雑誌「幻想と怪奇」は古書店で見かけることはあったが読んだことは無い。
1974年に休刊し、2019年に復刻したようだ。
73年~74年の12号からの傑作選で、短編やエッセイ等バラエティに富んでいる。
ラヴクラフトと乱歩の評論は読みごたえがあって面白かったし、
おどろおどろしい古めかしい短編も楽しめるものが多かった。
スピルバーグの「激突!」まで取り上げられているのは意外だったが。
当時の雰囲気が感じられるだけでなく、紀田順一郎、荒俣宏両氏の熱意と
苦悩が伝わってくる。
紀田順一郎、荒俣宏両氏の序文は当時のことが知ることができて興味深いが
収録されている各号の編集後記がより当時の空気感と存続を憂う危機感を
伝えてくれる。
「幻想と怪奇」の前身となる同人誌「THE HORROR」(全4巻)も復刻されており、
当時の印刷の粗さが何とも愛おしい。
文字の掠れや印字の揺らぎは驚かないが、時たま手書きの文字で修正されていたり、
多少読みにくいところも散見されるが同人誌らしい味があって楽しめた。
この分野が好きな人にとっては貴重な資料にもなりますね。