吉祥読本

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機能獲得の進化史

著者:土屋健
監修:群馬県立自然史博物館
出版社:みすず書房

 

生物の獲得した機能と進化を「攻撃と防御」 「遠隔検知」 「あし」 「飛行」 「愛情」 の5章に分けて解説している。

イラストも豊富で読み易い。

軟組織である眼や生殖器などは化石としてほとんど残らないため、

骨の形の変化などから進化の過程を推測し、各機能の役割の変遷を辿るのは

大変な労力だろうが、読み手としては面白い。

生きるためには食べる、機能を獲得した生物は防御の無い生物を捕食し、

食べられないためには防御を強める機能を獲得し、生き残ろうとする。

気が遠くなる年月をかけながら進化することを改めて思い知らされる。

翼竜の時代には卵は産みっぱなしだったようだが、地熱を使ったり、

植物の腐食熱を使ったり徐々に工夫して孵化させるようになり、

現在の鳥類に進化するに従って羽毛で温めるようになったらしい。

翼は飛ぶためというより温めるものとして発達したというのは驚かされる。

確かに飛べない鳥もいるしね。


道具が無いと圧倒的に弱い人間は、これからも様々な道具を

進化させていくことになるのだろうけど、

地球や他の生物からするときっと迷惑なことだろうなと思う。

いや、人間にとってもそれが本当にいいことなのかは、ちょっと・・・