吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

朝日新聞政治部

著者:鮫島浩出版社:講談社 元朝日新聞の記者が実名を出しながら朝日新聞の実態を描いている。 「慰安婦報道」における虚偽、誤報とされた福島原発事故「吉田調書」、 「池上コラム掲載拒否」など、数々の失態は朝日の凋落を加速した。 社内政治に明け暮れ…

カリストの脅威

著者:アイザック・アシモフ翻訳:冬川亘出版社 ‏ : 早川書房 何年も積みっぱなしだったので棚卸です。 アシモフ最初期の短編集。 各作品の前後に作品にまつわるエピソードなど本人による解説があり、 作品自体よりも興味深く読んだ。 デビュー間際の作品群…

第二開国

著者:藤井太洋出版社:KADOKAWA 奄美大島を舞台に過疎化が進む街に、巨大クルーズ船の寄港地として 誘致する計画が進み始める。 賛成派と反対派の対立やこの計画に不信感をもって動く公安などが絡み話は展開する。 著者が奄美出身だとは知らなかったが、奄…

家康が最も恐れた男たち

著者:吉川永青出版社:集英社 今年は立て続けの家康関連本です。 家康が遺訓の本意を正しく理解させるため、過去に戦った武将たちに それぞれ何を学んだかを林羅山に伝えるという連作集。 恐れた男たちは武田信玄、織田信長、真田昌幸、豊臣秀吉、 前田利家…

天下大乱

著者:伊東潤出版社:朝日新聞出版 秀吉の死後から関ヶ原の決着までを徳川家康と毛利輝元の視点から描かれる。 毛利や大阪方を操る石田三成が直接的には出てこないのは新鮮。 また、戦闘の場面はあっさりと描き、主に心理的な駆け引きや会話メインの展開は …

2022年の10冊

歴史的に見ても色々あった2022年もいよいよ終わります。新たに感想はアップしませんが、少しづつ再読していた亡き津原泰水さんの短編集「綺譚集」をギリギリ本日読み終わりました。やはり傑作です。 再読とか上下巻などありますが、目標としていた60冊によう…

イクサガミ 天

著者:今村翔吾出版社:講談社 三部作とわかっていながら我慢できずに読んでしまった。 明治時代に繰り広げられるデスゲームはあっという間に読めてしまうので やはり全部出版されてから読めばよかった。 個性的な登場人物が次々登場、退場を繰り返しし目ま…

アホウドリの迷信 現代英語圏異色短篇コレクション

翻訳:岸本佐知子/柴田元幸 出版社スイッチ・パブリッシング 岸本佐知子さんと柴田元幸さんという大物翻訳家二人が 日本でほとんど翻訳されていない作家の短編をセレクトするという企画。 お二人の尖がったセレクトはなかなか手ごわい作品揃いのため 正直な…

語学の天才まで1億光年

著者:高野秀行出版社:集英社インターナショナル 高野さんの、一見緩さしか感じさせない(笑)過酷な冒険の数々に必要な言語を どのように取得してきたかが語られる。 実物のノートの写真を見ると案外几帳面で意外にも(失礼!)綺麗な字を 書かれるなとか…

2030半導体の地政学-戦略物資を支配するのは誰か

著者:太田泰彦出版社:日経BP日本経済新聞出版本部 出版が1年前のため、最近の状況をある程度知っていると古い情報もあるが 半導体を巡る世界の動向、流れを概ね掴むには良いかと。 かつて半導体王国だった日本のこの分野での凋落は、 そのまま国力の低下に…

機能獲得の進化史

著者:土屋健監修:群馬県立自然史博物館出版社:みすず書房 生物の獲得した機能と進化を「攻撃と防御」 「遠隔検知」 「あし」 「飛行」 「愛情」 の5章に分けて解説している。 イラストも豊富で読み易い。 軟組織である眼や生殖器などは化石としてほとんど…

幻想と怪奇 傑作選

監修:紀田順一郎/荒俣宏出版社:新紀元社 雑誌「幻想と怪奇」は古書店で見かけることはあったが読んだことは無い。 1974年に休刊し、2019年に復刻したようだ。 73年~74年の12号からの傑作選で、短編やエッセイ等バラエティに富んでいる。 ラヴクラフトと…

爆発物処理班の遭遇したスピン

著者:佐藤究出版社:講談社 長編だと思って読み始めたが、短編集だった。 ■「爆発物処理班の遭遇したスピン」 量子力学とテロを結び付けた表題作は緊迫する状況の中、 現実にありそうな米軍と日本の関係性と結末はリアルさを伴い、唸らされる。 ■「ジェリー…

地図と拳

著者:小川哲出版社:集英社 日清、日露戦争から第二次大戦の終焉まで、満洲国の架空都市を舞台とした 国家の建設と戦争をめぐる群像劇。 日本、中国、ロシアの思惑と登場人物の理想と野望が複雑に絡まり合いながら 歴史を紡いでいく。 戦争構造学研究所を主…

ifの世界線 改変歴史SFアンソロジー

著者:石川宗生/宮内悠介/斜線堂有紀/小川一水/伴名練出版社:講談社 メンツが面白そうなので読む。 表紙がモロにラノベなのだが、今年読んできた日本SFの表紙がどうもラノベ風が多く、 買うのに抵抗が無くなってきている(笑) ところで講談社タイガな…

