吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

【あ行】の作家

信長、天が誅する

著者:天野純希出版社:幻冬舎 信長の心理を描いた木下昌輝の「信長、天を堕とす」とセットの作品。信長に対する5人の心模様を描く。井伊直盛から見た桶狭間、お市の気持ちの変遷、長島一向一揆を指揮する下間頼旦、信玄亡き後の武田家を担う武田勝頼、そし…

リメンバー

著者:五十嵐貴久出版社:幻冬舎 リカシリーズ第5弾。心理感染ねえ。テレビニュースとかインターネットの情報を基に影響受けてるんだろうなあと思う事件等、確かに昔から感じたことが何度もあるしな。 それにしてもリカが遂に貞子のようになってきたのも時代…

注文の多い注文書

著者:小川 洋子、クラフトエヴィング商會出版社:筑摩書房 単行本で読み逃していたので文庫が出た機会に読む。やはりもっと早く読むべきだった。小川洋子の「注文書」、クラフトエヴィング商會からの納品書、そして小川洋子の「受領書」を基本構成として、…

クジラアタマの王様

著者:伊坂幸太郎出版社:NHK出版 製菓会社のサラリーマン、人気芸能人、政治家3人が現実と夢で戦い、それらがリンクしているという掴み難いストーリー。夢のパートは数ページのRPGを思わせる挿絵というか漫画が挿入される。パラレルワールドなのかな?と疑…

家康謀殺

著者:伊東潤出版社: KADOKAWA 裏切ったり裏切られたりを繰り返して敵味方がわかりにくい戦国時代だが、大義のため、信念のため、矜持のため、世話になった人のため等々、自分の欲望や生き残るために裏切るのではなく、自らの死をもって裏切る選択をした人が…

ノーサイド・ゲーム

著者:池井戸潤出版社:ダイヤモンド社 社会人ラグビーを題材にした安定の池井戸作品。本社から左遷され、素人ながらラグビーチームの再建、本社や協会との確執などを乗り越えるべく主人公の奮闘が描かれる。読んでいて結末はもうだいたい予測がつくし、そん…

もののふの国

著者:天野純希出版社:中央公論新社 螺旋プロジェクトの一冊。平将門や足利尊氏、織田信長、西郷隆盛など歴史上の人物が時代を追って多数登場させ、螺旋プロジェクトの基本ルールである海族と山族の争いを絡めたファンタジックな歴史小説という感じ。スタン…

麒麟児

著者:冲方丁出版社:KADOKAWA 勝海舟と西郷隆盛により成し遂げられた「江戸無血開城」の息詰まる交渉をメインに二人の人物像を描いている。お互いの立場をわきまえながら、相手を尊重しつつ最善の落としどころを目指す様は緊張の連続。その二人をサポートす…

「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか

著者:遠藤誉出版社: PHP研究所 インターネット上の遠藤さんの記事は以前より追いかけているため既知の情報もあるがネットよりも掘り下げて纏めて読むほうが遠藤さんの伝えたいことが伝わって来る。内容的に米中の最先端技術の覇権争いが主軸なので、当然Hua…

シーソーモンスター

著者:伊坂幸太郎出版社:中央公論新社 昭和のバブル期を舞台にした「シーソーモンスター」と近未来のが舞台の「スピンモンスター」の2話収録。作家さん達が競作する螺旋プロジェクトとのこと。「シーソーモンスター」の設定は嫁姑問題を絡ませながらスピード…

後藤さんのこと /円城塔

円城作品は二冊目。一言で言うとよくわからないが面白い。 楽しめたのが「後藤さんのこと」と「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」。いずれも文体といい言葉の扱い方といい表記の仕方といい既存の小説に対するチャレンジするかの…

かばん屋の相続 ::池井戸潤

文庫オリジナルの短編集で6編収められています。 最近は銀行メインの話からやんわりと別業種の話に移行つつある池井戸さんですが これは2005年から「オール読物」に掲載された作品群であり、ほとんどが銀行もの。 ただし、今までの長編作品には、これら短編…

こちらあみ子 /今村夏子

表紙が小川洋子さんの「人質の朗読会」と非常に似ていたので手にとってみると、やはり同じ人でした。2作品掲載されてます。 「こちらあみ子」 はっきりと明記されないが、なんらかの障害を持っていると思われる女の子の視線で語られる物語。 中学を卒業した…

ダーティ・ワーク ::絲山秋子

ダーティ・ワークはローリングストーンズのアルバム名で、各章にはストーンズの曲名が冠されている。 worried about yousympathy for the devilmoonlight milebefore they make me runmiss youback to zerobeast of burden 最初の3篇は独立した短編なので、…

ブラフマンの埋葬 ::小川洋子

泉鏡花賞受賞作です。舞台はどこかあやふやな場所にある「創作者の家」。そこではホルン奏者や碑文彫刻師やレース編み作家など色々な分野の芸術家に創作の場を与えている。住み込みとして芸術家たちの世話役をしている主人公の青年は、芸術家たちと適度な距…

隅の風景 /恩田陸

酩酊混乱紀行「恐怖の報酬」日記で見事なビール好きを披露していましたが、飛行機にだいぶ慣れてきたのかアチコチに足を延ばしているじゃありませんか。 ロンドン、チェコ、韓国、中国、スペイン、国内(郡上八幡、日光、阿蘇など)を巡る紀行文です。それに…

