吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

雨月物語

著者:上田秋成現代語訳:円城塔 出版社:河出書房新社 初っ端の漢文にルビをつけての読ませ方が円城塔らしくていいアイデア。 読み易いこと。 収録作品に関してはとぼけたり遊んだりせず、 真っ向勝負で訳しているのがとても良い。 日本の怪談の原典を感じ…

文明怪化奇談

著者:荒俣宏出版社:KADOKAWA 幕末から明治という時代の移り変わりの中、 当時の新聞記者たちが語る奇談を 荒俣宏が小説化したという態の連作集。 で、解釈は合ってる? 冷凍庫やら火葬炉やX線など新しい技術がまだ怪しいナニモノか でしかない時代、まさ…

深海の地図をつくる -五大洋の底をめぐる命がけの競争

著者:ローラ・トレザウェイ翻訳:尼丁千津子 出版社:柏書房 海底の地形図を巡る様々な思惑や問題が描かれるノンフィクション。 地球の表面積の約70%を覆っている海。 月の情報より少ないと言われる深海をマッピングすることの難しさの原因は 技術的、経済…

第七問

著者:リチャード・フラナガン翻訳:渡辺佐智江出版社:白水社 H・G・ウエルズと原子爆弾、 ウエルズに影響を受けた物理学者レオ・シラード、 広島への原爆投下時日本の捕虜収容所にいたフラナガンの父、 故郷のタスマニアの過酷な歴史、 自身の生死を彷徨う…

豊臣家の包丁人

著者:木下昌輝出版社:文藝春秋 豊臣家の重要な局面に料理をもってかかわった大角与左衛門。 実在するらしいが初めて知った名前。 常に帯同していたわけではなく、ふらりと現れるような存在で描かれる。 当初は秀長目線が多めで秀吉との軽妙な会話が面白く…

幽民奇聞

著者:恒川光太郎出版社:KADOKAWA 幕末から明治にかけて存在したと言われる「キ」という集団を 民俗学者が探る連作集。 「ジャガーワールド」から短期間で出版された本作への世界観の振り幅には 驚かされるが、「金色機械」を思い起こさせるような本作の雰…

さよならジャバウォック

著者:伊坂幸太郎出版社:双葉社 デビュー25周年記念作品とのこと。初めて読んだ頃が懐かしい。 「琴線に触れる」と「逆鱗に触れる」か。 言葉への目の付け所が伊坂幸太郎らしい。 メッセージ性の強さがちょっと気になるけれど(最近特に多いような気がする…

続 遠慮深いうたた寝

著者:小川洋子出版社:河出書房新社 続編も面白かった。 前作同様、味わいのある装幀も良い。(九谷焼による陶板画らしい) 日常のできごとは同じ経験があってもきっとこんな感じ方はしないだろうなと思うことしきり。 羨ましい限りの想像力というか妄想力…

西洋の敗北と日本の選択

著者:エマニュエル・トッド出版社:文藝春秋 以前、 西洋の敗北-日本と世界に何が起きるのかを読んだので読まなくてもいいかな?と思っていたが新書なのでおさらい気分で。 西洋の敗北の抜粋版に日本への提言を追加した感じ。 まあ、アメリカをはじめとす…

フレドリック・ブラウンSF短編全集3 最後の火星人

著者:フレドリック・ブラウン翻訳:安原和見 出版社:東京創元社 バリバリのSFではないものもあり、SFの括りに拘ることは無いかな。 年代順の全集のため、3巻目のこの年代は戦争の影が チラついている作品が多い印象。 現代よりもう少し世界情勢が切迫して…

悪夢工場

著者:トマス・リゴッティ翻訳&編集: 若島正翻訳:白石朗/宮脇孝雄出版社:河出書房新社 多分何かのアンソロジーとか読んでいない限り初読みの作家さん。 既読感があるのはラヴクラフトを読んでいるからかな? 本書の特徴をあげるとすればまず真っ赤な装…

怪談小説という名の小説怪談

著者:澤村伊智出版社:新潮社 「幽霊の脳科学」を読んだら直後に怖い話しを読もうと思って。 ということで7編の短篇集。 幽霊というか心の闇を見せつけられたよう。 どの作品も展開が一筋縄ではいかず、いちいち予想が裏切られる展開に。 年末に読んだ「恐…

幽霊の脳科学

著者:古谷博和出版社:早川書房 幽霊は脳科学で2/3は説明がつくとのこと。 睡眠時や入眠時に関してはすんなり理解できるが タクシーに乗せて消えてしまったという例まで説明がついてしまうのか。 小学生の頃の体験は幻覚だったのか? 中高生の時のあの経験…

潤日-日本へ大脱出する中国人富裕層を追う

著者:舛友雄大出版社:東洋経済新報社 少し前まではインバウンドによる国内経済の活性化に期待が集まっていたが、 今は光よりも闇の方が取り沙汰されている気がする。 ただでさえ中国人のマナーや考え方の違いが認知されることで あまりいい感情を持たない…

火星の女王

著者:小川哲出版社:早川書房 100年後、火星に移住が始まって40年が経過しており、 ある物質の発見により地球から独立する機運が。。 短い視点の切り替えで読み易いが戦争に発展する? という状況にもかかわらず淡々と進行するため盛り上がりに欠ける。 小…

