著者:ピエール・ルメートル
翻訳:橘明美/荷見明子
出版社:文藝春秋
久しぶりのルメートル。もうミステリーは書かないってか?
60代の女性の殺し屋マティルドが主人公。
凄腕だが、認知症の症状が出始める。
レジスタンス時代の上司アンリは殺し屋稼業の指示役でもあるが、
彼女の異変に気付いて暴走を止めようと考え始める。
認知症で自分の行動に疑問を持ちながらも凄腕っぷりで
次々と危機を切り抜ける主人公が小気味いいというか恐ろしいというか、
とにかく最後までハラハラさせられる。
まったくもって容赦ないルメートルはやはり面白い。
最後のミステリーとのことだが、作品自体はむしろ初期のものとのこと。
こんな作品を眠らせておいたとはもったいない。
読んでいる間、都合で2日程度読めず、再開した際に登場人物の
一人が思い出せず誰だっけ?状態に。
ついに来たか?と少々焦ったりしたが程なく思い出してほっとした。
まあ忘れっぽくなっているのは事実なのだが。。。
現実と妄想の間を彷徨う彼女の行動があり得ない展開のようで
有り得そうな怖さと可笑しさが混在していて
マティルド同様、ルメートルも凄腕なんだと実感した次第。