーグ

榎木洋子     SF大賞の夜