2025年の10冊

2025年も終わりですね。 読んでいただいた方々には感謝です。 今年は終盤に読む時間が減ってしまい、冊数は伸びませんでした。 あと500ページ越えの作品が増えていて一冊にかける時間が長い気がします。 言い訳は置いといて今年の10冊をピックアップしました…

恐怖とSF

編集:日本SF作家クラブ 出版社:早川書房 日本SF作家クラブ会長・井上雅彦さんによるアンソロジー全20篇。 平山夢明の名前があった事もあって恐怖とSFのマッチングを謳う本作に 期待しすぎたせいかそれほどの効果はないかな。 作品として面白いのは飛鳥…

恐竜大絶滅-陸・海・空で何が起きていたのか

著者:土屋健出版社:中央公論新社各章監修:後藤和久/小林快次/高桒祐司/相場大佑/冨田武照/田中公教/木村由莉 恐竜が絶滅した原因は隕石だったというのが今の定説。 そしてその絶滅の前後に生きていた生物たちが既に衰退期に入っていて絶滅したのか…

紅い皇帝 習近平

著者:マイケル・シェリダン翻訳:田口未和出版社:草思社 近頃騒がしい日中関係における主役と言える習近平。 中国国内でどのように権力を握るようになったか、 幼少からコロナ収束までの半生が描かれる。 中国国内でトップになるためには想像を絶する闘争…

ジャガー・ワールド

著者:恒川光太郎出版社:講談社 久しぶりの恒川さんを堪能した。 マヤ文明をモチーフにしたある都市の栄枯盛衰のなかで生きる人々。 生贄を逃れることができた少年、命を懸けて戦う戦士たち、運命に翻弄される神官、 生贄の廃止を訴える少年を取り巻くグル…

西洋の敗北-日本と世界に何が起きるのか

著者:エマニュエル・トッド翻訳:大野舞出版社: 文藝春秋 短期間に書き上げただけあって、ちょっと説明不足というか理解するのに手間取る。 以前の著書を読んでいることが前提なのか?とすら思えた。 が、辛抱強く読むと意外な角度からの視点が新鮮で刺激…

口訳 太平記 ラブ&ピース

著者:町田康出版社:講談社 町田康の口訳シリーズ?なので読まないわけにいかず。 歴史としてはなかなか理解に苦しむ時期が描かれる太平記だが 町田康にかかればあら不思議、楽しい。 太平記の読破などできないと思うが、これならできる。(気がする。。) …

「イスラエル人」の世界観

著者:大治朋子出版社:毎日新聞出版 どうしてイスラエルは攻撃をやめないのだろう? ガザ地区で起きているニュースを見るたび疑問が湧いていた。 国家の判断であれ、国民は自国による執拗なガザ攻撃に何を思っているのだろうか。 題名からそれらの疑問に少…

フレドリック・ブラウンSF短編全集2 すべての善きベムが

著者:フレドリック・ブラウン出版社:東京創元社翻訳:安原和見 全集1より有名どころというか自分の認知している作品が揃っている感じ。 星新一訳で読んでいる作品も多いが印象としては大きく変わらないかな。 昔と題名が微妙に違う作品もチラホラ。 ま、詳…

電車のなかで本を読む

著者:島田潤一郎出版社:青春出版社 「長い読書」が良かったので別作品も読みました。 結局、題名のように電車の中では読んでいないが、 短い乗車時間でも読めるくらい短いエッセイ集。 日々の暮らしや故郷、本に纏わることなどに絡めて 50冊の本が紹介され…

完全版 ブラック・マシン・ミュージック 上/下 : ディスコ、ハウス、デトロイト・テクノ

著者:野田努出版社:河出書房新社 2014年に出版され、このたび文庫化によって「完全版」と冠された作品。 多少は触れてきた分野をこのように体系的に知ることができたのは嬉しい。どっぷりではないがディスコ、ハウス、テクノを ある意味快楽として受け入れ…

鋼鉄の城塞-ヤマトブジシンスイス

著者:伊東潤出版社:幻冬舎 戦艦大和の建造に関わった5人の若き技術者たちの群像劇。 海戦から航空戦の時代への流れに反するように巨艦造船に邁進する中、 様々な技術的な難関に立ち向かう様や苦悩する若者たちが描かれる。 人を殺す兵器を作ることと素晴ら…

日中外交秘録-垂秀夫駐中国大使の闘い

著者:垂秀夫聞き手・構成:城山英巳出版社:文藝春秋 この方が中国大使だった時の言動や行動に関してはとても印象に残っている。 大使として堂々と対応している様は小気味よく、 それまでの日本大使に感じていた物足りなさを ようやく払拭してくれる人が出…

ユビキタス

著者:鈴木光司出版社:KADOKAWA 怖い展開を期待していたが、特に怖くない。 強いて言えば特殊清掃の映像の描写が気持ち悪い。 「南極の氷」で小松左京の「復活の日」のような展開か? 「植物」で伊坂幸太郎の「楽園の楽園」的な? それともジョン・ウィンダ…

イクサガミ 神

著者:今村翔吾出版社:講談社 あれだけ読むのが楽しみだったのにいざとなると最後かあとちょっと切ない。 最弱キャラの双葉が結局のところキーに。 むしろ最強ということか。 木偏たちにまでスポットを当て、エンタメに徹しながら時代の転換期の 寂寥と期待…