著者:ジェローム・K・ジェローム
翻訳:中野善夫
出版社:国書刊行会
「ボートの三人男」以外の作品を知らなかったし、意外な分野でもあり
好みの内容らしいし、これは読まねばと思ってから少し時間だ経ってしまった。
幻想、怪奇、ディストピア、ファンタジーと幅広い17の作品群で予想外の多才ぶり。
「ボートの三人男」と通じるイギリス人特有のユーモアを感じさせる
「食後の夜話」からはじまり、スプラッターな「ダンスのお相手」に
続くあたりのメリハリは良い。
表題作や「牧場小屋の女」などはオーソドックスながら読ませる。
幻想的な恋愛を描く「二本杉の館」も良かったが、
宗教絡みの作品はちょっと理解しにくかった。
「ボートの三人男」の古いユーモアは人を選ぶが、
本作は色々なタイプの作品があるのできっとお気に入りの作品と
出会えるのではないだろうか。
「食後の夜話」/「ダンスのお相手」/「骸骨」/「ディック・ダンカーマンの猫」/
「蛇」/「ウィブリイの霊」/「新ユートピア」/「人生の教え」/「海の都」/
「チャールズとミヴァンウェイの話」/「牧場小屋(セター)の女」/
「人影(シルエット)」/「二本杉の館」/「四階に来た男」/
「ニコラス・スナイダーズの魂、あるいはザンダムの守銭奴」/
「奏でのフィドル」/「ブルターニュのマルヴィーナ」