著者:筒井康隆
出版社:新潮社
25の掌編集。
うち2編は「ジャックポット」からの再収録のため既読。
表紙はとり・みきさんだった。
かつての毒はだいぶ薄まり哀愁を感じる作品多め。
「プレイバック」「カーテンコール」はまるでご自身の見る走馬灯を
共有させてもらっている感じ。
締めの「附・山号寺号」は「バブリング創世期」を思い出す。
筒井流の読経のようにも思えたが考え過ぎ?
「コロナ追分」は題名通り最近のコロナ禍の様々を扱っていて
まだまだ毒気が残っていることに安心する。
「プレイバック」で星、小松などの名が出てきた時、不意に感情が揺さぶられた。
多くの仲間が逝き、一人踏ん張っている姿が浮かぶ。
これが最後の作品とのことなのでつい走馬灯とか読経とか書いたが
多分、きっと、まだまだ絶品の毒をばら撒いてくれるのではないかと信じている。
【収録作品】
深夜便/花魁櫛/白蛇姫/川のほとり/官邸前/本質
/羆/お時さん/楽屋控/夢工房/美食禍/夜は更けゆく
/お咲の人生/宵興行/離婚熱/武装市民/手を振る娘
/夜来香/コロナ追分/塩昆布まだか/横恋慕
/文士と夜警/プレイバック/カーテンコール/附・山号寺号