吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2008-01-01から1年間の記事一覧

四畳半神話大系 --森見登美彦

最初から最後まで大笑いではなくニヤニヤしてしまう顔を周囲には悟られないよう、ぐっと強張った顔で読み通したので、疲れました。 「BOOK」データベースより引用大学三回生の春までの二年間を思い返してみて、実益のあることなど何一つしていないことを断言…

無名 --沢木耕太郎

「BOOK」データベースより引用一合の酒と一冊の本があれば、それが最高の贅沢。そんな父が、ある夏の終わりに脳の出血のため入院した。混濁してゆく意識、肺炎の併発、抗生物質の投与、そして在宅看護。病床の父を見守りながら、息子は無数の記憶を掘り起こ…

凍える島 --近藤史恵

「サクリファイス」に行くまでの過程として読んでおかねばと思い、いつも通りまわり道の読書を楽しむことにした。「Story seller」で読んだ「プロトンの中の孤独」が結構男性っぽい硬質な作品に感じられたのですが、本作はむしろ女性っぽい柔らかさを感じま…

ノラや --内田百閒

村松友視さんの「アブサン物語」の感想で近日中に読むと書いてから随分たってしまいました。 「BOOK」データベースより引用ふとした縁で家で育てながら、ある日庭の繁みから消えてしまった野良猫のノラ。ついで居つきながらも病死した迷い猫のクルツ―愛猫さ…

信長|イノチガケ --坂口安吾

「イノチガケ」「島原の乱雑記」「鉄砲」という短編と「信長」という長編の4編が収められています。 「BOOK」データベースより引用「死のうは一定」―姑息因循な“時代”の壁を蹴破り、闊達自在の“自由”を生きた、先駆する“近代”織田信長。天下周知の笑い者が…

向日葵の咲かない夏 --道尾秀介

Story sellerで気になっていた作家さんのひとりでした。「光の箱」を読んだ時にはこの作家が自分にとって合うか合わないかを判断できなかったのですが。。。 「BOOK」データベースより引用明日から夏休みという終業式の日、小学校を休んだS君の家に寄った僕…

リカ --五十嵐貴久

「1985年の奇跡」を読んで面白かったので2冊目なんですが、、、ビックリするじゃないか、もう!! 「BOOK」データベースより引用 妻子を愛する42歳の平凡な会社員、本間は、出来心で始めた「出会い系」で「リカ」と名乗る女性と知り合う。しかし彼女は、恐る…

しゃばけ --畠中恵

今頃になってようやく読みました。しゃばけシリーズ突入です。畠中恵(「はたけなか めぐみ」)をずっとハタナカと読んでいました(笑) 「BOOK」データベースより引用 江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが…

オヨヨ島の冒険 --小林信彦

ビバ!オヨヨ! ついに再読を果たしました。ありがとう、恩田陸さん!懐かしい、嬉しい、よくぞ復刻してくれました!書店で見かけた途端買ってました。以前、「怪物がめざめる夜」で書いたのですが、子供の頃に熱中してたんです、オヨヨシリーズ(笑) ウェ…

羆嵐 --吉村昭

1915年(大正4年)北海道三毛別六線沢にある開拓村を巨大な羆(ヒグマ)が襲い、男女6人が犠牲になったという実話が基になっている。 今となってはクマはかわいい動物の一種で、凶暴というよりお友達感覚を持つ人のほうが多いのではないでしょうか。さすがに…

夏への扉 --ロバート・A・ハインライン

自分への宿題のつもりで8月中に読み終わる予定でいたのですが、何とか間に合いました。夏休みの読書感想文ってかんじで(笑)本書はちょうどいいかもしれないと思っていたもので。記事は今日になってしまいましたが。。。。 久しぶりに再読したのですが、や…

古本道場 --角田光代、岡崎武志

フリーライター、書評家である古本の師匠、岡崎武志さんがテーマを出題し、それに則り古本初心者?角田光代がアチコチの個性豊かな古本屋さんに出向き色々な思いをめぐらしながら古本を購入し、古本道を極める過程が綴られる。そんな展開。 古本屋さんはほと…

沈黙の春 --レイチェル・カーソン

環境問題の教科書として有名な本書ですが、著者カーソンの本職は海洋生物学者です。海辺やわれらをめぐる海などはとても好きな作品ですが、本書は海から離れ農薬が及ぼす環境破壊に対する問題提起を行っています。1962年に発表された先駆的な作品です。日本…

兵法 孫子 戦わずして勝つ --大橋武夫

たまにはビジネスモードです。うちのような弱小が生き残るためには本書の副題にあるように「戦わずして勝つ」ことが肝要です。実際に「戦う」とか「勝つ」というのは言葉のあやで、いかに調整するか、関係者みんなが納得するか、という意味ですが。 競合する…

ダークナイト

監督: クリストファー・ノーランブルース・ウェイン/バットマン: クリスチャン・ベールジョーカー: ヒース・レジャーハービー・デント/トゥーフェイス: アーロン・エッカートテレビなどの宣伝を見ていて「バットマン」とは気付かず、ジョーカーが見え…

