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危機の外交 岡本行夫自伝

著者:岡本行夫
出版社:新潮社 


テレビでたまにお見かけする程度で、人物や仕事のことは正直よく知らなかった。

コロナで亡くなってしまったが、本書を読み、もう少し活躍してほしい

人物だったと思う。

 

日本の外交は一体機能しているのだろうか?

常々危惧していたので、著者の具体的な経験と考え方を知ることは

非常に勉強になった。

日米同盟の大切さを説きながらアメリカに対する憤り、日本の官僚組織に対する怒り、

そして日本に対する熱い思いも十分伝わって来た。


国際関係は話せば理解し合えるわけではないし、

金を配れば解決することでもない。

話し合いをするためには様々な力を持たないと、

その場にすら立てないという事実。

冷徹な判断ができない国、汗をかかない国がどうなるか、

そして他国からどう思われるか、考えさせる内容だった。

とは言え、普通の人間関係同様、人と人の繋がりやぶつかり合いが

とても大切なコミュニケーションであることも再確認できた。

今の日本にどれくらい魅力的な外交官がいるのか不安ばかりだが、

きっと素晴らしい人物が見えないところで頑張っていてくれると信じたい。