秀吉の死後から関ヶ原の決着までを徳川家康と毛利輝元の視点から描かれる。
毛利や大阪方を操る石田三成が直接的には出てこないのは新鮮。
また、戦闘の場面はあっさりと描き、主に心理的な駆け引きや会話メインの展開は
じっくり楽しめた。
特に家康と側近の本多正信の厭らしいというか老獪な権謀術策の数々が
次々と嵌る様は憎たらしいほど。
一方、経験豊かな家康とその家臣団に対し、側近同士が敵対し、
纏まりに欠ける毛利家が崩され、最終的に勝つことができなかったのは
必然ともいえる。
秀頼が動こうとした姿を描いているが、確かにそれしか西軍が勝つ道は
無かったのだろう。
それらも踏まえて西軍を見事に抑え込むことができた家康の苦闘の結果は
その後の徳川長期政権という形で証明される。
読み応え十分な500ページを越える力作は、正月にどっぷりと堪能できました。