吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2008-01-01から1年間の記事一覧

あたりまえのこと --倉橋由美子

「BOOK」データベースより引用小説を楽しむためのヒント教えます!よい小説を書きたい人、面白い小説を読みたい人、すべての小説好きに贈る最初にして最後の小説論ノート。宣長から鴎外、カフカ、谷崎、クノー、ハイスミスまで古今東西の文芸作品を渉猟する倉…

推定少女 --桜庭一樹

「BOOK」データベースより引用とある事情から逃亡者となった“ぼく”こと巣篭カナは、逃げ込んだダストシュートの中で全裸の美少女・白雪を発見する。黒く大きな銃を持ち、記憶喪失を自称する白雪と、疑いつつも彼女に惹かれるカナ。2人は街を抜け出し、東京・…

あの戦争は何だったのか --保阪正康

本書は一昨年に購入してずっと本棚で眠らせていたのですが、本作品を基にしたテレビ番組が放送されることを知り、先日急遽読みました。まさかこの本で番組が制作されるとは思っていなかったので慌てましたが、新書とはいえあっと言う間に読めました。 この手…

ボートの三人男 --ジェローム・K・ジェローム

去年の9月に買っていたのですがようやく読めました(笑)コニー・ウィリスの「犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」を読んでから気になりつつ先延ばしにしてたのですが、今年中に必ず読むんだと決めていたのでギリギリセーフです…

書店はタイムマシーン 桜庭一樹読書日記 --桜庭一樹

しかし、この読書量は一体・・・言葉が続けられないくらいの読書量だ。それもジャンルが広い。海外作品がとりわけ多い。題名どころか作者すらほとんど知らない自分に気付かされ、撃沈。一体何冊出てきたかわかりませんが、私が読んだ本は確か5冊を越えたけど…

ホームタウン --小路幸也

「BOOK」データベースより引用札幌の百貨店で働く行島征人へ妹の木実から近く結婚するという手紙が届いた。両親が互いに殺し合った過去を持つ征人と木実は、家族を持つことを恐れていたにもかかわらず。結婚を素直に喜ぶ征人。だが結婚直前、妹と婚約者が失…

ぬしさまへ --畠中恵

「BOOK」データベースより引用きょうも元気に(?)寝込んでいる、若だんな一太郎の周囲には妖怪がいっぱい。おまけに難事件もめいっぱい。幼なじみの栄吉の饅頭を食べたご隠居が死んでしまったり、新品の布団から泣き声が聞こえたり…。でも、こんなときこそ冴…

2005年のロケットボーイズ --五十嵐貴久

1985年の奇跡で結構楽しめたのでその流れで読みました。リカで震え上がったのは置いといて(笑) 双葉社Webサイトより引用梶屋信介は都内の工業高校に通う17歳。ちょっとしたことから人工衛星をつくることになった。といってもそんなの絶対ムリ!なので仲…

氷菓 --米澤穂信

ストーリーセラーで気になった作家、米澤穂信のデビュー作品です。すっかりストーリーセラーの策略にはまって新しい作家さんとの出会いを楽しんでいます。 「BOOK」データベースより引用いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文…

ファイティング寿限無 --立川談四楼

「BOOK」データベースより引用若い!貧乏!売れない!そんな落語家が、突然にボクシングを始めた。きっかけはケンカ。オレには、ファイターの素質があったのか!?「売れるためには、まず有名になること」師匠の言葉を信じて、一人前の芸人になるために、チャンピ…

バスジャック --三崎亜記

「となり町戦争」が思っていたほど評価できなかったのですが、なんのなんの「バスジャック」は再び期待を裏切ってくれて、思っていたよりも良かったです。ショートショート2編を含む7作品が収録されています。長編だとばっかり思っていたので肩透かしを喰ら…

高く遠く空へ歌ううた --小路幸也

講談社BOOK倶楽部より引用子どものころは、もっとどきどきした、たくさんの発見があった――僕の片眼の暗闇には、もう一人の〈僕〉がいる港に霧が出た夜には「赤眼の魔犬」が現れ、次の日には必ず人が死ぬ――。高くて広い空に囲まれた町で暮らす、少年・ギーガ…

空を見上げる古い歌を口ずさむ --小路幸也

「BOOK」データベースより引用「みんなの顔が“のっぺらぼう”に見えるっていうの。誰が誰なのかもわからなくなったって…」兄さんに、会わなきゃ。二十年前に、兄が言ったんだ。姿を消す前に。「いつかお前の周りで、誰かが“のっぺらぼう”を見るようになったら…

ひねくれアイテム --江坂遊

ひそかに応援している作家、江坂遊さんの2冊目です。数少ないショートショートの作家さんで星新一さんの唯一の弟子なんです。48篇収められているのですが、前作の「仕掛け花火」程のインパクトはありませんでした。と、言うよりも「仕掛け花火」のインパクト…

文壇アイドル論 --斎藤美奈子

80年代前後に頭角を現した作家たちを取り上げ、当時の評論家たちの言葉を引用しながら「作家論」論を展開している作品です。村上春樹、俵万智、吉本ばなな、林真理子、上野千鶴子、立花隆、村上龍、田中康夫が取り上げられています。 最近は評論家の書いた本…

