翻訳:岸本佐知子/柴田元幸
出版社スイッチ・パブリッシング
日本でほとんど翻訳されていない作家の短編をセレクトするという企画。
お二人の尖がったセレクトはなかなか手ごわい作品揃いのため
正直なところあまり理解しきれていないが、いずれの作品も妙な感触が残る。
岸本佐知子さんは特に「らしい」セレクトでいつもながら感心させられる。
これらの中では「大きな赤いスーツケースを持った女の子」と
「オール女子フットボールチーム」が印象的。
異様かつリアルな湿度感と複雑な心理描写が見事な「アホウドリの迷信」は
表題作にふさわしい作品。
実は作品の間に差し込まれる対談「競訳余話」がとても面白い。
【収録作品】
岸本佐知子 訳
「オール女子フットボールチーム」 : ルイス・ノーダン
「アホウドリの迷信」 : デイジー・ジョンソン
「野良のミルク」「名簿」「あなたがわたしの母親ですか?」
: サブリナ・オラ・マーク
「引力」 : リディア・ユクナヴィッチ
柴田元幸 訳
「大きな赤いスーツケースを持った女の子」 : レイチェル・クシュナー
「足の悪い人にはそれぞれの歩き方がある」 : アン・クイン
「アガタの機械」 : カミラ・グルドーヴァ
「最後の夜」 : ローラ・ヴァン・デン・バーグ