吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

ブティック

著者:池井戸潤
出版社:ダイヤモンド社


題名からファッション業界が舞台の作品だと思っていたが、

M&Aブティックのことでした。

知らんがな。

ここ数年M&A業界からうちのような零細企業にたくさんの打診があるので

胡散臭いイメージしかないのだがランパス東京からだったら会ってみたい。

冗談はさておき、やはり池井戸作品は先が読めても面白い。

このパターンは何度読んでも飽きさせない。

立場を利用して汚い方法で売り上げを稼ぎ出世を目論む者、

付けこまれて騙される企業、誠実に企業と自分の仕事に向き合う者、

様々な人間模様が描かれ没頭して読めてしまう。


いくらでも続編ができそうな内容だし出たら絶対に読む。

池井戸さん、安心して続編を書いてください!

 

メソポタミアのボート三人男

著者:高野秀行
出版社:集英社


イラク水滸伝では山田隊長と湿地帯での冒険、

今回はその二人がティグリス・ユーフラテス川の上流域をボートで探検する。

「ボートの三人男」を意識した題名が表す通り緩い感じながら

政治的に難しい地域での交流が面白い。

高野さんを通じてクルド人のことがフラットに理解できたのもよい。

何より山田隊長の様々な分野の知識量には恐れ入る。


まあ川下りの探検としては過酷さはそれほど感じられず、

むしろ腰痛の辛さのほうが印象に残るくらいだ。

下っていないときの地域交流に多くのページが割かれている気もするが、

それもいつもの高野さんらしい。

これからも無理せず年齢なりの冒険を楽しんでほしいし、

楽しませてほしい。

 

 

 

ホルモー燦燦

著者:万城目学
出版社:KADOKAWA

 

「鴨川ホルモー」、「ホルモー六景」に続き長い年月を経て完結とのこと。

過去の自分の感想を読んでみたら案外冷めていた書き方していて我ながら意外。

むしろ「ホルモー六景」のほうを評価してた。

そしてホルモーは東京でもやっているとの記述が残っていたし、

続編を希望してる自分。

すっかり忘れていたよ。

 

とにかく前2作を読み返しておけばよかった。。

社会人となったホルモーOBやOGたちの現在、東京で行われるホルモー、

現代の高校生たちとの不思議な繋がりなど、

諸々忘れていても楽しめたが

前作を読んでいればより一層楽しめたはず。

特に3作目のまとめ方がうまくてホロリとさせられる。

キレイな完結なので続編は出ないと思うが、

とにかく楽しめたシリーズでした。

 

風林火山のむすめ

著者:木下昌輝
出版社:双葉社

 

題名からもう少し穏やかな作品だと思い込んで読み始めたが

むしろ血みどろなアクション満載のエンタメ作品だった。

スプラッターなアクション、信玄の5つの悪行を探るミステリー、

そこに藤十郎のとぼけたキャラなど絡ませながらのストーリ展開に加え

武田信玄の娘である松姫がやたら強く描かれ、

かなり都合のいい展開も多めで現実感が無いのだが

まあこんな切り口もありかとむしろ楽しめた。

敵役の冷酷さが際立っており、こういうキャラは木下さんの真骨頂。

 

頭の大きな毛のないコウモリ-澤村伊智異形短編集

著者:澤村伊智
出版社:光文社


題名が何かいい(笑)

どの作品も怖いというよりも気色悪いって感じ。

巻末に自作解説が付いている場合、

いつもではないが一作読むたびに

解説を読んで理解を深めたり、

解釈が難しい場合に参考にしたりしている。

今回も解説があったのでそんな読み方をしていたのだが

途中で何かおかしいぞ?

いや、これも作品じゃないか!

と気づいたわけで。

何てことだ(苦笑)

途中までホントこの人ヤベーと思わされていましたよ。。


桃太郎やら猫型ロボットがモチーフの作品もあって

バラエティに富んでいる短編集でしたとさ。

 

【収録作品】
 禍または2010年代の恐怖映画
 ゾンビと間違える
 縊または或るバスツアーにまつわる五つの怪談
 頭の大きな毛のないコウモリ
 貍または怪談という名の作り話
 くるまのうた
 鬼または終わりの始まりの物語
 自作解説

 

黒い肌のサムライ-信長との短き日々

著者:吉川永青
出版社:集英社


イエズス会の巡察師付きの奴隷ヤスフェは、

その風貌から信長の興味を引き、異例の小姓へと抜擢される。

弥助と命名され全く属性の違う信長との関係が描かれる。

森乱丸の視点も加え、ヤスケに自分の姿を投影する信長の苦悩と

その結末の描き方はある種爽やかで吉川さんらしさを感じる。

「黒き侍、ヤスケ」もそうだったが、

様々な解釈があるのはとても面白い。

 

 

フレドリック・ブラウンSF短編全集4 最初のタイムマシン

著者:フレドリック・ブラウン
翻訳:安原和見
出版社:東京創元社


短編全集もいよいよ最後。ショートショートが多め。

この全集は発表順なので、後半にショートショートが増えたってことかな。

好き嫌いは別にして熟練の技が光る作品が多いのは確か。

SFと銘打っているが違う分野も紛れている感じ。

よくわからない作品もあるにはあるが。。。

最後に収録されていた「小夜曲」が共作だったのは驚いた。


と、言うわけで、約1年かけてブラウンを堪能しました。

その間、図書館で借りて読んでいましたが、

先日、本屋さんでこの全集の文庫版が出版され始めていることに気が付きました。

調べたらなぜか全5巻。

収録作も少しだけ増えてるらしい。

ちょっと悔しい。やっぱり買えってことか。。。

 

【収録作品】
 緑あふれる/おれとフラップジャックと火星人/愛しのラム/翼のざわめき
 /鏡の間/実験/辺境防衛/立入禁止/ごもっとも/ヴードゥー/回答
 /デイジー/相似形/あいさつ/荒唐無稽/和解/探索/宣告
 /唯我論者/血/想像/最初のタイムマシン/ひどすぎ
 /至福千年期-いつか訪れる正義と平和の時代-/遠征隊   
 /ハッピーエンド/ジェイシー/不運続き/意地悪/ロープ魔術/雪男
 /クマんにひとつの/退場/ファースト・コンタクト/こだま
 /失われた大発見その1 透明人間
 /失われた大発見その2 不死身
 /失われた大発見その3 不死
 /趣味と実益/ジ・エンド/青の悪夢
 /灰色の悪夢/赤の悪夢/黄色の悪夢/緑の悪夢/白の悪夢
 /ユースタス・ウィーヴァーのつかのまの幸福1
 /ユースタス・ウィーヴァーのつかのまの幸福2
 /ユースタス・ウィーヴァーのつかのまの幸福3
 /輝くひげ/猫泥棒/脅迫状/山上に死す/致命的な失敗/魚の流儀
 /馬かしあい/家/悪ふざけ/ハンス・カルヴェルの指輪/起死回生
 /三羽のふくろうの子/ばあばの誕生日/猫恐怖症/人形劇
 /ダブル・スタンダード/事件はなかった/エージェント/小夜曲