蹴れ、彦五郎

著者:今村翔吾出版社:祥伝社 戦国時代のスター的な武将たちではなく、名前は知っていても あまりスポットが当たってこなかった人たちににフォーカスしている短編集。 どの話しも著者の描く人物は爽やかで慈悲深くそして自らの信念に従う様が心地よい。 今…

流浪地球

著者: 劉慈欣翻訳:大森望/古市雅子 出版社:KADOKAWA 爆発する太陽から逃れるために地球ごと太陽系から脱出しようとする 「流浪地球」を筆頭に、「三体」同様、スケールの大きな作品が多い。 ただ「三体」のスケール感に驚いたせいか、 それぞれ楽しめる…

危機の外交 岡本行夫自伝

著者:岡本行夫出版社:新潮社 テレビでたまにお見かけする程度で、人物や仕事のことは正直よく知らなかった。 コロナで亡くなってしまったが、本書を読み、もう少し活躍してほしい 人物だったと思う。 日本の外交は一体機能しているのだろうか? 常々危惧し…

ベストSF2022

編集:大森望出版社:竹書房 大森望が選ぶ2021年の短編SFベスト10。(中編がひとつ) なぜか不思議な生き物を扱う作品多し。 良かった作品は酉島伝法の「もふとん」と伴名練の「百年文通」。 眠りの質が悪い者としてか結果がどうあれ取り敢えず「もふとん」…

怪虫ざんまい 昆虫学者は今日も挙動不審

著者:小松貴出版社:新潮社 かなりニッチな分野の昆虫に対する熱量が凄い。 いろいろな世界があるのだなあ。 井戸のポンプをひたすら漕いで忍耐勝負のプラナリアを探す姿は 想像するだけで奇妙で圧倒されそうだが、その執念には恐れ入る。 ただ、コロナで行…

骸骨:ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚

著者:ジェローム・K・ジェローム翻訳:中野善夫出版社:国書刊行会 「ボートの三人男」以外の作品を知らなかったし、意外な分野でもあり 好みの内容らしいし、これは読まねばと思ってから少し時間だ経ってしまった。 幻想、怪奇、ディストピア、ファンタジ…

嘘と聖典

著者:小川哲出版社:早川書房 著者初の短編集、6編。 父と子の関係にSF的要素である過去と現在を掛け合わせた内容が多かったが、 マジシャン、競走馬、音楽、歴史改変など舞台設定が独特。 タイムマシンとマジシャンの組み合わせが嵌った「魔術師」は家族と…

血を分けた子ども

著者:オクテイヴィア・E・バトラー翻訳:藤井光 出版社:河出書房新社 てっきり男性作家だと思って読んでいたら女性でした。SF短編7編とエッセイ2編。 詳しい状況説明がないためストーリーを理解するために少し戻りながら 繰り返して読みはじめたが、ぐんぐ…

ゲームの王国(上/下)

著者:小川哲出版社:早川書房 舞台はカンボジア。カンボジアといえばポル・ポトが浮かぶが、 ポル・ポトの隠し子と言われるソリアと田舎の村で育つ天才児ムイタックが主役。 虐殺を免れるためにどう生き残るか、緊張の連続で史実に かなり沿ったかたちで物…

新しい世界を生きるための14のSF

編集:伴名練出版社:早川書房 基本的に書籍化されていない新世代の作家を伴名練がセレクトしたアンソロジー。 ほぼ知らない名前ばかりだが、バラエティに富んでいて案外楽しめた。 また、各作品に関連するジャンルのおススメ作品を伴名練がピックアップして…

新編 夢の棲む街

著者:山尾悠子編集:今野裕一装幀:ミルキィ・イソベ + 安倍晴美人形・写真:中川多理発行:ステュディオ・パラボリカ 収録作品が3篇+後記、中川多理が人形を添え、川野芽生が解説し 薔薇色の装幀で箱入りのまさにアートと呼べるコラボ作品。 少し離れたと…

リセット

著者:五十嵐貴久出版社:幻冬舎 いつの間にか出ていた「リカ」シリーズも第7弾となりました。 リカの高校生の時の話しですが、相変わらず周辺の人間が次々と不審死を遂げます。 すっかり慣れてしまったのか、怖さはあまり有りません。 まわりに無視されても…

決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL死闘の8カ月

著者:秋場大輔出版社:文藝春秋 まるで池井戸潤の作品を読んでいるような錯覚を覚えるノンフィクションだった。 LIXILで起きていたことは日経関連の記事で概要を読んでいたくらいで 結局内部抗争でしょ?くらいの印象だったが、こんな熱い闘いが展開されて…

三体X 観想之宙

著者:宝樹(バオシュー)翻訳:大森望/光吉さくら/ワン・チャイ 出版社:早川書房 三体シリーズがあまりにも壮大な物語だったので謎が多いことは確かだが、 あの内容をかなり正確に把握できたうえ、短期間でよくもこれだけの解釈を創出し、 尚且つ読ませ…

ユートロニカのこちら側

著者:小川哲出版社:早川書房 「2010年代SF傑作選2」で読んだ「バック・イン・ザ・デイズ」 を 読んだことをきっかけにいよいよ読むことに決めた小川哲。 まずはデビュー作からということで本作を選ぶが、 この連作集の中に「バック・イン・ザ・デイズ」は…