吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

フレドリック・ブラウンSF短編全集4 最初のタイムマシン

著者:フレドリック・ブラウン
翻訳:安原和見
出版社:東京創元社


短編全集もいよいよ最後。ショートショートが多め。

この全集は発表順なので、後半にショートショートが増えたってことかな。

好き嫌いは別にして熟練の技が光る作品が多いのは確か。

SFと銘打っているが違う分野も紛れている感じ。

よくわからない作品もあるにはあるが。。。

最後に収録されていた「小夜曲」が共作だったのは驚いた。


と、言うわけで、約1年かけてブラウンを堪能しました。

その間、図書館で借りて読んでいましたが、

先日、本屋さんでこの全集の文庫版が出版され始めていることに気が付きました。

調べたらなぜか全5巻。

収録作も少しだけ増えてるらしい。

ちょっと悔しい。やっぱり買えってことか。。。

 

【収録作品】
 緑あふれる/おれとフラップジャックと火星人/愛しのラム/翼のざわめき
 /鏡の間/実験/辺境防衛/立入禁止/ごもっとも/ヴードゥー/回答
 /デイジー/相似形/あいさつ/荒唐無稽/和解/探索/宣告
 /唯我論者/血/想像/最初のタイムマシン/ひどすぎ
 /至福千年期-いつか訪れる正義と平和の時代-/遠征隊   
 /ハッピーエンド/ジェイシー/不運続き/意地悪/ロープ魔術/雪男
 /クマんにひとつの/退場/ファースト・コンタクト/こだま
 /失われた大発見その1 透明人間
 /失われた大発見その2 不死身
 /失われた大発見その3 不死
 /趣味と実益/ジ・エンド/青の悪夢
 /灰色の悪夢/赤の悪夢/黄色の悪夢/緑の悪夢/白の悪夢
 /ユースタス・ウィーヴァーのつかのまの幸福1
 /ユースタス・ウィーヴァーのつかのまの幸福2
 /ユースタス・ウィーヴァーのつかのまの幸福3
 /輝くひげ/猫泥棒/脅迫状/山上に死す/致命的な失敗/魚の流儀
 /馬かしあい/家/悪ふざけ/ハンス・カルヴェルの指輪/起死回生
 /三羽のふくろうの子/ばあばの誕生日/猫恐怖症/人形劇
 /ダブル・スタンダード/事件はなかった/エージェント/小夜曲

 

 

夜、寝る前に読みたい宇宙の話

著者:野田祥代
出版社:草思社


近頃は急変する天候を気にして空を見上げることばかりで

宇宙に思いを巡らせて見上げる機会がめっきりなくなってしまった。

題名を尊重して夜寝る前に読んでいたが

(まあたいてい寝る前に読んでいるのだがけど)

子供のころに考えたことを思い出したりして

穏やかで懐かしい気持ちで読めた。

宇宙のスケール感で考えると重たかった気持ちが軽くなるし、

自分も宇宙の一部なんだなと思えると不思議な気持ちにもなる。

気持ちよい睡眠導入本でした。


久しぶりに「銀河の片隅で科学夜話」も再読しましょうか。

 

 

 

凪の人 山野井妙子

著者:柏澄子 
出版社:山と溪谷社 


山野井妙子さんの名は「凍」や「垂直の記憶」などを通して知ってはいたが

山野井泰史さん同様、手足の指を失ってもクライマーを続けるご夫婦という

インパクトあるイメージしかなく、

ご本人にスポットを当てた本があるのを知って早速読んだ。

日常の静かで淡々とした生活ぶりが穏やかな妙子さんの人柄を浮かび上がらせ、

ただただいい人だなあ、と思う。

著者の妙子さんに対する思いも抑え気味の文章を通して伝わってくる。

題名通り、まさしく凪の人。

 

調査報道の戦後史-1945-2025

著者:高田昌幸
出版社:旬報社

 


田中角栄の金権政治やリクルート事件など戦後の調査報道の歴史を振り返る内容。

戦後直後の事件に関しては知らないものもあったが、

最近のように思っていた事件も随分と時間が経過しているんだと

思い知らされた。


ネットワークの普及、タイパ、コスパが重視される現代で調査報道の在り方も

変わってきたのかもしれないが、

本書を読んでやはり重要な手法であることに変わりがないというか、

フェイクか否かを検証せずに拡散される時代にこそ

しっかりと時間をかけた調査が必要なのだと思う。

近頃のマスコミの調査能力の低さは目に余るものがあるが、

それを受け取る側も心してかかる必要があるのだろう。

 

AIの時代、何事も面倒くさがらず、流されず、

見極める目を養い続けないとな、と自らに言い聞かせる。

 

我、演ず

著者:赤神諒
出版社:朝日新聞出版


北条家と上杉家という強大な力が競い合う中、両家にとって

重要拠点となる唐沢山城城主・佐野昌綱の生き残りをかけた戦術は

「降伏」すること。

知らない武将だったのでどうかと思っていたが、

前半が冗長ながら案外面白く読めた。

強いものの間で裏切りを重ねたり勝ち馬に乗るのは戦国時代では

むしろよくある話で、さほど昌綱の行動が特殊な感じはしない。

題名通り、演じることに真摯であったことが大いなる

彼の戦術だったということだろう。


昌綱の志しは理想的で、それに賛同して共に行動する仲間たちを含め

青臭さを感じるが、嫌いじゃない。

理想(ビジョン)を持たない人に命がけで人はついていかないのは

現代でも同じ。

読後は心地よい。

 

R62号の発明・鉛の卵

著者:安部公房
出版社:新潮社


再読。

覚えていない作品もあったが、初期の作品集だけあって

どれもアグレッシブでアイデア勝負的な若さを感じる。

昔々読んでいた頃は思いもしない切り口と勢いに飲まれていたんだなあと

感慨深いものがある。

溢れ出る才能が制御しきれていないように見えるが、

ギリギリのところでどうだ!

とニヤリとしていそうな作者の姿も浮かぶような作品群。


昭和30年前後の作品とは思えないようなSFであり、寓話であり、奇想である。

やはりすごい作家なんだと改めて思い知らされた。

 


【収録作品】

 「R62号の発明」/「パニック」/「犬」/「変形の記録」/
 「死んだ娘が歌った」/「盲腸」/「棒」/
 「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」/「鍵」/
 「耳の値段」/「鏡と呼子」/「鉛の卵」

 

烏と孔雀

著者:津原泰水
出版社:河出書房新社

 


傑作としか言いようのない「綺譚集」「11 eleven」に続く短編集。

既読作品もあるが、また読めるのは素直に嬉しい。

収録作のジャンルは様々だが、コロナ禍が影響している作品が多め。

なんと猿渡にも会えるじゃないか。

津原やすみ名義の作品には縁がなかったが案外読める、というかむしろ面白く読めた。

どれをとっても津原さんらしさにあふれている。

引き出しの多さを考えるとまだまだ新しい世界に誘ってくれていただろうに。

新作が読めないのが残念。

 

 

 

 

【収録作品】

 「幻獣たち」/「I, Amabie」/「北三鷹市の開ヶ町」/
 「エリス、聞えるか?」/「クニヨシ・カネコのキャビネット」/
 「エルビスさんの帽子」/「指輪物語 予告篇」/「SARS-CoV-2の物語」/
 「恋するマスク警察」/「ボッサ・ノヴァ2020」/「戯曲 中空のぶどう」/
 「おなかがいたいアナグマ」/「カタル、ハナル、キユ」/
 「リサイクル(亀井省吾の場合)」