吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

銀河ヒッチハイク・ガイド

著者:ダグラス・アダムス
翻訳:安原和見
出版社:河出書房新社

 

傑作と謳われる作品は数多くあるが、この作品は大傑作と謳われている。
傑作の基準はもちろん人によって違うものだが、その傑作本を読んでこなかった理由は
読み始めてから思い出した。
これ、シリーズ物だったから遠ざけていたんですよね。
それも5冊。
なのに、うっかり勢いで買ってしまった。

前置きが長くなったが、読み始めからこれはドタバタ系のおバカSFなんだとすぐ理解できる。
皮肉っぽいイギリス流のジョーク好きな人には向いているのかもしれないが、
正直理解できない部分が多々あって頭に入ってこないことがあった。
この手の作品だと大法螺の大家、ラファティに近い気がするのだが、なんかぴんと来ない。
ラファティは好きなんだけど、この作家さんは乗り切れないもどかしさがありました。
ところどころ面白いってぞって感じはあるんですが。
主人公の家を取り壊される際のやり取りとかはかなり面白いんですけどねえ。
ギリギリのタイミングで危機を都合よく脱するシチュエーションの繰り返しを素直に受け入れられるかが分かれ道かも。
若い時なら洒落として楽しむ事も可能だったのかな?
大傑作かと問われれば唸るのみだが、シリーズ化するぐらい人気があるということはわかる人には傑作なんだと思います。
読むタイミングというか人を選ぶんでしょうね。きっと。

ただ、書かれた時代を考えると発想と展開はなかなかのものだと思います。

続きを読むかは、再び長考いたします。


2020/1/22読了

 

信長、天が誅する

著者:天野純
出版社:幻冬舎

 

信長の心理を描いた木下昌輝の「信長、天を堕とす」とセットの作品。
信長に対する5人の心模様を描く。
井伊直盛から見た桶狭間お市の気持ちの変遷、長島一向一揆を指揮する下間頼旦、
信玄亡き後の武田家を担う武田勝頼、そして明智光秀
信長の存在に畏怖しながらも対峙する各人の複雑な思いが交錯して印象的だったのは
お市と僧侶である頼旦の話。
身内であるが故の愛憎、信じるもののために矛盾にも思える行動を続ける宗教家の姿は
それぞれ読ませてくれた。

「信長、天を堕とす」も読むとより楽しめるが、企画もののためにそれぞれ足枷があるようなぎこちなさを感じたのは仕方ないことなのかな。
自由に書きたいように書いてくれたらもう少し迫力のある作品たちになったような気がする。

吉川永青の作品も含め、どっぷり信長、明智関連のストーリーに浸かっていたので
少し戦国時代を離れます。

 

2020/1/20読了

毒牙 -義昭と光秀-

著者:吉川永青
出版社:KADOKAWA

 

兵力をほぼ持たない名ばかりの将軍、足利義昭織田信長の庇護を受けながらも
結局対立し、言葉の持つ力で明智光秀や有力武将を利用して信長を追い詰めようと画策する。
結局、光秀は義昭による長年の言葉の蓄積で本能寺へ向かう判断に至る。

光秀がかなり純粋な武将として描かれているが、切れ者である光秀が
そこまで義昭に翻弄されるものだろうかと疑問を持ってしまうが、
戦国の世において戦闘能力が無い中で執拗に謀略のみで信長を追い詰める義昭は
ある意味凄いんだろうな。
心理的な戦いがメインで戦闘シーンがほぼ無いのは物足りなくも新鮮だった。
義昭と信長という正反対のキャラクターの間で重宝され、
翻弄される光秀の姿は憐れでもある。

「言霊」という言葉があるが、いい意味でも悪い意味でも時間をかけて人の気持ちに
浸透していくことは、普通の生活の中でも感じる。
言葉には力があるのだ。
自分の言葉が他の人にとって毒となるか薬となるかは難しいが、
意図的に毒を仕込むのは相当な悪意があってこそだと思うので
なるべく悪意を持たない生活を送りたいものです。
まあ、ぼんやりしている自分の言葉は毒にも薬にもならないか(苦笑)


2020/1/16読了

リメンバー

著者:五十嵐貴久
出版社:幻冬舎

 

リカシリーズ第5弾。
心理感染ねえ。
テレビニュースとかインターネットの情報を基に影響受けてるんだろうなあと思う
事件等、確かに昔から感じたことが何度もあるしな。

それにしてもリカが遂に貞子のようになってきたのも時代の流れか?
スリードを誘うよう描かれているのは途中で気づいてしまったが、
相変わらずリカの影を感じると何が起きるのかと読む手が止まらない。

著者も薦めているが過去の作品を出版順に読むことはより楽しみを増幅させるだろう。
何が起きているかを途中で気づいたとはいえ、なるほどそこからこの話が展開するのか、と感心したし、気づかなかった。
ドラマは、テレビで放送できるのか?と思っていたので期待はしていなかったし、
実際やばいシーンは無かったしリカがコメディを演じているかのような感覚だったが、
結果、見ていたことで本作の肝も思い出しやすかった。

人が目の前で突然豹変して思いもよらない行動をとったらやっぱ怖いよなあ。
描写も相変わらずグロいし。
どうやらまだ続くみたいだが、さてさて、どこまで読ませてくれるのだろうか。

 

