吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

【カ行】の作家

おちび

著者:エドワード・ケアリー翻訳:古屋美登里 出版社:東京創元社 「おちび」とあだ名されるマリー・グロショルツこと、のちのマダム・タッソーの人生が描かれる。主な舞台となるパリ、フランス革命前後の史実と重ね合わせマリーの境遇が過酷すぎる。芯の強…

「カ行」の作家

【カ】●キアラン・カーソン琥珀捕りシャムロック・ティートーイン クアルンゲの牛捕り●レイチェル・カーソン潮風の下で海辺―生命のふるさとわれらをめぐる海沈黙の春センス・オブ・ワンダー●トルーマン・カポーティ冷血●ロバート・カレン子供たちは森に消え…

炎の眠り ::ジョナサン・キャロル

ぼくは呆然としていた。目の前に、三十数年前に死んだ男の墓がある。そこに彫られた男の肖像が、ぼくだったのだ。そのとき、見知らぬ老婆が声をかけてきた。「ここにたどりつくまで、すいぶん長いことかかったね!」捨て児だったぼくは、自分がなにものなの…

3001年終局への旅 --アーサー・C・クラーク

宇宙の旅もいよいよ終局へ。ついに3001年まで無事?到達いたしました。最後の主役は「フランク・プール」2001年宇宙の旅でディスカバリー号に同乗していたボーマン船長の同僚であり、HALによって殺された宇宙飛行士である。その彼がどうして主役かというと、…

2061年宇宙の旅 --アーサー・C・クラーク

2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざす―そして、みずからの手で彗星を調査する。だ…

月の骨 --ジョナサン・キャロル

あたしはとっても幸せ。この世でいちばんすてきな旦那さまがいるし、おなかには二人の赤ちゃんも。でも最近、変な夢を見はじめた。ロンデュア、これが夢の世界の名前。あたしとあたしの息子のペプシは、五本の月の骨を探すためにその世界に帰ってきたのだ。…

不思議のひと触れ --シオドア・スタージョン

ちゃんと働いて給料をもらい、だれにも憎まれず、それを言うならだれにも好かれない。どこにでもいるそういう平凡な人間に不思議のひと触れが加わると…? 表題作をはじめ、円盤は女になにを話したか?…魅力の結晶「孤独の円盤」、ベスト級のホラー「もうひとり…

2010年宇宙の旅 --アーサー・C・クラーク

2010年、宇宙船アレクセイ・レオーノフ号は地球を旅立とうとしていた。10年前に遥か木星系で宇宙飛行士4人が死亡、1人が失踪した事件を調査し、遺棄された宇宙船ディスカバリー号を回収することがその任務だった。はたして真相は究明されるのか?そして、木星…

2001年宇宙の旅 --アーサー・C・クラーク

三百万年前の地球に出現した謎の石板は、原始的な道具も知らないヒトザルたちに何をしたのか。月面で発見された同種の石板は、人類に何を意味しているのか。宇宙船ディスカバリー号のコンピュータ、ハル9000はなぜ人類に反乱を起こしたのか。唯一の生存者ボ…

幼年期の終り --アーサー・C・クラーク

異星人の宇宙船が地球の主要都市上空に停滞してから五十年。その間、異星人は人類にその姿を見せることなく、見事に地球管理を行なった。だが、多くの謎があった。宇宙人の真の目的は? 人類の未来は?――巨匠が異星人とのファースト・コンタクトによって新た…

死者の書 --ジョナサン・キャロル

2冊続けて消化不良気味だったので、がっつり目先を変えようと混沌とした我が書棚から未読作品を探すことに。ライバルたちを蹴落として引っ張り出したこの本。ああ!早く読んどけば良かった!大いに反省。きっとまだまだ良書が埋まっているに違いない!! ぼ…

楽園の日々 --アーサー・C・クラーク

イギリスの片田舎で過ごした少年期、ロンドンでの公務員生活、そしてイギリス空軍の技術士官としてレーダー開発に従事した6年間…やがてSF界の巨匠となるアーサー・C・クラークのかたわらには、常にパルプ雑誌『アスタウンディング』と驚異に満ちた短篇の数々…