少女には向かない職業 --桜庭一樹

少女には向かない職業 --桜庭一樹 桜庭一樹の初読です。「赤朽葉家の伝説」を読みたいがために、とりあえずここから始めました。 本書より引用 あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した・・・・・・あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かな…

幻獣ムベンベを追え --高野秀行

ワセダ三畳青春記がツボだったので早めの第二弾です。 子供の頃は近所にまだまだ自然が多く、森や川や沼みたいな場所があったものだ。その中を分け入って何度探検しかことか。かつては川口浩探検隊シリーズがテレビで放映され、ドキドキしながらテレビの前に…

古本屋さんでのこと

今、古本屋さんに関する本を少しずつ読んでいるんですが、その本にうちの近所の古本屋さんの名前もでてきたんです。なんとなく嬉しいもんですね。で、先日その古本屋さんで本を物色していたら、40代から50代の女性が入店してきて料理系の雑誌なのか、レシピ…

熱球 --重松清

高校野球をやっている期間中に間に合うようにようやく積んであった本作を読了しました。中継は見ていないのですが、選手の皆さんも応援している皆さんも暑い中、頑張ってください! 「BOOK」データベースより)20年前、町中が甲子園の夢に燃えていた。夢が壊…

むかしのはなし --三浦しをん

三浦しをんさんの本は以前よりブロ友さんの書評を読むにつけ興味をそそられていたのですが、ふと本書を見つけ、説明を読むと・・・・ 三ヵ月後に隕石がぶつかって地球が滅亡し、抽選で選ばれた人だけが脱出ロケットに乗れると決まっとき、人はヤケになって暴…

クライマーズ・ハイ --横山秀夫

御巣鷹山の航空機事故が起きた日が近くなってきましたので間に合うように読みました。フィクションですが、作者の記者経験に基づいたノンフィクションといってもいい作品で、期待以上に面白く、しばらく積んでいたことを後悔しました。 「BOOK」データベース…

蛇行する川のほとり --恩田陸

以前図書館で読んだため、3冊に分かれていたせいもあり他の人に借りられてばかりで一気読みできず、記憶が曖昧のため感想を書けずにいました。一冊にまとまっている文庫本を入手してあったのですが、ようやく一気読みできました。読む季節としてはいい時期か…

高熱隧道 --吉村昭

暑い夏ですが、本書を読むと申し訳なくて暑いなんて愚痴、言えなくなってしまいます。なんて書きながら軟弱なのですぐに「暑い」を連発してしまう自分が情けない。。。 本書説明より引用 黒部第三発電所-昭和11年8月着工、昭和15年11月完工。人間の侵入を拒…

空の中 --有川浩

「深海のYrr」で深海で起きた様々な危機と顛末を味わった直後は、高い高い「空の中」へと飛び込みました(笑)Story Seller で有川作品を読みましたが単独書籍としては初めて読むことになります。 「ノイタミナ」バージョンの「図書館戦争」を見ているため、…

深海のYrr(上/中/下) --フランク・シェッツィング

ようやく読み終わりました。3巻。全部で約1600ページ強!!ほぼ半月かかりましたが、自分としては頑張りました(笑)ページ数に圧倒されてしばらく熟成させていたのですがやはり夏といえば海、ということで。。。専門的な話しが多い割りに思ったよりもサクサ…

センス・オブ・ワンダー --レイチェル・カーソン

海洋生物学者として「潮風の下で」「われらをめぐる海」「海辺」などを書いただけではなく、環境問題の教科書ともいわれる「沈黙の春」を書いたカーソンの遺作です。毎年姪の息子、ロジャーと自然の中で過ごし、感じた事が綴られています。 「BOOK」データベ…

夜市 --恒川光太郎

夏ですからってまだ梅雨ですが(笑)ホラー大賞ってベタな発想もありつつ、表紙に魅かれて購入。なかなか趣きのある表紙です。日本ホラー小説大賞というのでもう少し怖いストーリーかと思っていたのですが思っていたようなおどろおどろしいホラーものではあ…

AKIRA(1-6) --大友克洋

立て続けに行きます。1988年、新型爆弾が関東地区で使用され、第三次世界大戦が勃発する。2019年、ネオ東京を舞台に軍事機密「アキラ」をめぐり、「健康優良不良少年」、アーミー、ゲリラ、新興宗教団体が争奪戦を繰り広げる。この作品がヤングマガジン(当…

童夢 --大友克洋

大友克洋は「AKIRA」からはいったので、「童夢」を読んだ時は「AKIRA」の凝縮版じゃん!って思いました。「AKIRA」よりも前に出版されているので、これを広げたものが「AKIRA」なんでしょうね。なので両作品でひとつの記事にしようかとも思ったのですが、「…

東京バンドワゴン --小路幸也

小路幸也さん初読みです。本書は、 「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ、」 と言う言葉で締められているように、昭和の大家族ドラマへのオマージュと考えていいでしょう。寺内貫太郎とか時間ですよなどを見ていた人には懐…