奄美大島を舞台に過疎化が進む街に、巨大クルーズ船の寄港地として
誘致する計画が進み始める。
賛成派と反対派の対立やこの計画に不信感をもって動く公安などが絡み話は展開する。
著者が奄美出身だとは知らなかったが、奄美の人々の生活や考え方は著者の経験を
反映していると思われ、リアルなもの。
今までも様々な問題意識を織り交ぜたSF作品を書いてきたが、
そこからSF部分を抜いた感じ。
過疎化、移民など既に問題となっているが、自分も含め
多くの日本人は直視しようとしない傾向にあるように思う。
海外の巨大資本によるまさしく黒船状態で右往左往する人々の姿は
近い将来に起き得ることなので、近未来SF作品という解釈も成り立つかもしれない。
期待していたような作品では無かったのが残念だが(SFだと思ってたからさ)、
顛末が気になってぐんぐん読み進めることはできた。
ただ、公安の動き方が何ともお粗末すぎて非現実的なのが気になった。
流石に公安がこれほどお粗末な行動をとるとは思えないのだが。