2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「グラスホッパー」の続編のような作品でした。勿論「グラスホッパー」を読んでいなくても問題ない作りになっていますが、随所につながりのある人物名が出てきます。う~ん、やっぱ読んでおいたほうがいいかも(笑)そこに「ラッシュライフ」や「陽気なギャ…
ようやく出た文庫版。我慢に我慢を重ね、ようやく読めました。 今更説明する必要も無いでしょうが、「辺境の人」に置き去られ、後に「千里眼奥様」と呼ばれる万葉、万葉の娘で暴走族上がりで売れっ子漫画家となる毛鞠、そして毛鞠の娘であり平凡に生きる瞳子…
二つの墓地のあいだを、墓場クリークが流れていた。いい鱒がたくさんいて、夏の日の葬送行列のようにゆるやかに流れていた。―涼やかで苦みのある笑いと、神話めいた深い静けさ。街に、自然に、そして歴史のただなかに、失われた“アメリカの鱒釣り”の姿を探す…
イラク戦争の際に登場した「民間軍事会社」は、究極の国家行為である戦争のイメージを大きく変えた。彼らの事業は、要人警護はもちろんのこと、戦闘地域でのロジスティクスから捕虜の尋問、メディア対策、さらには正規軍のカバーに至るまで多岐にわたる。そ…
事故で眼球を失った大作家ポールは、世間と隔絶した生活を送っていた。ある日彼は自伝執筆のため、口述筆記の助手として青年ジョンを雇い入れる。執筆は順調に進むが、ささいなきっかけからポールは恐怖を覚え始める。ジョンの言葉を通して知る世界の姿は、…
1999年、山口県光市で、23歳の主婦と生後11カ月の乳児が惨殺された。犯人は少年法に守られた18歳。一人残された夫である本村洋は、妻子の名誉のため、正義のため、絶望の淵から立ち上がって司法の壁に挑む。そして、彼の周囲には、孤高の闘いを支える人々が…
菊池寛先生の秘書になった「わたし」。流行のモガ・ファッションで社長室に行くと、先生はいつも帯をずり落としそうにしてます。創刊された「モダン日本」編集部では、朝鮮から来た美青年・馬海松さんが、またわたしをからかうの―。昭和初年、日本の社会が大…
いくつかの短編とインタビュー記事と、映画評などを収録する著者最後の本です。 まず短編4本。 「The Indifference Engine」 内戦で異民族を殺す事が正義と教育された少年兵の姿を描く。 「虐殺器官」に繋がるであろう短編だが、現実に起きている事でもあり…
題名を見ればおわかりでしょうが百先生のノラやを意識している作品です。だからと言っていなくなったネコを探すわけではありません。むしろネコのように自由すぎる、そして勝手すぎる人間たちの話である。いや登場人物たちを見ているとネコのほうがきちんと…
読んで思い知らされたのが本書を読むには(いや、ピンチョンを読むためには)アメリカ文学をかなり読み込んでいないと理解できないことがいっぱいあるということ。それに気付かず、訳者解説やピンチョン自身の序文を読んで痛感させられるのだから始末が悪い…
奇想コレクション中、最多の3タイトルを占めるスタージョンも、これが最後。大事に積んであったのですが(笑)そろそろガマンができなくなりました。SFというよりはミステリ色が強かったです。 「取り替え子」は初読のはずですが既読感がありました。子供を…
久しぶりに美術館系に時間を作る事ができました。まずは丸の内にある「三菱一号館美術館」の「三菱が夢見た美術館―岩崎家と三菱ゆかりのコレクション」です。今回の目玉のひとつ、岸田劉生「童女像(麗子花持てる)」 です。実物は思っていたよりも小さい絵…
言葉の発達が遅いキイちゃん一歳半と、言葉の発達が早かったお兄ちゃん、ランちゃん三歳の兄弟の話しです。彼らのお父さんは、作家の高橋さん。宮沢賢治の「ことば」で胎教を繰り返したランちゃんのことばはあらゆる「文学」の引用であり、一方胎教を放棄し…
ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい後味を残して、…