潮風の下で --レイチェル・カーソン

古典的ベストセラーともなった、環境問題への警告の書『沈黙の春』の著者レイチェル・カーソンは『われらをめぐる海』など海を語る著者としても有名である。本書は、1941年に刊行された彼女の処女作であり、彼女のよってたつ原点ともいうべき作品である。海…

シャムロック・ティー --キアラン・カーソン

「琥珀捕り」に続いて読みました。読み終わってしまいました。でも読んで良かった。 以下本文より引用 「彼はまず、画板を百の四角に区分けする。それぞれの四角に番号をつけて小さな手控え帖に書き付ける。しかるのちに、これらの四角をさまざまな色で塗り…

琥珀捕り --キアラン・カーソン

「BOOK」データベースより引用ローマの詩人オウィディウスが描いたギリシア・ローマ神話世界の奇譚『変身物語』、ケルト装飾写本の永久機関めいた文様の迷宮、中世キリスト教聖人伝、アイルランドの民話、フェルメールの絵の読解とその贋作者の運命、顕微鏡…

わが愛しき娘たちよ --コニー・ウィリス

「BOOK」データベースより引用寄宿舎惑星の女子寮、その男子禁制の聖域でなにが起こったのか?性と生殖が切り離された未来のセクシュアリティを描破して、スキャンダルをまきおこした超問題作「わが愛しき娘たちよ」。大空襲下のロンドンを訪問した時間旅行者…

子供たちは森に消えた --ロバート・カレン

「BOOK」データベースより引用1982年、体制の崩壊を目前にしたソヴィエト連邦ロシア南部の森で、ナイフの傷跡も無残な少女の死体が発見された。それを皮切りに次次と森で子供たちが惨殺される事件が発生し、担当の捜査官ブラコフは、精神科医の協力を得つつ…

センス・オブ・ワンダー --レイチェル・カーソン

海洋生物学者として「潮風の下で」「われらをめぐる海」「海辺」などを書いただけではなく、環境問題の教科書ともいわれる「沈黙の春」を書いたカーソンの遺作です。毎年姪の息子、ロジャーと自然の中で過ごし、感じた事が綴られています。 「BOOK」データベ…

ディファレンス・エンジン --ウィリアム・ギブスン、ブルース・スターリング

恩田陸の「恐怖の報酬」日記を読み終わったんですけど、その中で「ディファレンス・エンジン」が少しだけ出てきていたので便乗してみました。まあ、こんな機会がなければなかなかこの作品を取り上げられないような気がしてたもので(笑) 「BOOK」データベー…

ヒューマン・ファクター --グレアム・グリーン

この作品はスパイ小説です。ですが、派手なスパイ小説が好きな人にはつまらないかもしれません。ちなみにグレアム・グリーンは映画「第三の男」の原作者でもあります。「BOOK」データベースより引用イギリス情報部の極秘事項がソ連に漏洩した。スキャンダル…

冷血 --トルーマン・カポーティ

ゲイ・タリーズとトルーマン・カポーティを読むと手法の違いがはっきりしていて面白い。タリーズの 「汝の父を敬え」 がニュー・ジャナリズムの代表作ならば、カポーティの「冷血」はノンフィクション・ノベルの代表作でしょう。完成までにタリーズは7年、カ…

海辺―生命のふるさと --レイチェル・カーソン

毎年行く岩場でのスノーケリングは、行く度に新しい発見で飽きることがない。名前もわからない小魚の大群に囲まれたり、砂粒のような稚魚の大群が眼前にいたり。そういえば海草の切れ端が2本、同じ方向に同じスピードで移動しているから不思議に思ってじっと…

われらをめぐる海 --レイチェル・カーソン

海に関して興味があって、何かの折に彼女の名前を知り、数件の本屋さんを探して見つけました。「沈黙の春」のほうが有名ですが、彼女はれっきとした海洋生物学者です。学者の著書なので専門用語が結構出てきますが、表現力が豊かで素人にもとてもわかりやす…