博士の本棚 ::小川洋子

小川さんの読書遍歴など本に関するエッセイ集です。ご自身が影響を受けた本への愛情が感じられます。言及されている本は、ほとんど読んでいない本なのであまり共感できないのが残念でしたが。かなり短い文章がいっぱいなので、いくつか印象的だったものを取…

「あ」の作家

【あ】●赤瀬川原平新解さんの謎●朝倉かすみ肝、焼ける田村はまだか●阿刀田高ナポレオン狂冷蔵庫より愛をこめてこんな話を聞いた●阿南友亮中国はなぜ軍拡を続けるのか●阿部和重アメリカの夜幼少の帝国: 成熟を拒否する日本人ABC戦争インディヴィジュアル・プ…

「い」の作家::Part1

【い - 1】●飯沢耕太郎ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ●飯嶋和一汝ふたたび故郷へ帰れず雷電本紀神無き月十番目の夜始祖鳥記黄金旅風出星前夜狗賓(ぐひん)童子の島星夜航行 上巻星夜航行 下巻●五十嵐貴久リカTVJ1985年の奇跡2005年のロケットボーイズ安…

「い」の作家::Part2

【い - 2】●伊丹十三ヨーロッパ退屈日記●一橋文哉モンスター●伊藤彰彦映画の奈落: 北陸代理戦争事件●伊藤薫八甲田山 消された真実●伊藤計劃虐殺器官メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオットハーモニー伊藤計劃記録伊藤計劃記録:第弐位相屍者の帝国…

「う」の作家

【う】●上原善広路地の子●上前淳一郎アキラ! 加藤明・南米バレーボールに捧げた一生●鵜飼秀徳無葬社会 彷徨う遺体 変わる仏教●内澤旬子センセイの書斎―イラストルポ「本」のある仕事場●内田百ノラや●内橋克人匠の時代1-12●内堀弘ボン書店の幻●宇月原晴明信…

「え」の作家

【え】●江坂遊仕掛け花火ひねくれアイテム鍵穴ラビリンスきまぐれラボ「バンパイヤ」第二部完結編●円城塔Self-Reference ENGINE後藤さんのことこれはペンですオブ・ザ・ベースボール烏有此譚道化師の蝶バナナ剥きには最適の日々屍者の帝国(&伊藤計劃)シャ…

「お」の作家

【お】●大倉直陸軍将校のつくったチーズ脱ニッポン人生 自分の居場所の見つけ方●大崎善生聖の青春将棋の子いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件●大島堅一原発のコスト -エネルギー転換への視点●大谷正日清戦争●小川洋子博士の愛した数式猫を抱いて象と泳ぐ原稿…

マガジン青春譜―川端康成と大宅壮一 ::猪瀬直樹

イメージとして川端康成と大宅壮一を結び付けたことは無い。むしろ全く真逆な印象しかない。 川端作品はずっと昔に読んだきりだし、大宅に関しては一冊読んだきりである。 ただし、大宅壮一ノンフィクション賞に関しては興味がある。 と書きつつ講談社ノンフ…

下町ロケット /池井戸潤

宇宙科学開発機構でエンジン開発に関わっていた佃航平は父親の跡を継ぎ、精密機械製造業の佃製作所の社長となっている。大学や研究所での研究実績をもとに今ではエンジンや周辺デバイスを手がけている会社だ。技術力は大企業をも凌ぐとの評判だが、特に研究…

人質の朗読会 /小川洋子

すっかり小川洋子フリークになっている気がする。題名からは内容が推察できなかったが、最初にその謎が明かされる。海外で日本人のツアーバスがテロリストによって襲われ、ガイドと客の合計8人が拉致される。その事件が人々の記憶から薄れかけた頃、特殊部隊…

伊藤計劃記録:第弐位相 ::伊藤計劃

第弐位相とは伊藤計劃が亡くなる直前まで書いていたブログの題名でもある。よってブログからの抜粋がかなりある。ブログはまだ存在するので、本書のかなりの部分はネットで読むことができる。が、しかし伊藤計劃の本は揃えておこうと思っている身としては買…

原稿零枚日記 /小川洋子

特に前知識も無かったのだが、題名からして勝手にエッセイ集だとばかり思っていました。ところが読み始めるとなんだか様子が変だ。小川さんの日常生活を綴っているんだろうなあ、と素直に読み進めていると、徐々に非日常の不穏な空気が漂い始める。取材旅行…

パレオマニア 大英博物館からの13の旅 ::池澤夏樹

パレオマニアとは著者自らによる造語で「古代妄想狂」のことであるとのこと。 大英博物館に所蔵されているものからそのルーツとなる地へ旅に出る「男」。文中、「男は~」と表現している部分は著者本人なんだから「私は~」でいいんじゃないかと思うが何かに…

統ばる島 /池上永一

「竹富島」「波照間島」「小浜島」「新城島」「西表島」「黒島」「与那国島」「石垣島」 八重山諸島にある八つ島を舞台にした物語。 それぞれの話は独立していて短編集の体裁だが、実はちゃんとひとつなぎになっている。それぞれのテイストは違うが「バガー…