あれいやなにおいがしてきたきがする。

 


にせんにじゅうねんいちがつとうかどくりょうしたよねしたはずだよしたよ

信長、天を堕とす

著者:木下昌輝
出版社:幻冬舎

 

自分は本当の恐怖を知っているのだろうか。強さとは何か。
自問しながら生きる信長の心理描写にかなりのページが割かれる。
折々の戦にこんな心持で向かっていたのかと思うと少し切ない気がするが、木下作品はやはり読ませてくれる。
特に光秀との関係、距離感の切り口に、なるほどね~と思わされる。
それと、茶々が信長とこんな風に対峙するとはねえ。
木下昌輝作品にしてはどこか爽やかで少し淡白な印象もあるが、面白く読めた。

大河ドラマの関係で光秀系の作品が多くなってきているが、結果、当然のように信長にもフォーカスされるんでしょうね。
近いうちに天野純希さんの「信長、天が誅する」も読む予定。
あと、吉川永青さんの「毒牙 -義昭と光秀-」も続きそう。


2020/1/7読了

恐竜まみれ 発掘現場は今日も命がけ

著者:小林快次
出版社:新潮社

 

慌ただしい年末年始に読むにはちょうどいい読み易さでした。

かなりの難所で地味で根気のいる作業をすることが自分に向いているかは別として
恐竜を発掘して研究するという仕事は何となく憧れる。
実際は大変なんだろうな、というのは本書を読むとよくわかる。
恐竜の化石などつい欲しくなってしまいますが、盗掘されたものかなと考えると買ってはいけないですね。

発掘作業は冒険のようだが、他分野の研究者本のような派手さはなく、
発掘に対する思いや心構え、その土地に対する思いなど、静かな熱量を感じさせる。
ネイチャーへの論文掲載や、むかわ竜発掘の経緯などは知らない世界だけに特に面白かった。

子供のころと恐竜の姿が変わってきているのは不思議な感覚だが、
たまには子供のころのように図鑑をひも解きたいと思わせてくれた。
本当は恐竜展とか見に行きたいんだけど、混雑し過ぎですぐ諦めてしまうんだよねえ。。
そんなことではやはり恐竜の発掘なんて仕事、できないですね。

 


2020/1/5読了

2019年の読書を振り返る

今年は「ヤフー」から「はてな」に引っ越しという転機が訪れ、初心に戻って拙い感想を綴っている。
いつまで続きますか。
毎年その年の印象的な本を10冊程度リスト化していたので、はてなブログ移籍後初めての印象に残ったリストを書きたいと思います。

2019年に読んだ本は65冊。
結構頑張ってたつもりですが、過去10年を振り返っても最小冊数でした。
まあ分厚い本がそこそこあったせいかな、とも思うのですが、
それでも冊数のわりに10冊を選ぶのがいつも難しい。


●2019年の10冊


 ちなみに基本的に順位は付けません。
 読了順に並べています。


辺境メシ ヤバそうだから食べてみた
高野秀行
本当にヤバイ。本当にスゴイぞ高野さん!
(2019/1/22読了)


言葉人形 (ジェフリー・フォード短篇傑作選)
ジェフリー・フォード
1月に読んだので印象が薄くなってしまったが、これも今年一番にしたい(笑)
とにかく色々な楽しみが詰まった作品集です。
(2019/1/23読了)


増補 夢の遠近法: 初期作品選
山尾悠子
独特の雰囲気ですが、とにかく素晴らしいよ。
(2019/2/11読了)


注文の多い注文書
小川洋子、クラフトエヴィング商會
小川洋子とクラフトエヴィング商會のやり取りが深くて面白かった。
この雰囲気は大好物でした。
注文の付けようがありません。
(2019/7/31読了)


ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ブレイディみかこ
順位は付けないが(笑)ノンフィクションでは今年これが一番。
多様性とか含め勉強になった。
多くの人に読んでほしいと久しぶりに思う。
(2019/9/16読了)


三体
劉慈欣
中国SFがこんなに面白いなんて。期待以上。
(2019/10/5読了)


ゆめこ縮緬
皆川博子
皆川作品は本当に面白い作品が多いです。凄いペースで出版されているけど無理せずに。
でも、もっと書いてください。
(2019/10/7読了)


折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー
中国SFを舐めてはいけない。バラエティに富み、人材が豊富です。
(2019/11/8読了)


掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集
ルシア・ベルリン
順位は付けないが、海外作品としては今年一番と言っても良い。
「エンジェル・コインランドリー店」「掃除婦のための手引き書」「さあ土曜日だ」を読み直したい。
(2019/12/22読了)


黄金列車
佐藤亜紀
読んでる間は海外の作家さんの作品に感じるが、いい読み終わったときの充実感は流石です。
(2019/12/28読了)

 

 

●10冊に入れたかった。。。

 

歪み真珠
山尾悠子
一作入れてしまったので泣く泣く。
(2019/5/8読了)

 

零號琴
飛浩隆
ガチャガチャ何でもありのSF。
(2019/5/23読了)

 
生まれ変わり
ケン・リュウ
今年は中華系三昧。
(2019/6/24読了)


全体を通して幻想小説とSFに寄り気味な一年だった気がするが、読み応えのある作品が多かったので結果今年も満足。
来年もよい本と出会えますように!

では、よいお年を!