吉祥読本

読書感想。面白そうな本なら何でも読みたい!

2011-01-01から1年間の記事一覧

金色の獣、彼方に向かう /恒川光太郎

「異神千夜」「風天孔参り」「森の神、夢に還る」「金色の獣、彼方に向かう」の4編構成です。 「金色の獣」や「樹海」など共通点が見受けられるが、特に説明は無い。それぞれ明確な繋がりはないが、元寇の頃の物語りなので鎌倉時代から現代を舞台としている…

感想を書かなかった本の記録 PART-4

引き続き(独立した)読書感想をアップしない本の備忘録として残す第四弾。小説率は一気にアップ! ★ 11月に読んだ本(11冊) ★ ●ヨーロッパ退屈日記 ::伊丹十三 2011/11/1 読了 ※気障だなあと思いつつそれが鼻につくこともない。おしゃれなエッセイで 若い…

感想を書かなかった本の記録 PART-3

引き続き読書感想をアップしない本の備忘録として残す第三弾。雑誌を一冊含みます。またまたちょっとだけ感想付きです。やはり題名を変えるべきか、と悩むも後に引けなくなってしまった(苦笑) ★ 10月に読んだ本(8冊) ★ ●日本軍のインテリジェンス なぜ情…

感想を書かなかった本の記録 PART-2

引き続き感想をアップしない本の備忘録として残します。今回は少々感想も添えます。(記事の題名に偽りありですな) ★ 9月に読んだ本(7冊) ★ ●黒船の世紀(下) - あのころ、アメリカは仮想敵国だった ::猪瀬直樹 2011/9/2 読了 ※猪瀬直樹の名著「昭和16年の…

感想を書かなかった本の記録 PART-1

読書は着々と楽しんでいますが、思うようにブログに時間が使えません。勉強だったり自己啓発だったりノンフィクションだったりなので感想が書き難い本が多いせいもあります。似たような本が多いので重複を避けるために感想をアップしない本だけ遡って備忘録…

戯史三國志 我が槍は覇道の翼 /吉川永青

「我が糸は誰を操る」に続いて第二弾を読みました。第一弾は陳宮が主役だったが、今回は呉の孫家三代に仕えた武将、程普にフォーカスしている。 役人出身でありながら流浪の末、黄巾族となっていた程普は、孫堅と出会い闘う。互いに戦上手なれど、結局は孫堅…

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選

大森望氏がセレクトした時間SF傑作選13編。いろんな切り口の時間SFがあるもんだなあ。もっと違うジャンルもあるだろうが、時間モノに関してはこれだけ網羅していれば充分読み応えあり。全てとはいかないものの、比較しながら読むことで相乗的に楽しめるもの…

九月が永遠に続けば ::沼田まほかる

「猫鳴り」に続いて2作目。第5回ホラーサスペンス大賞受賞とあったのでホラー作品かと思っていたが思っていたようなタイプの作品ではなかった。 主人公は精神科医の安西と離婚し、高校生の息子、文彦と暮らす水沢佐知子。ある夜、ゴミだしに出て行った文彦が…

イエメンで鮭釣りを ::ポール・トーディ

砂漠の地、イエメンに川を作り、鮭を放流し、釣りをしたい。大富豪シャリフの壮大な計画に翻弄される主人公とそのプロジェクトの顛末を描いたイギリスのユーモア作品です。 主人公はイギリスの国立水産研究所に勤める堅物研究者アルフレッド・ジョーンズ。あ…

後藤さんのこと /円城塔

円城作品は二冊目。一言で言うとよくわからないが面白い。 楽しめたのが「後藤さんのこと」と「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」。いずれも文体といい言葉の扱い方といい表記の仕方といい既存の小説に対するチャレンジするかの…

ジャック・マイヨール、イルカと海へ還る /ピエール・マイヨール/パトリック・ムートン

題名が似通っていてわかりにくいが、ジャック・マイヨールの兄による弟ジャック・マイヨールの評伝。子供の頃から死を選択する晩年までを身近なところから見ていた兄の言葉は、一定の距離感を保ちながら客観的に弟を見ている。思っていたよりも肩入れが少な…

イルカと、海へ還る日 ::ジャック・マイヨール

ジャック・マイヨールといえば映画「グラン・ブルー(邦題はグレート・ブルー)」を思い出す人も多いでしょう。個人的にはジャン・レノが演じたライバル、エンゾの印象が強いのですが。。。 素潜りで世界記録を何度も打ち立てた人で、世界中を旅しながら色々…

銭の弾もて秀吉を撃て /指方恭一郎

「城山三郎経済小説大賞」受賞作。この賞に関しては本書を読むまで知りませんでした。ダイヤモンド社から出版しているだけのことはあって歴史小説かつ経済小説です。作品は天下人となった秀吉が博多の豪商、島井宗室に「朝鮮出兵」の先鋒として協力を求める…

「ヤ行、ラ行、ワ行」の作家

★「ヤ行」の作家【ヤ】●ロバート・F・ヤングたんぽぽ娘【ユ】●ヤーコブ・フォン・ユクスキュル 【ゲオルク・クリサート(絵)】生物から見た世界 ★「ラ行」の作家【ラ】●フリッツ・ライバー跳躍者の時空●H.P.ラヴクラフトラヴクラフト全集〈5〉ラヴクラフト…