逃亡くそたわけ --絲山秋子

講談社BOOK倶楽部より引用「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、退屈な精神病院からの脱走を決意。名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、彼のぼろぼろの車での逃亡が始まった。道中、幻聴に…

イッツ・オンリー・トーク --絲山秋子

「BOOK」データベースより引用引っ越しの朝、男に振られた。やってきた蒲田の街で名前を呼ばれた。EDの議員、鬱病のヤクザ、痴漢、いとこの居候―遠い点と点とが形づくる星座のような関係。ひと夏の出会いと別れを、キング・クリムゾンに乗せて「ムダ話さ」と…

さがしもの --角田光代

新潮社Webサイトより引用「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「…

シャングリ・ラ(上・下) --池上永一

読む前は全く知識がなかったのですが、直前に読んだ「バガージマヌパナス」とは全く別の世界観で、ひたすらマンガ的、ゲーム的な作品でした。いい意味でも悪い意味でも。アニメ雑誌「ニュータイプ」で連載されていたんですね。ひと言で表現するとしたら「荒…

バガージマヌパナス --池上永一

「BOOK」データベースより引用「ワジワジーッ(不愉快だわ)」ガジュマルの樹の下で19歳の綾乃は呟く。神様のお告げで、ユタ(巫女)になれと命ぜられたのだ。困った彼女は86歳の大親友オージャーガンマーに相談するが…。あふれる方言、三線の音、沖縄の豊かな伝…

完本 直江山城守(愛と鬼謀の軍師) --井口朝生

BOOKデータベースより引用越後の虎・上杉謙信の薫陶を受け、その後継者景勝の股肱の軍師・参謀となった英傑の生涯を描く長編。青春時代、関ヶ原戦の駆け引き、宿命の女性、そして敗戦後、領地を大きく削られた米沢での苦心の名治世…。一度割愛された冒頭二章…

生物から見た世界 --ユクスキュル、クリサート

ヤーコブ・フォン・ユクスキュル(著)、ゲオルク・クリサート(絵) 「BOOK」データベースより引用甲虫の羽音とチョウの舞う、花咲く野原へ出かけよう。生物たちが独自の知覚と行動でつくりだす“環世界”の多様さ。この本は動物の感覚から知覚へ、行動への作…

ボディ・アンド・ソウル --古川日出男

本書より引用二〇〇二年十一月から二〇〇三年七月、東京――作家フルカワヒデオの魂は彷徨っていた。肉体は死んでいる。しかし夢見ている。失われた妻を求め、導師に導かれながら、この”低音世界”で物語は語り続けられる。なぜ物語るのか?なぜ物語られるのか…

モダンタイムス[特別版] --伊坂幸太郎

講談社BOOK倶楽部より引用検索から、監視が始まる。漫画週刊誌「モーニング」で連載された伊坂作品 最長1200枚岡本猛はいきなり現われ脅す。「勇気はあるか?」五反田正臣は警告する。「見て見ぬふりも勇気だ」渡辺拓海は言う。「勇気は実家に忘れてきました…

白い牙 --ジャック・ロンドン

「野性の呼び声」は飼い犬が野性に目覚める話しだが、この作品は逆に野性のオオカミが人間社会に溶け込んでいく内容になっている。個人的には「野性の叫び」のほうが好きだが、これも十分楽しめた。 新潮社サイトより引用自分以外のすべてに、彼は激しく牙を…

空飛ぶタイヤ --池井戸潤

なぜかやたらと忙しい今日この頃、2段組500ページ弱のボリュームは躊躇したのですが、読んでよかったです。こんな時期だからこそ頑張る人の話は自分にとっても力になりました。睡眠時間はかなり削られてしまいましたが、それぐらいの価値は十分ありました。…

維新回天 高杉晋作 --村上元三

BOOKデータベースより引用吉田松陰の開いた松下村塾で頭角を現し、激動の幕末期に大局を見極める眼力と圧倒的な行動力に恵まれ、日本の維新回天を目指した男。長州藩の藩策統一に奔走、上海への渡航、奇兵隊結成…など。新しい時代に向けて駆け抜けた晋作の生…

野性の呼び声 --ジャック・ロンドン

光文社Webサイトより引用ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがて…

怖ろしい味 --勝見洋一

光文社Webサイトより引用その鮨屋は、職人が一切顔を見せない不思議な店だった。長い暖簾の奥の暗闇から、つるりとした白い手がのぞく。そして供される鮨は、あまりにも見事なものだった――。(「鮨屋の怪」) 練り上げられた文章が掬い上げる虚実皮膜の世界…

ユージニア --恩田陸

「ねえ、あなたも最初に会った時に、犯人って分かるの?」こんな体験は初めてだが、俺は分かった。犯人はいま、俺の目の前にいる、この人物だ――。かつて街を悪夢で覆った、名家の大量毒殺事件。数十年を経て解き明かされてゆく、遺された者たちの思い。いっ…