「マ行」の作家

【マ】●ジャック・マイヨールイルカと、海へ還る日●ピエール・マイヨールジャック・マイヨール、イルカと海へ還る●ジョージ・R・R・マーティン洋梨形の男サンドキングズ●パトリック・マグラア失われた探険家●ベン・マッキンタイアー英国二重スパイ・システム…

「ハ行」の作家

【ハ】●アンソニー・バージェス時計じかけのオレンジ●トム・バージェス喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日●ロバート・A・ハインライン夏への扉●オルダス・ハクスリーすばらしい新世界●マーク・ハッドン夜中に犬に起こった奇妙…

「タ行」の作家

【タ】●ジャレド・ダイアモンド文明崩壊●ジョージ・ダイソンチューリングの大聖堂: コンピュータの創造とデジタル世界の到来●ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアすべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた●ゲイ・タリーズ汝の父を敬え【チ】●G.K.チェス…

「サ行」の作家

【サ】●ロベルト・サヴィアーノ死都ゴモラ---世界の裏側を支配する暗黒帝国●サキサキ短編集レジナルド●アーネスト・サトウ一外交官の見た明治維新【シ】●フェルディナント・フォン・シーラッハ犯罪罪悪コリーニ事件禁忌カールの降誕祭テロ●フランク・シェッ…

「カ行」の作家

【カ】●キアラン・カーソン琥珀捕りシャムロック・ティートーイン クアルンゲの牛捕り●レイチェル・カーソン潮風の下で海辺―生命のふるさとわれらをめぐる海沈黙の春センス・オブ・ワンダー●トルーマン・カポーティ冷血●ロバート・カレン子供たちは森に消え…

「ア行」の作家

【ア】●ギルバート・アデア閉じた本●ケイト・アトキンソン世界が終わるわけではなく●デービッド・アトキンソンデービッド・アトキンソン 新・観光立国論●デイヴィッド・アーモンド肩甲骨は翼のなごり【イ】●グレッグ・イーガンTAP●ジェニファー・イーガンな…

世にも奇妙なマラソン大会 /高野秀行

今年読んだ「空白の五マイル」の作者、角幡唯介さんは早稲田大学探検部でした。 しかし、早稲田大学探検部といえば高野さんです。夏のお供にはやはり高野さんです。 硬派なイメージの角幡さんに比べるとビックリするくらいに軟派な高野さん。 今回はほぼ勢い…

かばん屋の相続 ::池井戸潤

文庫オリジナルの短編集で6編収められています。 最近は銀行メインの話からやんわりと別業種の話に移行つつある池井戸さんですが これは2005年から「オール読物」に掲載された作品群であり、ほとんどが銀行もの。 ただし、今までの長編作品には、これら短編…

開かせていただき光栄です /皆川博子

18世紀の古きロンドンを舞台にしたミステリー作品です。 外科医をしながら私的解剖教室を開くダニエル・バートンとその弟子たちの周辺で奇怪な事件が起きる。 容姿端麗なエドワード・ターナーや天才細密画家であるナイジェル・ハートら優秀な弟子たちがダニ…

翼の贈りもの ::R.A.ラファティ

ラファティの後継者と言われるテリー・ビッスンの「平ら山を越えて」を読み終え、 チャンスとばかり積んであった本家ラファティの作品を読んだわけですが、 今回のラファティも半分近くの作品で苦戦しました。 宗教色の強さを感じる重苦しいホラ話とでもいう…

平ら山を越えて ::テリー・ビッスン

先月の二人じゃネットに続いて奇想コレクション2冊目のテリー・ビッスンの作品集です。今回の作品は「ふたりジャネット」に比べるとおとなしいというか風刺の強い作品が多い。 「平ら山を越えて」 大きな山の向こうへ向かうトラックの運転手とヒッチハイカー…

こちらあみ子 /今村夏子

表紙が小川洋子さんの「人質の朗読会」と非常に似ていたので手にとってみると、やはり同じ人でした。2作品掲載されてます。 「こちらあみ子」 はっきりと明記されないが、なんらかの障害を持っていると思われる女の子の視線で語られる物語。 中学を卒業した…

ダーティ・ワーク ::絲山秋子

ダーティ・ワークはローリングストーンズのアルバム名で、各章にはストーンズの曲名が冠されている。 worried about yousympathy for the devilmoonlight milebefore they make me runmiss youback to zerobeast of burden 最初の3篇は独立した短編なので、…

11 eleven ::津原泰水

津原泰水という人は自分の頭の中に確固たる世界観があって、その中で浮かぶ物語を自分の思い描いたまま自由に表現しているのでしょう。読者は当然この世界観を共有しているよね?とでも思っているかのように説明がほとんど無く、ギリギリまで研ぎ澄ました言…

三人の二代目(上下) /堺屋太一

久しぶりに堺屋太一作品を読みました。う~ん、もう少しコンパクトにしてほしかった。 有名どころの二代目たちである上杉景勝、毛利輝元、宇喜多秀家という面白いところにスポットを当てた作品です。「新しい仕組み」で織田信長が台頭し始め、上杉家、毛利家…

ブラフマンの埋葬 ::小川洋子

泉鏡花賞受賞作です。舞台はどこかあやふやな場所にある「創作者の家」。そこではホルン奏者や碑文彫刻師やレース編み作家など色々な分野の芸術家に創作の場を与えている。住み込みとして芸術家たちの世話役をしている主人公の青年は、芸術家たちと適度な距…